- Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334751791
感想・レビュー・書評
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学生の頃教科書で読んだ時はあまりおもしろいと思わなかった魯迅
中国史や中国語を勉強し始め、中国の時代や文化に少しイメージがついてから読むと、心にぐっときました。
清朝末期から中華民国へ。
いつの世も時代の転換期は厳しいです
「故郷」にでてくる、コンパス!
中高生の頃?に読んで印象的だったのを数十年の時を経て思い出しました
訳者あとがきの翻訳に関する文章がとても興味深く、私もいつか中国語で読めるようになりたいなと思いました詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
吶喊より
孔乙已 コンイーチー
薬
小さな出来事
故郷
阿Q正伝
端午の節季
あひるの喜劇
朝花夕拾 ちょうかせきしゅう
お長と『山海経』
百草園から三味書屋へ
父の病
追想断片
藤野先生
范愛農
付録 吶喊より
自序
兎と猫
狂人日記
藤井先生の解説、つき -
第79回アワヒニビブリオバトル「24時間耐久ビブリオバトル@オンライン」第12ゲームで紹介された本です。オンライン開催。チャンプルー。
2021.09.18 -
昔読んだ阿Q正伝は、何を言いたいのかわからなかったという記憶しかない。今回改めて読んでみて、辛亥革命前後の同胞の鼓舞するために、阿Qという愚かな狂言回しを描いてみせたのかなと思った。故郷をはじめ他の短編もそれぞれストーリーは単純だが、同時代の中国社会の様子を伺い知ることができる。
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・当時、中国は皇帝専制体制の下戦争に負け続け、国内に外国の軍隊が駐在する等、危機的な状況にあった。
・当時、上記の危惧から民主化を謳う中国の知識人が、農民への啓蒙運動を開始。これを担ったのが文学であった。
・民主化だけでなく、中国の”悪しき”伝統も啓蒙の対象となった。
Ex.)食人、纒足、科挙(←これは微妙だが、『孔乙己』にて悲惨さが仄めかされている)
・紀元前からの皇帝の専制ゆえ、中国(これはアジア諸地域に共通した性格だが)の従属的な人々は”奴隷根性”を捨てられなかった。(民主化が完璧な措置かどうかは分からないが、魯迅らはこれを正義とみなしている)
以上の前提知識(高校世界史の範囲)がある方が読みやすい。
華々しい歴史に終止符を打とうとしている当時の中国の悲惨な国民の現状と、魯迅の悲痛な思いがひしひしと伝わってくる。しかし、ちょっとしたブラック・ジョークのようなものが挟んでおり、クスリと笑える箇所もある。特に『阿Q正伝』にて主人公阿Qが役人に跪いたまま立てなくなってしまい、呆れられ「奴隷根性!…」と罵られた場面はかなり面白かった。
心に石が残るような誤読感の短編集。小・中学校の教科書に載っていた『故郷』に惹かれた方ならきっと満足すると思う。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/742758 -
3.7
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中国を代表する作家って、どんな感じなんだろうと思って購読。代表作である「狂人日記」「阿Q正伝」のほか、短編が収められている一冊。どの本も、一般大衆の愚鈍さ、未開さ、卑屈さなどがこれでもかというほど描かれている。それを、都会を経験したものが冷ややかな目で見たり、狂人扱いされている男が警戒しながら描いたりしているが、その本人も、その性質を持っている。自己矛盾や葛藤に加え、日本人にもありがちな自虐性が垣間見え、何やら共感めいたものを感じる。魯迅の作品は、日本の含む東アジアでよく読まれているようだが、この精神性を理解しやすいからなのかも。
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なんかねー、こう、蟹工船的な、もしくはレミゼ的な匂いがね、するよね…貧乏ってつらい。
ただこちらは革命が理想も信念もなく、美しくもないところがリアルで好感が持てる、私には。
かろうじて共感できるのは『藤野先生』、面白かったのは『吶喊 』の自序と『狂人日記』。