虚ろな十字架 (光文社文庫 ひ 6-14)

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  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334774660

感想・レビュー・書評

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  • 東野圭吾さん、久しぶりに読んだ。
    よかった。
    これは『東野圭吾最大の問題作』という帯にもうなずける。

    東野圭吾さんは、本当にたくさんの作品を出していて、一時期ハマって連続で読んで、マンネリ化に飽きて休憩してた(笑)

    ところが久しぶりに読んだ本作は2日で一気読み。
    ちりばめられた伏線が一本にまとまっていく様は小気味の良いリズムさえ感じられる。

    『死刑制度』について。テーマは重い。

    被害者遺族、加害者家族、多角度からの目線でテーマに挑んでいる。しかしそこには結局、答えはない。自分なり考えるしかない。

    重すぎるテーマに辛いと思う人もいるだろう。答えのない結末に不完全燃焼と思う人もいるだろう。
    けれど私はそれでよいと思う。

    プロローグの甘酸っぱい幸福なふたりの結末が、あまりにも切なく悲しすぎるけれど・・・。

  • 一気読みしたくなるまで、少し時間がかかるほど
    暗い暗い雰囲気が漂ってて、滅入る内容に
    最後まで読めるのか?と思ったほど。

    ところが、さすが東野圭吾。
    途中から、エンジンがかかるんだよね、いつも。
    いや、今回のこの作品は、今までにないほどに暗い不幸な始まりだったので、「知りたい!!」を求めるまでに、時間がかかった。

    7歳の娘を殺され、妻とは離婚。
    その妻が亡くなり、真相がみえてくるにつれ
    すべてがつながっていくことに引きつけられていく。

    これまでのような、<これぞ!>のどんでん返しこそなかったけれど。
    子を思う気持ちっていうのと、命のテーマ。

    元妻が残した「死刑廃止反対」の内容から
    とんでもない事実が隠されていたことに気づいていく
    主人公の中原道正。
    感情の起伏はまったくと言っていいほどに淡々としてるんだけど、それとは比例して、
    起きてきた過去の大事件に、絶叫しそうになった。
    想像するだけで、悲しく、苦しい。

    すべての描写が、手に取るように映画でもみているように浮かんでくる、やっぱり、東野圭吾って、すごいなって改めて思う。
    ただ、東野圭吾ならではのどんでん返しがなかったところは、物足りなかったな。
    途中で、ほぼ予想がついちゃったのもあるし。

  • 死刑制度について考えさせられる一冊。

    どんな刑罰を課したとしても、
    結局は本人が変われるかどうかだよなぁ・・・と。

  • 一つの殺人事件の背景を巡って物語が展開していく。
    人が人を裁くこと、過ちを償うとはどういうことか、考えさせられる。
    救いのない話なので、後味は悪い。。

    世の中には、正解がない問題が溢れている。
    でも、それでもなんらかの結論は出さなきゃならない。
    みなが平和でいられる世の中は作れないものか。
    とか、ぼんやり考えた。

  • 如何なる理由であれ人を殺めたことのある人間は、どうすれば償えるのか
    刑に服すことで償えるのか
    死刑になれば遺族は救われるのか
    どんな形で償おうと、遺族は救われない
    この世からいなくなった人はもう二度と帰ってこないのだから。
    人が人を裁くには限界があり、永遠と答えは出ないのだろう。

  • 被害者、加害者の両者に感情移入できるように構成されていて、

    その上での問題定義。

    さすがだな。。

  • 重い重い話で、なかなか読みすまなかった。
    まるで嫌いな食べ物を噛み締めていて飲み込むのに時間がかかる、みたいな感覚。

    初めはバラバラだったひとつひとつの事実が、だんだんと繋がっていって一気に紐解ける時は非常に爽快だったが、読了後もこの重すぎるテーマが頭から離れず、全くスッキリしなかった。

  • 綺麗に回収されていく伏線が気になり、一気に読んだ。
    ただ、読まなければよかった、とも思った。
    事件は解決しても釈然としない。
    重い気持ちだけが残った。
    興味深く読めたけれど、読後の爽やかさはゼロなので、星は3つ。

  • 死刑制度を題材にした,久々に重い社会派の話かと思って期待して読み進めていたのだが,最後になって焦点がぼやけて,不完全燃焼と言った感じ。ちょっと残念。

  • 暴かれた真相がとても悲しくて後半は特に辛かった。全編通して、罪とは、刑罰とは、死刑とは、みたいなテーマ。刑期が長いから、死刑だから、イコール反省してる更生したとは言えないって話は、そうだよなと思う。そしてこれは日常でもそうでは。嫌なことされて謝られたり罰が下っても、そこに本当の反省や後悔が見えなければ気は晴れないし意味を持たないよね。いじめっ子が大人になると過去自分がやったいじめを覚えてない、みたいな。
    罪の意識を持たせるのも難しいし、持つ必要がない人こそ永遠に持ち続けてしまったりもする。この差はなんなんだろう。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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