猫の傀儡(くぐつ)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334911652

感想・レビュー・書評

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  • 猫目線、カラス目線。面白かった。
    私らカラスは、一生同じ相手と添い遂げるんだ。こうして言いたいことを言い合っていかないと、とても持ちやしないよ。
    人も同じだきっと。

  • 西條 奈加作品。3作品目。

    江戸、猫町のミスジは傀儡師となって、傀儡の阿次郎を使って依頼をこなす、連作短編集。

    壱、まず暇であること。弐、察しと勘が良いこと。参、若い猫並みの数寄心をもち合わせていること。肆、何よりも猫が好きなこと。
    ご存じ、傀儡四箇条です。私には、弐参が微妙かな。ウチの猫の言いたい事すら判らないからなぁ。まぁ、ウチは俗にいう”マンション猫”のため、集会にも出なければ、傀儡師にもならないと思うけど、、、

    傀儡師のミスジと阿次郎のやり取りが傑作です。上手く傀儡を操るところは、さすが!と感心してしまいました。猫と人間の関係って、本来、こうありたいものです。一番大事なのは、「壱、まず暇であること」が、悲しい。

    『三日月の仇』:動物に残酷なことをする子供の話。どの時代でも、心に溜まっている子はいるとは思うけど、やっぱり悲しいね。動物に復讐された子が、憎悪を膨らませたまま大人にならなきゃいいけどと、願う。だけど、最悪の場合は、「猫の祟り」にお願いすることになるのだろうなぁ。

  • 直木賞を取った。と言うニュースで、「そういえば、この作家さん、読んだことがないなー。お名前は知っているけれど。」と思い、読んでみた。

    猫好きなので、まずは猫からだと思い、その作品を読んだのだが。。

    面白い。の一言。

    リズムの良い文体、読みやすい言葉選び、風景がくっきりと浮かぶ文章。
    全てが自分にはあっていたようで、あっという間に読み終えた。

    これ、シリーズ化してないよな?
    シリーズ化していたら、読みたいなー。。

  • 江戸の人情と猫情(?)、猫による猫のための連作短編。

    「人を操り、人を使い、猫のために働かせる。」そして問題を解決していくというお話なのだが、これ、大喜びで志願する人間が多く居そう。
    小さなユキが可愛くて可愛くて、胸をかきむしり悶えました。阿次郎の気持ちがよく分かります。
    猫好きが幸せになれる本。

  • 猫が人を(気)遣う話。読みやすい。

  • 猫が傀儡師となって、人間を傀儡とし、事件解決に奔走させるというもの。てっきり、人間が猫を傀儡にして、、、と思って読み始めたら、逆でした。この上下関係の設定はこれまで読んだことないかも。
    人間が絡んで猫だけで解決するのは難しい事件を、傀儡の人間を使って解決するのですが、あくまでも猫に操られていると気づかれぬまま人間を事件解決に誘導させるのがこの物語のミソ。傀儡に選ばれた阿次郎のキャラもあるのだけれど、これがなかなか上手に猫が人間を誘導しているのが楽しくて面白かった。動物側の脇キャラも皆が皆個性的で魅力的だし、読んでいて楽しいことこの上なし。先代傀儡師の順松の一件もホロリとさせられながら最終的には綺麗に解決し、一冊でのまとまり感があって満足ですが、最後の順松の傀儡であった時雨の言葉が意味深で、これは是非とも続編を期待したいところ。もともと西條さんの作品で、好きなシリーズが多いのですが、こちらも是非是非。

  • 猫が猫の住み良い生活のために
    人間を操る傀儡師となる。

    先代の猫の傀儡師が 行方知れずになったので
    今回 選ばれた猫のミスジ。

    人間は 自分が選ばれているとは知らない。

    それをうまく操って 事件を解決に
    導かないといけない。

    というような話。

    短編集で 読みやすかった。

  • 猫と江戸モノをこよなく愛する自分には、至福の時間だった…。
    猫の感覚に関する描写がすごい。西條さん、実は猫なんじゃ?(笑)

    続編を待望!

  • 「猫の傀儡(くぐつ)」・・・傀儡とは操り人形のこと。「猫が人形を操るって、どういうこと?それとも、猫が操られる方なのかな?(表紙絵では、人のように着物もきているし)」と思って読んでみると、これは思った以上に猫が猫として、大活躍しているお話でした。
    詳しく書いては、読んでいない方の楽しみを減らしてしまうと思うので書きませんが、私はとても気に入りました。江戸っ子な猫たち、いいです。
    他の方が書かれているように、一冊で気持ちよくまとまっていますが、私は続きが読みたいです。

  •  アンソロジー『江戸猫ばなし』に収録された『猫の傀儡』とその続編を収録した連作短編集。
     傀儡師の猫ミスジと、ミスジの傀儡にされた人間・阿次郎のお話。
     ミスジの前に傀儡師をしていて、行方不明中の順松のことが話の根底にあります。

     どのお話も阿次郎の勘が冴えているのか、ミスジの傀儡師としての才能がいいからなのか、見事に解決はしますが、切ない終わり方をするお話が多かったかな。




    ネタバレかもですが…









     最後、阿次郎と春奴がくっ付くのかと思ったよー。

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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