虚ろな十字架 (光文社文庫 ひ 6-14)

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  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334774660

感想・レビュー・書評

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  • 死刑制度の是非を問う作品。

    物語に吸い込まれ惹き込まれ一気読み。

    それぞれ皆自身の大切な人が被害者になったらと想像し、それぞれの是非を想う。そしてきっと、それが正しい。

    私の虚ろな読後感。

  • 死刑にまつわるお話。
    またまた東野圭吾さん購入してしまいました、、

    夫婦の一人娘が殺害されて死刑判決出た後、離婚。
    その後、元妻が殺されて、その元妻は死刑廃止反対を訴えていた事を知る。
    犯人側の娘婿家族、冒頭の夫婦親族、関わりのあるもう一つの家族と、、最後にいくにつれて繋がり真相解明していく構成。

    先がどうなるのか、知りたく読むのに集中でした!
    死刑についての意見は、主張する側の生い立ちや環境、意見の背景が違うので、読んでる途中で自分の考えもコロコロ変わってしまうような感覚で、深く考えさせられたなー。

    いやー、最後、えー、、もう一味欲しいところでしたが、内容として流石の東野圭吾先生で★5となりましたー、、、。
    また東野圭吾の波と沼にハマりそうでございます
    (((o(*゚▽゚*)o)))
    くすのきの番人みたいなものよりも、こっちの方がめっちゃ好み。好みというのもどうなのか^^;

  • 何か深いわ〜!
    さすがに東野さん、その割には読み易い。
    死刑廃止、廃止反対と色々意見があるけど、これ読んでると、死刑になっても、な〜んも反省とかせんと逝ってしまうのもどうかとも思うし…
    小説の中にもあったけど「…殺人を犯した人間を刑務所に入れさえすれば更生させられるという建前もナンセンス…」
    なんやろな…

    自身の娘を殺された夫婦、離婚後、更に元妻が殺された〜!
    元旦那が、経緯を調べていくうちに、何か引っ掛かるもんが…
    遠い過去からの因縁があるのか…
    被害者遺族である事が、更に命の尊さ、命を奪った罪の贖罪という言葉の意味を深くさせる。
    こんな人から言われれば、自分に罪の意識がある人は辛いやろな。
    この中の主要登場人物は、そういうマトモな人らで構成されるから、重い&深い。
    罪の償い方は、人それぞれかもしれんな。背負う十字架が違うって事か…
    でも、罪を犯された側(被害者)が納得してくれたらの話やとは思う。
    う〜ん。難しい…ʅ(◞‿◟)ʃ

  • 法で裁かれ、刑期を終えて社会に出ても、また同じ罪を犯して人の命を奪った者。
    罪を隠して生きてきたけれど、たくさんの人の命を救ってきた者。
    どちらが真に罪を償ったといえるのでしょうか。

    最後はその人たちに同情しそうになりましたが、「迷惑をかけていないから」「罪は償ったから」そんな個人の判断でその罪を無かったことにはできません。
    罪を犯したなら、必ず償わなければなりません。そこに何ら選択肢は存在しません。

    人が人を裁く限り、基準が曖昧になることは避けられないのだと思います。「殺人者は全員死刑」と決められたらどれほど楽か。
    それでも過ちを認め更生することを望んで、裁判という十字架で裁かれていかなければならないのだと思います。

  • 情状酌量とは
    家族を失った悲しみは犯人に対して「動機なんか関係無い、どんな理由であれ遺族は救われない、だからやはり自分達は死刑を望む」は遺族の立場で当然に思える。だが、現実殺人事件の加害者は裁判で死刑求刑されても、無期懲役が求刑されても情状酌量で数十年、もしくは数年で仮釈放となり、その処置は遺族には伝えないと言う。一方、家族、親族の中に犯罪を犯したものがいる側に立つと、世間の見方は冷たく全く異なるが、たとえどんな酷い事件でも償いに関して減刑酌量を望む。本文で「仮釈放」など発令する理由は、刑務所のキャパ次第でもあるという、説には驚きだ。

  • 人が人を裁くこと。
    正解なんてあるのだろうか。

    そんなことを考えさせられる作品でした。

    人は1人では生きていけないし、
    1人で抱えることの辛さが良く分かる話でした。

    自分の中にある正義は、ホンモノなのかなって
    思っちゃいましたね。

  • 犯罪の抑止力として、また、犯した罪に見合うだけの罰という意味合いで死刑制度は必要だと思っている。
    しかし、被害者側であった時、加害者側であった時、立場が変われば、今自分の中にある考えは簡単に変わってしまうとも思っている。
    被害者遺族のやりきれなさや無念さ、憎しみといった感情は計り知れず、はたまた加害者もまた法律で守られ、人権を尊重される立場にあり、家族もいる。
    どれもが人間のする事だ。
    だから正しい事をしたからといって皆が幸せになれるとは限らない。
    たとえ死刑になったとしても、それが本当の救いになるわけでもない。
    法律は日々ほんの少しずつ形を変えていくけれど、きっと誰も正解はわからない。

  • 子どもが殺される…
    その時犯人に対して抱く感情はみんな同じだろう

    罪の償いかた…死刑判決について…

    とても考えさせられるテーマだった

    刑務所にはいってもその中で本当に反省しているものはどのくらいいるのか

    反省もしない犯罪者に税金で住まいと食事を与え続けることに怒りを感じることもある

    登場人物それぞれの視点で物事が描かれていて自分だったら…と、何度も考えながら読んだ

  • 東野圭吾のこのジャンルなら 手紙や さまよう刀の方がずっと心に響くな。正論って 人を追いつめるけど ココロは動かせない気がする。動かせないどころか かえって頑なにしてしまうことも多いような。
    それぞれの殺人は みんな違う。
    この本の中の三件の殺人にしても きっかけも 殺人に対する想いも たぶん事件後のその人の未来もぜんぜん違う。
    人を殺したら全員死刑 単純にそう線引きできるなら 話はカンタンだし ラクだろうけど そう決められないくらい事件は千差万別。それは 被害者家族にとっても 程度の差はあれ そうだと思う。
    人を殺した者は どう罪を償うべきか この問いに たぶん模範解答はないと思います。あなたが悩んで出した答えが 今回に関しては正解なのだと考えることにします。
    中原が仁科に告げたこのコトバも 仁科が長く自分の犯した殺人に向き合い 長い間いろんな意味で償いに値する行為を行ってきたからこそ 出たコトバだろうし。
    長い間いろんな人の話も聞き 考えてはきたけど やはり死刑の是非についても 正解はないといまは思う。またこれからいろんな事件に出会って 揺れることはあるだろうけど。


  • 死刑制度の是非にミステリーを絡めた小説。

    遺族心理や法制度の矛盾について考えさせられたが、僕が見識を持てているわけでもない。

    そんな僕でも、真相は?と次が気になり、一気に読むことができた。

    akodamさんの高評価で手に取りました。ありがとうございました。

    読みやすい小説でしたが、このテーマ、非常に難しいです。

    • akodamさん
      shukawabestさん
      こんにちは。私のレビューにより本作品を手に取られたとのこと、光栄です。

      死刑制度について内閣府が5年に1度実施...
      shukawabestさん
      こんにちは。私のレビューにより本作品を手に取られたとのこと、光栄です。

      死刑制度について内閣府が5年に1度実施している世論調査において2020年発表の結果「死刑もやむを得ない」と容認する割合は80.8%、「廃止すべきだ」と答えた人は9.0%とのこと。

      本作品は何をもって贖罪になるのか。
      罪を償うとはどういうことなのか。
      深く考えさせられました。
      読後疲労感の高い作品でした。
      2021/09/12
    • shukawabestさん
      akodamさんの本棚とコメントいただいたこと、ありがたく思います。

      とてもいい作品とは思うのですが、読後のなんとも割り切れない感じ(贖罪...
      akodamさんの本棚とコメントいただいたこと、ありがたく思います。

      とてもいい作品とは思うのですが、読後のなんとも割り切れない感じ(贖罪)が、akodamさんの「虚ろな読後感」と同じ種類かなと思います。仁科文也が健気で哀れでした。

      被害者の立場で考えると、(10%近くもいるのですか)死刑廃止論者は不思議な気もしますが、本編のように「反省などしていない死刑囚」もいることを考えると、どのような制度がいいのか分からなくなります。

      今後も引き続き、akodamさんの本棚、参考にさせていただきます。

      ありがとうございました。
      2021/09/12
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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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