ふたたびの虹: 日本橋牡丹堂 菓子ばなし(三) (光文社文庫 な 43-4 光文社時代小説文庫 日本橋牡丹堂菓子ばなし)
- 光文社 (2018年7月11日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334776947
感想・レビュー・書評
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日本橋牡丹堂シリーズ第三弾。牡丹堂での小萩の日々。
・初秋 うさぎが跳ねるか、月見菓子・・・女房を亡くした袋物屋の
ご隠居。小萩は茶話会のお菓子の希望を聞くために、
彼の元を訪れるのだが。想い出に添う菓子。月を愛でる菓子。
・晩秋 留助の恋と栗蒸し羊羹・・・お福の代わりに見世に出る小萩。
客あしらいに悩むのだが、留助の恋の行方も気にかかる。
・初冬 若妻が夢見る五色生菓子・・・祝い菓子の注文が二転三転。
苦慮する牡丹堂の面々。そして千草屋でも事件が起こる。
・仲冬 秘めた想いの門前菓子・・・千代吉と絶縁した娘の縁を
取り持つために、思い出の菓子を探す。託す手紙の想い。
この巻でのもう一人の主人公は千代吉姐さん。
見世のおかみのお福、小萩の母お時と縁がある彼女が最初の話に
登場、最後の話に再登場するまでの季節の進行と物語での構成。
家族の在り方を描く話が盛り込まれています。
2冊目は話がごちゃごちゃした印象でしたが、今回はすっきり。
小萩の学びも、きちんと姿を現してきました。
菓子作りに、菓子帖の記録、お福や弥兵衛から教わること。
留助やお文からも良い影響を受けています。
特に、見世での接客の大事さ。ほぉ、漢詩も勉強し始めたのね。
そして、幹太の成長ぶりが良かったなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2018年7月光文社時代小説文庫刊。書き下ろし。シリーズ3作目。初秋うさぎが跳ねるか,月見菓子、晩秋留助の恋と栗蒸し羊羹、初冬若妻が夢見る五色生菓子、仲冬秘めた想いの門前菓子、の4つの連作短編。中島さんのお話には、登場人物たちの仕草と言葉と掛け合いに絶妙の間があり、感心するところが何回もあります。これが、とても心地良いのです。
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いいお話が多くて読んでいて温かい気持ちになりました。
苦楽を共にした奥様を亡くした御隠居に寄り添う小萩のお話は御隠居の気鬱が晴れる過程が小萩の気付きにも繋がっていていいお話でした。
御隠居が奥様を亡くした悲しみや寂しさは消えることはないけれど和らいでいくきっかけを小萩とお菓子が作れたことに目頭が熱くなってしまいました。
家事や販売業務も担う女性は男性と違って菓子職人の修業だけに専念できない。
そのもどかしさが小萩の内心にもあるようですが腐らず今出来ることで精進していこうとする彼女は健気だと思います。
留助さんの恋話は実ってよかったです。留助さんの作る栗蒸羊羹はとても美味しそうです。
地味美人のお文お嬢さんが再登場してくれてうれしいです。
小萩の良き友として引き続き出番がありますように。
危惧していた対決縛りがなくなってよかったです。 -
中島久枝さん「ふたたびの虹」、日本橋牡丹堂菓子ばなし№3、2018.7発行、江戸人情物語、ほっこりします。初秋:月見菓子、晩秋:栗蒸し羊羹、初冬:五色生菓子、仲冬:門前菓子 の4話です。もっと続いて欲しいです!
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和菓子の面白さがある。
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いろいろとせつない。
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202112/シリーズ全8巻まとめて。江戸の菓子屋が舞台というのも好みだし、読みやすく面白かった。主人公が、菓子に見せられ鎌倉で旅籠を営む実家を飛び出してきたわりには、菓子への情熱や職人としてのひたむきさがあまり感じられないのでそこは残念。でも職人らしい気難しさもありながら気のいい菓子屋の面々や、我が道をいく呉服屋の女将お景など、周囲の人々の描写も魅力的で、楽しく読めた。
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結構重いかもしれない話を(時代小説独特の「どうしようもなさ」みたいな?)さらっと書いてくれるのが楽しい。
わりと、自由なんやな~って思うと肩の力を抜いて読める。そこがいい。
でもみんな必死に生きてる真摯さもいいのよね。
続編もリクエスト済。小萩ちゃんは主人公としてめっちゃかわいいし好きやけど、ここまで彼女の行く末が心配でない話も珍しいな。笑。
いや、何やろね、小萩ちゃんは絶対に幸せになれるやろという安心感がある。そういうところもええねんな。 -
夜少しずつ読むつもりだったのに…
ハマってきた…