- Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334746926
作品紹介・あらすじ
中学校の国語の時間。「走れメロス」の音読テープに耳をふさいだ森見少年は、その後、くっついたり離れたりを繰り返しながらも、太宰の世界に惹かれていった-。読者を楽しませることをなによりも大切に考えた太宰治の作品群から、「ヘンテコであること」「愉快であること」に主眼を置いて選んだ十九篇。「生誕百年」に贈る、最高にステキで面白い、太宰治の「傑作」選。
感想・レビュー・書評
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「畜犬談」が面白すぎて声に出して笑った。他、「黄村先生言行録」の、太宰治の心の中でされるツッコミが面白い。
星野源とか朝井リョウのくだらないエッセイが好きな人は、きっと好きになると思う。
森見登美彦は最後に「走れメロス」をもってきてくれてたけど、私はやっぱり好きじゃない。
中学生の頃読んだ時と印象が変わったことと言えば、最後はちゃんとオチつけてるなあ、と思ったくらい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
太宰治を少し違った角度から焦点を合わせた作品。
「黄村先生言行録」「満願」「女の決闘」「走れメロス」など
30年ぶりに読んだ走れメロスは突っ込みどころが多かった。メロスは自分勝手極まりない、勝手に妹の結婚式の日取りを決めるし、走って帰る時もわざわざバーベキューかなんかしてるところを横切るし、王様はいい王様になった感じやけどそれま惨たらしいことしているのにとも思う。
ただこの短さと時代設定になんとなくうやむやにされてしまう。
つまり、恥ずかしいけど感動する。
この作品はまたタイトル勝ちなところがある。
倒置法的に動詞を前に持ってきて主人公の名前を持ってくるのは「桐島部活やめるってよ」くらいまで時代を降りてこなければなかなかない。 -
森見さんの、太宰治傑作集。
太宰治は中学の時に読んだ「走れメロス」と「人間失格」ぐらいしか馴染みがなかったので、印象がかなり変わった。
特に気に入ったのは「畜犬談」、読み終わった後に太宰治のことがちょっと好きになっているから、ずるいと思う。
最初の「失敗園」→「カチカチ山」→「貨幣」ぐらいまで「これは森見さんが書いたのでは?」と思ってしまうぐらい、文体もその雰囲気もよく似ていた。
読みやすいもので読者を釣って、「ロマネスク」あたりで太宰治の世界に引き摺り込んで、「黄村先生言行録」あたりから深い沼に沈まされる感じ。
100年程前の文章だから、読み難い所もあるし、時代錯誤で「ん?」と思う所もあったけど、それも踏まえて当時の様子や景色が見られて面白かった。
最後に「走れメロス」を持ってきたのもよかった。
濃い太宰治汁を発散させる、跳ねるような文体は見ていて気持ちが良い、フィナーレにふさわしい。
ただ、私も森見さんと同じでこの「正義!」っていう感じがどうしても恥ずかしく感じてしまう。 -
自虐的な太宰の文章のリズムがとても心地よかった。太宰の作品は暗いものばかりだと思っていたが考えを改めた。どの作品も面白かったが、ロマネスクと畜犬談、親友交歓は特に面白かった。女の決闘なども、なるほどなあとか思いながら楽しく読める、本当に読者に向けた解説文だと思った。
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太宰治の印象が変わる一冊。
作者も編集後記で述べているが、自殺やらなにやらでネガティブで暗い印象を抱かれがちな太宰(がち、と書いたが、世間の人たちはそうではないのかも知らん)は、こんなにもユニークで、リズミカルで、面白い作品を書いているということを、この本を通じて感じることができる。そして、太宰治の、人間観察眼と、それをありありと言葉にして描き出して読み手にぶっ刺してくる表現力の凄さに感嘆する。
森見氏の編集後記と本編とを代わる代わるに読むと、さらに味わえるのかな?とも思った。
お気に入り?という言葉を使うのは、少し違うが、特に印象に残ったのは「親友交歓」。うへー、こんなやつ来よったらたまらんたまらん、と、もう読みながら顔をしかめたくなるような内容からの、痛烈なラスト一行。 -
太宰治というと、新潮文庫版の「人間失格」の真っ黒い表紙からの連想で、なんだかとにかく真っ黒い印象でしたが、こんなにユーモラスな文章も書く人だと知って嬉しくなりました。
本書の中では「畜犬談」が好きです。
「犬の心理を計りかねて、ただ行き当たりばったり、無闇矢鱈に御機嫌をとっているうちに、ここに意外の現象が現れた。私は、犬に好かれてしまったのである。」なんて、絶妙のリズムでおもわず笑ってしまいました。 -
中学校の国語の時間。「走れメロス」の音読テープに耳をふさいだ森見少年は、その後、くっついたり離れたりを繰り返しながらも、太宰の世界に惹かれていった―。「生誕百年」に贈る、最高にステキで面白い、太宰治の「傑作」選。
太宰作品は思春期のころすべて読破したつもりでいたけれど、今回森見登美彦が選んだ作品の中にはいくつか読んだ記憶にないもの、ユーモアあふれるものがあった。森見の手による編集後記と合わせてこの文庫本を読んだ甲斐があった。自虐と含羞…私が思う太宰と森見に共通するところ。
(Ⅽ) -
森見さんの選書ということで読む前からワクワクしていた。解説で「太宰治って『走れメロス』と『生まれてきてすいません』の人でしょ」という読者が…とはまさに学生時代の私。今は太宰のユーモアとリズムある文章にはまると同時に、『女の決闘』のような小説の新解釈小説?に森見さんの『新釈走れメロス』にも共通する笑いと真面目な馬鹿馬鹿しさと悲哀に惹かれている。
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「暗い」と言われる太宰治の本を今まで読んだことがなく一度は読んでみようと思っていた。で見つけた太宰治の面白い短編を集めたこの本。ん~。私には面白いと思えず。なんとか頑張って3/2くらいまでは読んだけど全く頭にも入ってこないから読むのは止めた。時間帯のある時に「走れメロス」だけは読んでみようと思う。