見えない貌

著者 :
  • 光文社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (579ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334925055

作品紹介・あらすじ

行方不明になった娘は、無惨に殺されていた!事件を追う母親・日野朔子は、「メル友に会いに行く」という言葉と残された携帯電話からある男にたどりついたが…。思いもかけぬ、第二の事件が発生する!現代の歪んだ"道具"と人間関係の中に描き出された親子の絆とは?著者、五年ぶりの最新長編推理、堂々の刊行。

感想・レビュー・書評

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  • 何故だろう。
    被害者である晴菜にも、母である朔子にも、まったく共感できなかった。
    出会い系サイトで知り合った晴菜と彰。
    二人とも嘘のプロフィールを作成し、やがて実際に会うまでの仲になっていく。
    結婚していながら出会い系サイトを利用し、夫に内緒で彰とメールを通じて何回も会うようになる晴菜。
    高校生なのに年齢をごまかし、人妻である晴菜とのデートを楽しんでいた彰。
    嘘のうえに成り立っていた二人の関係。
    そこに真実があるわけもなく、徐々に彰にのめり込んでいった晴菜には彰を責める資格はないと思う。
    まして夫との結婚生活が思うようにいっていないからといって、どうして短絡的に「彰と結婚」と思えるのだろうか。
    まるでそうすることが当然のような晴菜の言動が理解できない。
    朔子と晴菜にもやはり微妙な距離感を感じた。
    母と娘の関係は複雑で、愛情はあってもそれが直接的に感じられることは、何か起きたときでなければなかなか難しい。
    遺された手紙を読むと朔子がそれ相応の気配りが出来る人だったことがわかる。
    それでも、真実を見極める前に起こしてしまった不条理な行動は、母としての盲目的な愛情によるものなのだろう。
    親の愛情は深い。どこまでいっても、たぶんそれが涸れることはない。
    朔子は許されないことをした。間違った行動だったし、そもそも朔子を動かした決定的な事実そのものが勘違いだった。
    心の中に「無駄死」という言葉がふっと浮かんで消えた。
    母娘の絆はときに美しく、ときに怖ろしい。

  • 夏樹作品の根幹には愛があることを改めて伝えていただきました。しかし、電子メールという貌(かお)が見えない交際から生じる凶悪犯罪を憂慮して書かれた作品とおっしゃってたけど、その取材力をも合わせて脱帽。

  • MixiなどのSNSが大ブレークしている今日、顔の見えない他人との出会いによる、メール友をめぐっての殺人事件は時宜に合った推理小説です。若い人妻の突然の失踪と殺人死、そして引続き第2の事件が起こる。携帯、パソコンによる見えない相手とのメールによる出会いの怖さを感じさせられました。どこにでも有り得そうな話しだからです。しかし犯人像は割りに早く、鈍い私でも推測が出来てしまい、意外感はなかったです。そして結末も第2の事件の真相は明らかにしないものの、読者に十分に推測させる余韻を感じさせてくれるところがいいです。

  • 視点が変わるので、感情移入しにくかったです。

  • 出会い系サイトで出会った相手に殺された娘
    犯人と対決しに行き、同じく殺されてしまった母
    いったい何があったのか
    真実は・・・・?!

    被害者たちに感情移入できず、読んでいてイライラ
    そこが狙いなのかもしれないけれど。
    確かにネットは顔が見えない。
    だからそこを題材にすれば、極端な話、なんでもありなんじゃないかと思っちゃったなぁ

  • まるで先の読めない展開に振り回されました。「ええ?」の連続。大きなトリックや仕掛けはないものの、ものの見事にやられたなあという心境です。
    出会いサイト、顔の見えない「友人」というテーマから生み出された物語。こういう事態は現実の事件でもよくあるし、事件に発生しない「普通」の段階だとさらにありふれたことなんだろうなと思うけれど。考えてみれば、そういうところにどっぷりはまりこんでしまう心情って悲しいし淋しい。現代社会の病理という感じでしょうか……。

  • 久しぶりの夏樹静子。
    読みやすかった。
    途中で
    あぁ、もしかして
    と思った人物が犯人だった。

  • 読んだ日 2007.12 (借:大村市民図書館)(45/88)

  • 久々に夏樹さんの本を読みました。とても分厚い本です。親の子供に対する愛情は共感できたものの、主人公の娘に共感できなくて、いまひとつ没頭できませんでした。ここまで長編にする必要があったのでしょうか。

  • 数年ぶりの夏木静子さんの新作です♪ずっと休養をとってたんですよね。長かった・・・ 。久しぶりに読んだせいか、少し違和感というか、文体が硬いような気がしたけど、ヨカッタです。これからまた新作が読み続けられるといいなぁ♪
    最近新作が借りやすい小規模の図書館を発見!穴場です。

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著者プロフィール

一九三八(昭和一三)年東京都生まれ。慶応大学在学中に長編『すれ違った死』が江戸川乱歩賞候補に選ばれる。七〇年『天使が消えていく』が再び同賞の候補になり、単行本化され作家デビューを果たす。七三年『蒸発』で日本推理作家協会賞、八九年に仏訳『第三の女』でフランス犯罪小説大賞、二〇〇七年日本ミステリー文学大賞を受賞。主な著書に『Wの悲劇』『』や「検事 霞夕子」シリーズなどがある。二〇一六年没。

「2018年 『77便に何が起きたか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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