すばらしい新世界 (光文社古典新訳文庫 Aオ 2-1)

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (433ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752729

感想・レビュー・書評

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  • この本が1932年に書かれた本とは信じられない。今、新作としても通用するような内容だ。幸せとは何かを改めて深く考えさせられる。しかし、悩みがない世界というのはなかなか難しいようだ。この理想社会でも、ソーマという麻薬を使うことがストレスから逃れるために必要なのだから。

  • 【由来】
    ・blog not found

    【期待したもの】


    【要約】


    【ノート】

  • 2013-6-16

  • 新訳が出ていたので買っておいた。

  • 本人によるあとがきがオタクっぽいのに比べ、大変読みやすいSFだった。2540年の世界。全く個人の自由の尊重のない世界。工場の試験管で目的ごとにレベル別に人間が作られる。人間同士の繁殖はなし。
    沼正三のやつに比べると向こうは欲望が渦巻いているが、こちらは何かおかしいぞ、と思うと同時にぼんやりする薬を噴射されるのでとにかく自己が全く育たない。小学生位の気持ちの持ち方。人間とは何か。嫌でも考えさせられる。

    こんな世界はやっぱり起こり得ない。苦悩したのちの達成感。これがないとかなり不細工な顔になるのではないか。

  • 講談社文庫でむかし読んだときさっぱり文章が頭に入ってこず、内容がわからなかった。「つまらんなぁ、これほんとに20世紀の重要文学なの?」と思った。
    だがこの新訳版はどうだ。読んでの感想は「めちゃめちゃ面白いじゃん!」。
    ディストピア小説として名声を築き上げた作品ではあるが、作品中の世界について「ふーん、魅力的じゃん。ソーマ欲しいじゃん。フリーセックスできるなんてアリじゃん。」という考えがどこか頭をよぎってしまった。
    これから「すばらしい新世界」を読むならこの光文社古典新訳文庫のものかハヤカワepi文庫のものをお勧めする。

  • なんとかワトスンの「恐怖条件付け」による教育(は後にトンデモと認定の前に先生がお弟子の娘さんとゲス不倫をして一応大学を追はれる)と、オナイダ・コミュニティを足してヘンリー・フォードの経営する一応アンチが付くはずのディストピア。
     ただ、作中の皆さんは「この世界は、なんてすばらしい!!」を延々言ひ、インディアンに育てられたジョンはその楽園外のナニで世界の中のいろいろへ指摘とかはほぼ一切できず、「鬱かなと思ったら効いたよね早めのp ソーマ」でなんかが解決する。
     キリスト教の相対化と言ったら、
    「そのシェイクスピアもキリスト教もエンターテインメントじゃないのかね。ここでやってるアレ(お歌はやってる)と何か違うものでも」
     とかあってもいいなとは思った。

  • CRISPRの本に名前が出てきていたので読んでみた。

    ディストピア小説。人類はみな人工授精で生まれ、化学的操作で知能や体格を分けられてα~εの階級に分けられる。家族や恋人のような強い感情は不道徳とみなされ、フリーセックスとドラッグで平和な世の中。技術により肉体は若いままに保たれ60で皆死ぬ。道徳や価値観は睡眠教育で刷り込まれ、社会のどの階層の人間も自分の境遇に満足している。死も恐れないよう教育される。βでも歯車で自分のやっている仕事の背景を全く理解していない。苦痛や我慢や孤独は全否定され、一人で過ごす時間がなくなるように社会が設計されている。全員αにする社会実験はかつて失敗した。

    "幸福と安定"、"科学(真実)と美"はどちらかを選ぶしかなく、幸福と安定を選んだ世界はこのディストピアになるという考えらしい。1932年出版らしいがその頃にすでに科学技術に依存した生活が前者に傾いているという感覚らしい。

  • ジョージ・オーウェルの『1984年』を久しぶりに読んでネットで書評を眺めていたら知った小説。『1984年』とは真逆のユートピアSF小説と言われるもの。
    全体的に軽快な文体に感じた。壜詰めで人間を造るという発想・シーンは斬新・衝撃的で良かったが、フリーセックス・ソーマによる麻痺・障害物ゴルフなどはあまり魅力的に感じなかった。『1984年』と比べて絶望感は少なくむしろ理想的な社会という気もした。
    野蛮人のジョンがロンドンに戻ってからの古典引用のセリフ回しはくどい。世界統制官との討論シーンは良かった。
    印象的だったのは「科学の追及は至上の善」という現代において否定しがたい言説を、否定している点。小説内ではその結果炭疽菌爆弾を使用した九年戦争が勃発し人類が滅亡仕掛けたと言う。解説によると、著者のオルダス・ハクスリーは原子力研究に対する警鐘を鳴らしたものとしているが、昨今ではAI(人工知能)などの情報技術が当てはまるような気がした。技術的な発展の先に、それを使いこなせない未来が待っているのか。(シリコンバレーのリバタリアニズム)

  • 規格化された人間の量産、幼児期条件付けによる価値観の操作、セックスとドラッグの無制限の配給等により、誰もが自ら考えることや我慢することを放棄し、幸福で不満のない快楽漬けの人生を送る未来社会を描いたSF小説。
    コンプレックス塗れの癖に自意識だけ高いツイッタラーみたいなマルクスや喋ることのほとんどがシェイクスピアの引用な野蛮人のジョン(しかもなんかあるとすぐ自分を鞭で叩く)等、とんちきな登場人物もよい!

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著者プロフィール

1894年−1963年。イギリスの著作家。1937年、眼の治療のためアメリカ合衆国に移住。ベイツメソッドとアレクサンダー・テクニークが視力回復に効を成した。小説・エッセイ・詩・旅行記など多数発表したが、小説『すばらしい新世界』『島』によってその名を広く知られている。また、神秘主義の研究も深め『知覚の扉』は高評価を得た。

「2023年 『ものの見方 リラックスからはじめる視力改善』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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