殺人方程式: 切断された死体の問題 (光文社文庫 あ 20-1)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334718343

感想・レビュー・書評

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  • <ネタバレ有り>



    ++++++++++++++++++++++++++++++++



    双子の明日香井兄弟が主人公のシリーズ。
    川を挟んで向かい合う建物、建物の屋上の高さは同じ、犯人が出入りできるはずのない状態で屋上に放置された切断死体…とくればだいたいオチは読めました。いやいやまさかそのままじゃないよな…と思ったけどそのままだったし、切断の理由も全く同じものをどこかで読んだことがあったしで拍子抜け。トリックには「これなんて島田荘司」と思いましたが、後書きを読んで納得。編集部の無茶振りでしたか。
    滑車を使った死体運搬で、滑車を犯人が回収しポケットにしまったというくだりがありましたが、本当にそんな小さいものであのトリックが可能だったのだろうかとか、滑車を取り付けたなら屋上の手すりに何らかの跡が残りそうだとか、警察がベッドの下の財布を見逃すのはさすがにザルすぎる…などなど、色々と釈然としない部分が多かったです。ただ、真犯人は意外でした。
    安定の読みやすさと面白さだったけど、犯人があっさり自殺するなど2時間ドラマのような展開だった。

  •  副題は「切断された死体の問題」。再読。以前読んだのはもう四年くらい前か。
     本格も本格、こんな物理トリック、現実でありえるはずがないよ、って感じのもの。双子の兄弟が主人公で、兄貴の響が探偵役、弟の叶が刑事。叶くんの奥さん美雪ちゃんが中々いいキャラクタ。
     えーと、うん、なんつーか、そう面白いものでもないよなってのが、基本的な感想。
     トリック自体はぶっ飛んでるというか、派手(?)なんだけど。うーん、やっぱりね、ぶっ飛んでて良いとはどうしても言えないなぁ。ああいうのは嵐の山荘とか、現実味がない状態で出てくるから許容できるわけで、現実味溢れる普通の町中で刑事とかが出てくる中で行われてもねぇ。
     響くんが本気で「物理式を使って加速度云々を説明している」(空白反転)シーンなんて、苦笑しか浮かばないもの。
     まぁ、綾辻らしく最後にはきちんとオチがあったけど。

    05.03.06

  • 光文社から出ていたこちらの文庫本にはAmazonの表紙写真が載っていない。

    講談社の文庫なら表紙が出てる。なので最初は講談社の方を選ぼうとした。でも、もう一回少し考えて、やはり光文社の方を選んだ。

    文庫本にはかならず「解説」が巻末にあって、実際に読んだ光文社版と読んでない講談社版ではおそらくその解説に書いてあることは全然違うであろうから。

    推理小説はおもしろい。特にひまな時間をつぶすときにはもってこいである。また、誰が犯人なのか普通の読者並みにわたしも考えているときもいい。でも、わたしの場合は絶対に犯人が誰かを先持ってあてることはできない。たぶんわたしには論理的に推理を働かせて、犯人が誰であるのかを探し当てる能力に欠けているのであろう。
    だから推理小説は時々しか読まない。

    いやぁー、そう思うと初期の頃の島田荘司の作品は面白かったなぁ。でも最近のはダメだ。こないだ読んで『ゴーグル男』なんぞはもうそれはそれはつまらん小説だったなあ。

  • 切断は男のロマン。

  • こんなはずじゃなかったのに――

  • トリックがミステリーアニメっぽいが、小説っぽい鋭さがないから締まりが微妙。伏線が回収されてそうで、でも強引。

  • 首無死体…何故犯人は死体を切断したのか?

    読了日:2006.09.15
    分 類:長編
    ページ:330P
    値 段:408P
    発行日:1989年5月カッパノベルス、1994年2月発行
    出版社:光文社文庫
    評 定:★★★+


    ●作品データ●
    ----------------------------
    主人公:明日香井叶、岬映美
    語り口:3人称
    ジャンル:ミステリ
    対 象:一般向け
    雰囲気:ホワイダニット系
    解 説:由良 三郎(作家)
    カバーデザイン:辰巳 四郎
    ----------------------------

    ---【100字紹介】-----------------------
    御玉神照命会の教団ビルで教主・貴伝名剛三が、
    別の建物の屋上で、頭部と左腕を切断された死体で発見された。
    警視庁刑事・明日香井叶と双子の兄・響が怪事件の謎に挑む。
    何故犯人は死体を切断したのか?が鍵になる!
    ----------------------------------------

    さて、綾辻行人ですよ。綾辻行人といえば勿論、新本格の代表格なわけで、当然ながらばりばりミステリですよ。何かここまで正統派のミステリは久々な気がしますね。最近の菜の花、ライトノベルに走ってましたから…。

    主人公は警視庁の刑事…だけどとっても気弱で、絶対的に刑事に不向きな明日香井叶…かな?…と思って読み進めて行くと途中から視点が変わります。容疑者の恋人・岬映美登場。更に明日香井刑事の双子のおにーさま・響も乱入してきて、すっかり影の薄くなる叶君…。ちょっと可哀想。あとから俯瞰してみると、事件部は明日香井刑事視点、推理部・結末部は主に岬映美視点、ということになりますか。

    新興宗教である御玉神照命会が事件の主役。どうにも胡散臭い団体です。まあ現代的といえば現代的か?ここの女性教主さまが轢死。そして夫で悪名高い貴伝名剛三が新教主につくことになったのですが…、そのための「お籠もり」という教団ビルの上にある「神殿」から何ヶ月も出ないという儀式の途中に、別の建物で遺体で発見されるという。そんな事件です。

    事件の鍵…、そして本作の読みどころは何と言っても「何故、死体は切断されたのか?」というホワイダニット。トリック自体は作中で著者自身も

    「この物理トリック自体は、仮にこれをネタにしたミステリが
     あったとしても、僕は大した評価はしないけどね」 (本文より)

    と探偵役に言わせる程度のものなのですが、じゃ、何で死体は切断されたの?という次の段階の説明が「あー、なるほどね」というところです。この物理トリックが実現可能か?というのは謎ですし、可能だとしてもやる人はいないだろ!と思うのですが、そこはそれ、これはフィクションですから。そしてこの状況があってこそ次の段階で「あ、そっか」と納得なわけです。そのための舞台として描かれたのか、というのが、よく分かります。つまりは、たった1行の「あ、そっか」を書きたいために著者はこの1冊を書いたと言っても多分間違っていないかと。

    リアリティという面で見ると全然ありえないですが、これこそが新本格と名乗るにふさわしい…!といえる雰囲気をもつ1作。


    ●菜の花の独断と偏見による評定●
    ---------------------------------
    文章・描写 :★★★
    展開・結末 :★★★+
    キャラクタ :★★★
    独 自 性 :★★★
    読 後 感 :★★★
    ---------------------------------

  •  あまり期待しないで買ったのですが、いやぁ、予想以上に楽しめました。トリックはきっちりしてるし、物語の面もちゃんとしてる。次巻も読もうかしら、と思える作品。私の中ではアタリな一冊。

  • 読みやすかった。 特におもしろくはない。

  • 館シリーズとは、一味違った作品です。館シリーズでは、割合心理的なトリックが多かったですが、今回は完全に物理的なトリックです。あとがきにも書いてありましたが300ページの段階で犯人への手がかりがすべて出ているそうです。私はまったく犯人がわかりませんでしたw。

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著者プロフィール

1960年京都市生まれ。京都大学教育学部卒業、同大学院博士後期課程修了。87年、大学院在学中に『十角館の殺人』でデビュー、新本格ミステリ・ムーヴメントの契機となる。92年、『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。2009年発表の『Another』は本格ミステリとホラーを融合した傑作として絶賛を浴び、TVアニメーション、実写映画のW映像化も好評を博した。他に『Another エピソードS』『霧越邸殺人事件』『深泥丘奇談』など著書多数。18年度、第22回日本ミステリー文学大賞を受賞。

「2023年 『Another 2001(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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