- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334752194
作品紹介・あらすじ
コレットは14歳年上から16歳年下までの相手と、生涯に三度結婚した。ミュージック・ホールの踊り子時代には同性愛も経験した。恋愛の機微を知り尽くした作家コレットが、残酷なまでに切ない恋心を鮮烈に描く。
感想・レビュー・書評
-
本編はフランス語で読もうか迷っていてまだ読んでいない。
はじめの一段落だけ読み比べた印象では、新潮文庫、集英社文庫の訳よりこちらの訳が読みやすかった。
ただ、巻末の解説がわかりやすかった!
フランスにおける恋愛の常識と、「若い男女の恋」と言う題材がなぜ画期的だったか学んだ。
ブルジョワ階級以上の若い男にとっては、恋愛対象は娼婦、階級が下の娘、人妻しか選択肢がなく、
ブルジョワ階級以上の女性にとっては、子供を生んだ後はある程度恋愛の自由を得ることができるという。
この前提でバルザック、スタンダール、フロベールの小説ができあがっているのだとか。なるほどー!
トロントで見た日本の江戸時代の恋愛観とも少し被るところがあって興味深い。
https://www.japansociety.org/page/programs/gallery/a-third-gender詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
急に古典小説が読みたくなって、いつもお世話になってる光文社古典新訳文庫から青臭い青春小説の『青い麦』と『肉体の悪魔』の2冊を借りた。どちらも16歳の少年が人妻と初体験をしてしまう話で、その対照的な内容を楽しむのが目的だった。
果たして結果は上々。2冊読まないとその違いがわからないので速攻で読んでの感想だけど、まず、フランス文学は難しい(そこかい!)。
抒情的な表現や情景描写がいたるところに挟み込まれ物事は2行で済むのにそういった表現のおかげですごくスローペースなので、ジェットコースターなドラマ慣れしてるときつく感じる。逆にそれを楽しむのがフランス文学なんだろうけど、嵐が丘のヒースクリフとキャサリンのような激しい愛憎はなく、未成熟な15歳と16歳の淡い幼馴染の兄妹のような恋人のような恋中に突如合わられた成熟した人妻が現れ、少年は体験を迎えていつもそばにいた女の子を女として意識し、また、いつもそばにいた男の子が体験を迎えて心情に変化した事に気づいた女の子も女として感情を露わにしていく、しかしどちらもがまだ幼く若い、そんな切ない恋物語をこの齢になって読むとまた感慨深く懐かしくもさえ思えてきた。
若いっていいなぁと切実に思うw -
ガッツリ未成年への性犯罪があるのでなあ…。
解説を読んで、フランスでは本作が書かれる少し前までは少年の恋の相手は人妻であることが「当たり前」だったとのことなので、少し納得。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/742347 -
なんで表紙、青いカニなん…????と思ったら、開幕1pでまさにそういう内容だったのねん…
いや~~~大人と子どもの狭間!!いい意味で古典文学だなって… -
自然と感情の描写が、緻密で柔らかく、若い幼なじみの夏がフワッとこちらに浮かび上がって来るようだ。
-
おフランス…!という感じでした。
ヴァンカ、本当に15歳?家庭的通り越してる気がしますがこの頃の外国の娘さんはこんな感じなのかな…
カミーユのせいで…みたいになってたけど、小さい頃からお互いを知りすぎてるというのも問題アリなのかもしれないと思いました。苦い。 -
性的欲求のためかなり苦しんでいる主人公。
人間模様の変化、官能の芽生えが瑞々しく描かれている。
嫉妬や焦燥感、不安、悲哀と思春期ならではの陰影に富んだ心の機微が細やかに描かれていた。 -
フランス、ブルゴーニュ地方の断崖が続く美しい海岸に建つ別荘でのひとつ屋根の下での未成年者二人の激しい恋。
純情多感な二人の激しい心の葛藤、目まぐるしく変わる感情の起伏、自分の気持ちを押し止める事ができずストレートに相手にぶつけてしまうが故に起こるすれ違い。不器用だが切なく、もどかしい。
年上の女性に翻弄される青年という設定はフランス映画でよく見た記憶があったが、本書の解説で語られる興味深いフランスの恋愛事情で納得。
夏の終わりの美しい情景が二人の接触を嬉しくも悲しくも演出する。その素敵な風景に浸れました。映画化されているようなので機会があったら観てみたいです。