妃は船を沈める

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334926182

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった割に何故か不完全燃焼気味にもやもやする。犯人に全く共感出来なかったせいかしら?

  • 臨床犯罪学者・火村英生、かつてない強敵と対峙す!
    三松妃沙子。「妃」と綽名される彼女の周りには、いつも若い男たちが集まっていた。自由で貧しくて、少し不幸な彼らとの時間に彼女は、何を求めていたのか。願い事を三つだけかなえてくれる猿の手に、あるいは不穏に震える揺り籠の中で、何を祈ったのだろう。
    倫理と論理が奇妙にねじれたような、不可解な二つの事件の背後には、濃くゆらめく彼女の気配があった。
    臨床犯罪学者・火村英生、罪深くも誇り高い難敵に挑む。

  • ミステリーの中でも「本格派」に分類される作家さんの作品をあまり得意としない自分が、
    有栖川有栖を読む日が来ようとは。てかちょいと昔読みました。否、だいぶ昔、かなり昔、
    それこそ「月光ゲーム」とかの時代以来だから、10年以上昔の話になります。
    年齢とともに食べ物の好みが変わるように、読書の好みも変わるかも。なーんて。
    基本、例えば密室の推理モノは好きでもなければ嫌いでもありませんが、
    正直寝る前の読書人間としては、あまり頭を使ってあれこれ考える内容は、ちょっと・・・。

    実はこの作品、大好きな北村薫がからんでいます。だから買ったんだけどねー。
    「猿の手」という海外のお話。怪奇小説の名手、ウィリアム・W・ジェイコブズ作。
    所有者の願いを3つだけ叶えてくれるかわりに、
    その願いに見合った不幸も降りかかる、という内容の解釈について、
    有栖川氏と北村薫が、作中で意見交換をしています。もちろん登場人物は別の名前ですが。

    正直車体水没の犯人や、密室殺人の謎や、地震にからめた推理なんてあまり興味はなく、
    「猿の手」をモチーフにしたミステリーとしての、著者の引き出しの広さが印象に残りました。
    すなわち、願いをかなえることと同様の不幸や災いが自身に起こること。
    それは真っ当に生きる人間も、そして良からぬことを企てる犯罪者も同じです。
    そう考えると、「猿の手」にからめたストーリー展開が、
    トリックうんぬんではなく話の全体として悪くない感じがします。

    「妃は船を沈める」っていうタイトルも好き。
    妃は作中の妃沙子のこと。彼女がね、”猿の手”の所有者なのさ。
    船を沈めたし、それは自分の乗った船でもあったし。

    超自然現象的な解釈は私もあからさまな描写なし派。
    ★★☆☆

  • 火村&アリスシリーズ。
    『猿の手』『3つの願い』そんな話あったなぁと懐かしい気持ちになった。新顔のコマチさんが登場。刑事の輪が広がる広がるw。
    幕間のアリスの語りが個人的にすごく共感できたかな☆彡

  • 所有者の願い事を3つだけ、かなえてくれる「猿の手」。〈妃〉と綽名される女と、彼女のまわりに集う男たち。危うく震える不穏な揺り籠にに抱かれて、彼らの船はどこへ向かうのだろう。――何を願って眠るのだろう。

  • 2011.04.16

  • 20110205

  • 中編2本と幕間の一本、どれもすっきりとまとまっていて読みやすい。
    奇抜なトリックや現実には不可能な犯罪ではなく、
    発想の転換や筋道だった推理によって事件が解決されるところがいい。
    中編が一見何の関係もなさそうに見えて実は絡み合っているというのも一興。
    幕間の行間から香ってくる雰囲気と後半一気に盛り上がる推理は有栖川有栖の骨頂か。

  • 読書完了日2011年03月09日。

  • +++
    所有者の願い事を3つだけ、かなえてくれる「猿の手」。“妃”と綽名される女と、彼女のまわりに集う男たち。危うく震える不穏な揺り篭に抱かれて、彼らの船はどこへ向かうのだろう。―何を願って眠るのだろう。臨床犯罪学者・火村英生が挑む、倫理と論理が奇妙にねじれた難事件。
    +++
     はしがき
     第一部 猿の手
         幕間
     第二部 残酷な揺り籠
    +++

    三つの願い事を叶えてくれる代わりによくないことをも引き寄せる、と言われる猿の手にまつわる殺人事件と、地震という大きな揺り籠に思惑を狂わされることになる殺人事件。ふたつの事件はどちらも妃こと三松(設楽)妃沙子の身近で起きたものなのだった。犯罪心理学者・火村英生と助手兼語り手の有栖川有栖のコンビがどちらの事件にも借り出され、ああでもないこうでもないとろくでもない思いつきを言うアリスを置いて、火村先生の推理と謎解きが冴えるのである。物語の中でもすっかり有名になったこのコンビであるが、アリスの判りやすさに比べ、樋村先生の真実がなかなか見えてこないのがもどかしくもある。彼を犯罪現場に駆り立てるのはいったい何なのだろう。それが明かされるのはシリーズが終わるときのようにも思うので、知りたいようなまだ知らなくていいような、複雑な気持ちである。今回の事件では、真相をまず誰に話そうか悩んだ火村先生がいつもに似合わず揺れていたのも気になるところである。妖しく不思議な設定だがいつもながらに見事な一冊である。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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