- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334926182
感想・レビュー・書評
-
実に、実に行間の読み甲斐がありました
もう、行間しか読んでない詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
二編の連続した中編が入ってますが、いずれも突拍子のないトリックで、解決の納得感がない。
ミスリードするために出てくる登場人物も本当にただそれだけの存在価値だし。
キーとなる「妃」のキャラクターも、浮世離れしてるのはよくわかったけど、そこに魅力を感じない。
火村先生をして初めて逡巡させた相手、ということで特別なキャラクターではあるのだろうけれど、だからこそ、ミステリアスな中にも人間らしく、惹かれてやまないキャラクターにしてほしかった。
全体として凡庸な印象で、残念です。
個人的に、「猿の手」の解釈の下りは好きでした。
原典を読んでみよう。 -
『第一部 猿の左手』
『幕間』
『第二部 残酷な揺り籠』
2つで1つのお話。
どちらもなかなか切ない。
『猿の左手』の方が奇想天外。そんなトリック見破れない(笑)。
作中で『猿の手』という作品について、火村先生と有栖川先生が議論しているシーンが好き。
実際に有栖川先生と北村薫さんが行った議論を用いたみたいで、その内容に驚く。
『猿の手』という作品、私も読んでみたくなった。
幕間での、有栖川先生とバーの女主人“シンシア”さんのやり取りが印象的。
有栖川先生「もしも、三つの願いが叶うとしたら、何をお祈りしますか?」
シンシアさん「何も頼まないでしょう。だってそんなの、虫がよすぎて後が怖い。」
素敵な返答だ。シンシアさんは「退屈な答え」と断っているけど、よく考えている。
私も咄嗟にこんな事が言えるようになりたい。
(2013/2/16 読了) -
中編二本がまとまって一つの長編になってる本。作家アリスシリーズです。作中で海外作品のストーリィについて言及してるためあとがきじゃなくて、はしがきがありました。「猿の手」、ちょっと読んでみたいな。
願いをかなえてくれるという「猿の手」を持っている女性を中心にした事件が二つ。中編なのでがっつり凝ったトリックがあるわけじゃなく、かといって何もないわけじゃなく。話の筋としては始めの「猿の左手」のほうが好きです。そういうトリックでくるか、と。それに絡まる描写とか、読み返すと非常に面白いし上手い。あと、朝井の姐さんが出てきたし。姐さん、相変わらず好き過ぎる。
作中で、客に外人名を勝手につけて呼ぶ店ってのが出てきて、火村がゲオルグ、アリスがミハエル、小夜子姐さんがソフィアと呼ばれてました。なんか、うまいよね。確かにそんな感じがするもん(笑)
二編目の「残酷な揺り籠」はまずタイトルが好き。あと犯人を追い詰めていくあたりが好きです。これはあれかな、火村はトリック部分というか、筋自体は分かっていたけど動機部分が分からなかった、ってことなのかな。それをアリスが考えた、と。まあ作家だから想像力はあるよね。こういうホームズ&ワトソンの組み合わせの話ってどうしてもワトソンが無能に見えてきちゃうから、少しでもいいからワトソンの活躍が見れるととてもうれしい。
どちらも有栖川らしい色が出てて楽しめました。たしかにこれは二編まとめた長編だな、と。
08.08.10 -
有栖川有栖の中編のような長編のような。
中編+幕間+中編ていう構成になっていて、別の話なのに繋がっているという少し変わった本。
感想は色々あるけれど。
コマチさんのストレートな質問に感服です(笑)よく聞いてくれた! -
有栖川。くどいし、情緒的すぎ。好きな人には人気があるのだろうけど、ミステリ(推理)としてはちょっと物足りない。
-
切ないな
-
火村先生シリーズは面白い!妃をやり込めつつも人間的(?)な感情を見せる火村先生が素敵です。授業中の対応もクールだし…
-
中編2作を収録。むしろ、著者の前書きにも書かれているように全体で長編とみなした方がいいのかもしれない。2作目単体で読んだのでは人間関係の複雑さが理解できない。1作目の方は「猿の手」を題材にしているが、一般的とは異なる解釈に目から鱗が落ちる思いだった。それとともに、元となった「猿の手」を知ったときに感じたよりどころのない違和感が今になって解消された。