- Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334914363
感想・レビュー・書評
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ぞぞぞ…っとします(笑)
第一話からふつふつと感じる梶原家の不気味感…
最後まで読むと不気味感に加えて恐怖やら、気持ち悪さやら、色んなイヤーな感情を味わえます!
嫌な気持ちを感じさせられるのに、読みたくなる不思議。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
危険な一冊。
すごいな。登場人物達の口からこぼれ落ちる言葉に何度もざわざわと震えさせられた。
そして各章、目くらましのような術が張り巡らされそれに気づいた瞬間に心はきゅっと縮み、その巧みな目くらましの術に感嘆すると同時に縮んだ心がぶわっと解放されていく、そんな感覚。
これがたまらない。
最終話はやられた。
これはまるで大きな落とし穴にハマったよう。
心だけでなく、毛穴まできゅっと縮んだ。
そして鳥肌。
家族って、親子、母って…あぁ、怖っ。
こんな読後感を味あわせてくれるなんて良い意味で危険。
完全、矢樹作品中毒患者状態。 -
第五話まである短編集。
登場人物が、どこかで繋がっていて、最初から不穏な空気を纏っている。
そして、それぞれが嫌な感じのトラブルを起こす。
この嫌な企みが、なんともいえない気持ちの悪さの正体なんだが…。
母親とは、ひとつ歯車が狂うと狂気に変換してしまうのか…と恐ろしくなる。
これは、どうなるのか…と一気読みせずにいられない。
最後の五話のマザー・マーダーで、姿を見せない息子の存在が明らかになるのだが、まさかの結末だった。
ここまで、騙されるとは…想定外だった。
母親の支配力の凄さに驚愕し、恐さを覚えた。
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5篇からなる連作短編集だが、夫々の話における主人公が異なり、個々の話に著者のお家芸でもあるキレのあるたどんでん返しが仕掛けられている。それでいて本作のキーとなるキャラクターが横串となり、ラストにはまた強烈で鮮やかなオチ。読み終わると至るところに伏線が仕掛けられていることに気付かされる。
念願のマイホーム後のローンと隣家とのいざこざ、夫婦間のすれ違い、詐欺、引きこもり&自立支援、中学生の不登校等、ありがちな家庭の問題と社会問題をベースにしているし、心理的にも違和感なく、物語にすぅ〜っと引き込まれる。それ故、読了後のしてらやられた感とザラッとした感情のギャップが激しく後を引く。巧いなぁ。
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歪んだ母性が、やがて世間を震撼させるおぞましい事件を引き起こす…
衝撃的なタイトルにイヤミスセンサーが働き、手に取りました。ビンゴ。ゾッとする連作短編集。 -
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第一話 永い祈り
第二話 忘れられた果実
第三話 崖っぷちの涙
第四話 シーザーと殺意
第五話 Mother murder
一話ごとの短編かと思いましたが、
五話繋がって一つのお話でした。
読み進むにつれて謎が明らかになるのではなく、
次第に深みにはまっていく感じがしました。
読み終えて感じたのは、一話ごと異なるテーマに
焦点を当てて描かれていたはずの話が、気づけば
一つの強い想いに練り上げられていた気がします。
それも深い狂気を含んだ恐ろしく純粋な想いに。
予想以上に心を持っていかれた、
とても心地よい充実感を覚える余韻でした。
個人的には『忘れられた果実』と
『Mother murder』が特に印象深いです。 -
五話から成る連作短編集。
どの話にも出てくるのが梶原家。
梶原家に住んでいるのは看護助手をしている母とひきこもりの息子で、かつては父親と母の親が住んでいた。父親とは離婚。親は亡くなって現在は二人暮らしだ。
ご近所トラブルだったり、職場でのいざこざだったり、その中心にいるのは母、梶原美里だ。彼女が息子への愛情は異常なほどだ。
そして四話目に中学校時代の息子が出てくる。
ここから物語は急展開して最後の母親殺しに至るが、驚きの結末だった。