戻り川心中: 傑作推理小説 (光文社文庫 れ 3-4)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334740009

感想・レビュー・書評

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  • 「藤の香」「桔梗の宿」「桐の柩」「白蓮の寺」「戻り川心中」の5編収録
    表題作「戻り川心中」が 第34回日本推理作家協会賞短編部門受賞 、第83回直木賞候補。
    また短編集として第9回泉鏡花文学賞候補。

    短編『私の叔父さん』の映画(細野辰興監督・高橋克典主演)を観て素敵な物語を書く作家さんだなと思い、オールタイム系ベスト本で常に出てくる『戻り川心中』を読んでみることに

    恋愛+ミステリが美しい文章で奏でられる情緒纏綿たる短編集。

    「白蓮の寺」「戻り川心中」もよかったけど
    お気に入りは「桔梗の宿」でした。
    切なかったーーーーー( ノД`)シクシク…


    米澤穂信さん
    『かつて私は連城三紀彦の小説を読み、ミステリであることは小説としての何かを諦めなければならないことを意味しない、と思った。 』

    うんうんわかる。

  • この作品が多くの人を魅了してきた
    理由を思い知らされた。
    エンタメ作品ばかり読んでいると、
    つい遠ざかりがちな、
    日本語表現の美しさ繊細さを
    持って描かれる作品で、
    貧しく、陰鬱としている時代だが
    どこか愛おしい日本の情景が描かれる。
    ミステリとしても完成度の高い
    素晴らしい短編が贅沢に収録されていた。

    時には純文学も読みたいなぁ、と
    ミステリの読後とは思えない
    気分になれる一冊。

  • 現代を舞台にして愛のあまりに人を殺めるというと、どこか下世話なゴシップめいた雰囲気がしてしまう。舞台を過去におくことで、美しい文と花、情念がよく似合う作品集になったような気がする。ずっと読みたかった名作「戻り川心中」に満足。芸術家の身勝手さと女たちの悲しさが身にせまる。

  • <花にあなたを偲ばせて―>

    初めて連城さんの本を読んだ.
    なんと美しい文章か.
    淡々と,それでいて鋭敏な感性でとらえられた比喩と風景描写.
    どの話の落ちも驚きに満ちていて,短編一つ一つが印象に残る.

  • 有栖川先生の「ミステリー国の人々」(6/5朝刊)で取り上げられていた作品を表題とする短編集。
    まだ江戸の香りのする色街や地方の美しい情景が丁寧に描かれていて、まるで一服の日本画をみているよう。
    でも内実は、しっかりと論理も通ったミステリ。表題作のクライマックスで見られる、その冴えの鋭さもまた美しいです。

  • まず伝えたいことは、フェミニストの方は読んだらダメです。男性にとって理想的と思われるフィクションな女性が描かれているから。

    ※続きは後で記載

  • 5篇のうち特に「戻り川心中」はよかったです!
    天才にも苦悩はあるんだ。

  • 移ろいゆく時間・空間・人の思いが綴じ込められている
     日本情緒溢れた、しかし物騒でどこか物哀しい大正〜昭和初期の時代が舞台となります。ミステリとしてはもちろん、文学作品としてもレベルが高く、この2つの分野を互いを殺さず、美しく融合させてしまう著者の手腕に恐れ入りました。
     やはり「戻り川心中」がベストでしょう。2度に渡って心中事件を起こした果てに自害した稀代の歌人・苑田岳葉。「情歌」「蘇生」という2つの事件を歌にした作品には、とんでもない秘密が隠されています。
     その他、娘の淡い感情に胸が痛くなる「桔梗の宿」や、駆け引きの妙に唸らされた「桐の柩」など、どれも短編にするには勿体無い程よくできています。ミステリという枠を超えて、後世に受け継がれるべき作品です。

  • 日本の短編集では最高の出来だと思います。なかでも表題作は白眉。これ以上美しくて残酷な動機があるでしょうか。
    何が起きたか、どのようにして起きたか、そういう事件自体の枠組みは謎が解けても変わらないけれどその事件の持つ意味合いが真相が明らかになった途端180度転換する。
    ホワイダニットの極致を見た思いです。

  • 趣を一にする短編5編収載。それぞれ意外性に満ちたミステリーとしても面白かったし、人情ものとしてもそれぞれが魅力的な作品集だった。こういう題材にはやっぱり、大正時代あたりが一番良く似合うんですね。四民平等、文明開化といいながら、まだまだ全然垢抜けていない日本だからこそ、こういった空気感が醸し出せる訳で、時代設定も秀逸だと思います。どれも良くできた作品でしたが、中でもやっぱり表題作の作り込まれ方が素晴らしかったと思います。

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著者プロフィール

連城三紀彦
一九四八年愛知県生まれ。早稲田大学卒業。七八年に『変調二人羽織』で「幻影城」新人賞に入選しデビュー。八一年『戻り川心中』で日本推理作家協会賞、八四年『宵待草夜情』で吉川英治文学新人賞、同年『恋文』で直木賞を受賞。九六年には『隠れ菊』で柴田錬三郎賞を受賞。二〇一三年十月死去。一四年、日本ミステリー文学大賞特別賞を受賞。

「2022年 『黒真珠 恋愛推理レアコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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