離婚で壊れる子どもたち 心理臨床家からの警告 (光文社新書 446)
- 光文社 (2010年2月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334035501
作品紹介・あらすじ
幼くして離婚に巻き込まれた子どもたちは、その後どのような発達の軌跡を描いていくのか。なかなか明かされない子どもたちの本心は-。本書では、心理臨床家として様々なケースをみてきた著者が、事例や諸研究をもとに解説。「日本の離婚」の抱える問題点に挑み、解決策を模索する。
感想・レビュー・書評
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10年以上前の本だがとても勉強になった。
夫婦目線の本ではなく子供目線の本。
この本は決して、離婚は子供に悪影響があるから踏みとどまりましょう、と言う内容ではなく、日本でも3組に1組は離婚している現状において、離婚を前提にしながら離婚が子供に与える影響、特に共同親権について書かれている。また、前半の発達心理の部分も分かりやすく勉強になる。
日本では離婚は夫婦の別れ=親子の別れとなっているが、片親から引き離された子供の傷は永遠に癒えることはないとの事。子供にとっての最高の親は両親である。たとえDVやアルコールや薬物依存の親であってもだ。海外では親教育プログラムを行ったりカウンセリングを積極的に行い、子供だけでなくDV親を援助する仕組みを作ってなるべく親と交流できるようにしている。子供の健全な発達には実の両親が欠かせない。
この本の中では海外、主にアメリカでの事例や研究が書かれているが、共同親権にしてもいかに日本が遅れていて、子供の気持ちを尊重していないかがわかる。
法制度上日本は単独親権なので別居親を疎外(片親疎外)をよりし易くなってしまう。別居親の悪口を吹き込んだりして意図的に片親疎外するのは、子供に対する心理的虐待だということに気付かされた。反対に海外では、いくら別れた相手を恨み憎んでも、子供の養育は両親が関わるよう努力していると書かれてあり、日本の親は親権親、別居親共に未熟であると感じてしまった。制度上関わらざるを得ないようにしなければ無責任に親を放棄し易くなってしまう。
一方で、制度が無ければ親と子の関係も簡単に切れてしまうのかと悲しい気持ちにもなる(もちろん離婚しても子供を大切にする人の方が多いと思うが)。
子供を作った以上は、たとえ離婚しても親としての責任をしっかり果たさなければならない事を胸に刻みたい。 -
「子供にとって両親の離婚は大きなストレスになる。
だけど、それ以上にもっと深刻なダメージを与えるのは、
離婚後、別居親と子供の関係が断絶されることである。」
最良の親は両親であることは常々考えていたけど、離婚してその関係性をどうやって続けていくことがよいのか、という疑問に、共同養育というキーワードが回答してくれた。
具体例を交えながら、丁寧に考察の進む良書。
子どもがいて離婚を検討する夫婦は是非読んでほしい。 -
小さい頃、兄や妹と「パパとママが離婚したらとっちについていく?」と話しあったことが数回はあった。きっとそういう予感があったんでしょう。「夫婦の別れ」が「片親との別れ」と子供ながらに認識していたくらい日本では常識的だったんだと思う。
現在ではその社会通念は多少の変化を示してはいるものの、単独親権制度という法律は依然としてかわらない。
米国では、夫婦が離婚しても親としての機能は共同で果たすことが大原則となっている。
また、離婚する夫婦の9割ぐらいは争いのない協議離婚であり、離婚前の夫婦が、離婚後の子供の養育計画や養育費の取り決めをして裁判所に提出し裁判官がこれを認めれば承認印を押し、正式に離婚が成立する。問題があると思うときには当事者と話し合い変更することも必要になってくる。
日本でも同じように9割近くの離婚が協議離婚である。しかし米国の場合と異なって親権者のみを決めて役所に提出すれば離婚が成立する(マジで?!)
つまり、日本の協議離婚の場合には離婚後に両親が親として子供にどのように責任を持って関わっていくのかの取り決めをしなくても離婚が認められるのだ。
これはあまりにも安易どころか、子供に対して無責任すぎる。
理想的には、最良の親は両親だ。しかし、もはや離婚がまれな時代、子どもが育つまで離婚を待つ時代ではない。
結婚の3組に1組が離婚に至り、胎児や乳児を抱えてでも離婚を選びとる人たちが増えている時代だ。
離婚後の法制度、サポートシステムづくりへと力を注ぐのって大事かもね。というのは子供達の未来を案じているというより、次世代を担う子供たちの問題ってこれ即ち社会全体に影響を及ぼす問題だしね。
学齢期の子供がいる家庭での父子家庭や母子家庭は珍しくなくなってきているんだそうで、地域によっては離婚家族がクラスの3分の2もの多数をしめるというようなこともあるらしい。
若い層における離婚がふえてくれば必然的に離婚歴のある女性と男性がそれぞれ子供を抱えて再婚することも増えてきて家族の構成もより複雑になってくる。となると再婚問題も浮上する。
内縁家庭と再婚家庭における子供の虐待なんてのも最近よく聞くニュース。いずれにしても「離婚が悪いんだ!」という単純な話ではなくその先の話ですよね。世の中婚活ブームだけど、離活も大変ですな。68点。 -
離婚によって、離れて暮らす親が子供と会えないケースがあります。
また、離婚によって、相手に子供を会わせたくないという親権者もいます。
子供が離れて暮らす親に会う権利、離れて暮らす親が子供に会う権利である「面接交渉権」について、深く考えさせられる本です。
大人の事情で、一方の親と引き離された子供について、子供の福祉について、この本を読んで、考えてもらいたいものです。 -
離婚において、子どもに与える影響が事例に分かれ、取り上げられている。先進国では日本が唯一単独親権で、共同親権のアメリカや韓国の事例など、今の日本で議論されている「単独親権のまま」か「共同親権」か決めていく過程において、非常に参考になる著書。
いずれにしても子を育てる立場にある親の勝手で子どもが不幸になることはあってならないし、いかに子ども中心でこの議論が進められるかが鍵だ。
端々に著者としてのメッセージが散りばめられており、それをきちんと論理的に語られており、理解しやすく読みやすい。 -
「最良の親は、両親です」というアメリカの裁判で語られた言葉というのが、印象的だった。それは離婚を思いとどまれ、というのではなく、離婚したあとであっても、両親として子どもと接しろという話だ。子どものことを考えると、大切なことだと思う。
仕事の関係で読んだ。いろいろ考えさせられるな。日本の状況は、諸外国に比べると、特にアメリカと比べるとまだ離婚を伝統的な家族形態からの離脱、つまりネガティブなものととらえていると感じられる。まぁ、たいへんなことではあるんだろうけどさ。ハードルをあげておいて、なるべくそういう状況に陥らないようにするというのは、ある意味社会の知恵なのかもしんないが、もう時代は変わりつつあると思う。子どものことを考えると、もう少し変化があってもよいのではないか。 -
最良の親は、(実の)両親である。,米国の共同監護制度は、面会交渉がままならない日本の父親から見れば、別世界のようです。,,しかし、日本のように、別居親(父親がほとんど)と関係を遮断されてしまうと、子供たちのこころが壊れてしまうとの著者の指摘…。,,離婚は子供たちのためにも、何としても避けたいです。
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DVとか相手の怒りや憎しみが子どもに与える影響が大きいようであるようだ。
幸いにもそのような行動や心情になったことがないので、下記の文言は参考になった。
・片親疎外
・悪口は言わない
・結婚の失敗ではなく、終結
・お父さんの家、おかあさんの家がある