罪と罰の果てに

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (451ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334926861

作品紹介・あらすじ

海辺の町に暮らす二人の少年。それぞれに、決して幸せとは言えない家庭の事情があった。その二人を救ってくれた男がいた。両親とともに入所した「理想郷」のはずが、父母とは離され地獄を彷徨う幼い兄妹。兄は命がけで妹を守った。「神」を見た二人の少年。地獄を見た幼い兄妹。17年後、彼らは真実を知る。

感想・レビュー・書評

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  • 読み応えがあり一気に読了。
    新興宗教団体をめぐる1冊。

    「一人の人間が妄想に取り付かれると、それは精神異常と呼ばれる。しかし、多くの人間が妄想にとりつかれると、それは宗教と呼ばれる。」

    「この世には宗教が有る無しに関わらず、善き事をなす善人も、悪事を成す極悪人も存在する。しかし、善人が悪事を成すには宗教が絶対に必要である。」

    「人間は、宗教的な確信を持って行う以上に、完璧かつ快活に悪事をこなすことはない」


    光文社

  • 星3つ半です。素材が新興宗教やらアフリカ難民問題やらてんこ盛りで、タイトルからして深刻な内容かと思ったら全然違った。序盤の展開から、多分 落としどころはこういうことかなと思ったらやはりそうだった 笑。ワイルドな娯楽小説だけどテンポが良いので一気に読み終えた。

  • 貧困や新興宗教など、目を逸らしたくなる問題を取り込んではいるが、どうにも退屈なストーリーが続くだけで今一つ入り込めなかった。
    ハードな作風は好感を持てるものの、お飾り程度にしか見えず残念だった。

  • 海辺の小屋で殺害されたキリストさんと呼ばれる男、その男を殺害した少年、その同級生、美しい妹、その兄妹が所属していた宗教団体、それらが数十年後に再び交わり、事件が起こり収束する。胸を打つラスト。全ての伏線と謎が破綻なく綺麗に繋がる。ページ数が多いが、最後まで一気に読んだ。間違い無く、今までの永瀬隼介の作品で一番。世の中に数あるミステリーの中でも秀逸の作品。大河的なストーリーは、東野圭吾の幻夜・白夜行を彷彿させる。

  • 世間から隔離された新興宗教の施設で暮らす様は、読んでいて「八日目の蝉」を思い出しました。
    「一人の人間が妄想に取り付かれると、それは精神異常と呼ばれる。しかし、多くの人間が妄想に取り付かれると、それは宗教と呼ばれる」(本文より抜粋)
    なるほど、言い得て妙だわいな。。

  • #読了。千葉の片田舎で、親に恵まれない少年、カルト宗教から逃げ出した兄妹が出あうが、ある殺人事件をきかけにばらばらに。17年後、別々の道を歩んでいた4人は再会するが。。。宗教、アフリカ問題など、少々手を広げ過ぎの様な。

  • 永瀬隼介『罪と罰の果てに』読了。カルト、少年犯罪からアフリカの紛争問題まで、ありとあらゆる黒い渦が詰め込まれている。結局最後は暴力による解決(解決か?)となってしまったのが残念。

  •  天使のように可愛い妹・聖美(きよみ)。僕達は親とも離れ、2人きりで生きていかなくてはいけなくなった。大丈夫、僕がいつまでもお前を守ってやるから―――。家族ごといわゆるカルト施設に入ってしまったため幼い頃から過酷な生活環境におかれ、兄妹は壮絶な人生を送ることになる。

     妹を守るために兄・聖斗(きよと)は殺人をも厭わない。2人きりの兄妹なのだから俺が妹を守らなくては、という兄の義務感はもちろんわかるのだが、聖斗のすれ具合や、妹への執着の度合いはどう考えても異常。美しくて無垢で・・・というだけでは弱すぎるので、きっと何か他にも理由があるのだろうと思っていたのだが、特に最後まで何もないし、当の妹の魅力もいまいちわからずじまい。キリストさんの正体には「おぉ」と不意をつかれた感じだったけど、決着の仕方がハードボイルドというのも好みではなかった。

  • なかなかのスケールで描かれた作品。
    様々な問題が小説の中に取り入れられていて、それらは興味深く、面白かった。
    何十年も渡っての話なので飽きるかと思ったけど、全く飽きることなく読めた。兄妹愛に、友情、家族間問題、国際問題・・ありふれた内容のようだけど永瀬さんの描く世界はそうではない。終始不思議な感覚にとらわれながら読める。とても読み応えのある作品だった。

  • 読んでいる途中は、扱われているテーマの多様さと小説としての面白さのバランスという点で、マイ本棚初の☆五つか……?と思ったのですが。
    読後、あえなく四つになりました。いや、ものすごく面白かったのです。が。

    どうにもこうにも聖美が好かん。
    成長後の少年らの一人と恋に落ちる描写の、彼女のことがあまりにも神格化され、そして恋の成り行きは少女漫画化されているところに失笑してしまった。
    ああ、アタシ性格悪くてスイマセン。
    自分はこういう、いかにも男性が好みそうなファム・ファタルってのが胡散臭くて、感情移入できないのだな、としみじみ思った。
    (ちなみに東野御大の「白夜行」のヒロインにも同じことを思った)

    あれだけ身を粉にして、盾になって、ボロボロになって自分を守ってくれた兄に対し、なんなのだあの態度。
    まるで自分一人で大きくなりました的な。
    生き方の違い、価値観の違いに反発するのは分かるよ。
    でもあんな全否定的な!あり得ない!

    このヒト、アフリカの女性や子供たちに対しては身体を張って心を砕くけれど。
    「受け容れられない」と思った兄のことは、こんなにもすっぱりと冷たく突き放すんですよ?
    理解しようとかそんなの一切ナシ。なんだこいつと思ったのは、アタシだけか^^;これぞ、男性にとってのヒロイン中のヒロインと思ったほうがいいのだろうか……

    というわけで、聖美とそりが合わんという一点のみで、☆四つになりました。
    嗚呼心が狭くてごめんなさい。

    ですが、あらゆるテーマが絡み合い、人と人の因縁が紡ぎ出すドラマに、目が離せない内容なのは事実です。
    特に少年たちの描写は秀逸……キリストさん……
    その点は、☆五つでもおかしくないくらい面白かった。

    テーマと小説としての娯楽性のバランスが絶妙という意味で☆五つなのは、今のところ天童荒太先生の「永遠の仔」だけかもしれないなあ……

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著者プロフィール

永瀬隼介

1960年鹿児島県生まれ。國學院大學卒。週刊誌記者を経てフリージャーナリストとなり、祝康成名義で『真相はこれだ! 「昭和」8大事件を撃つ』を刊行するなど事件ノンフィクションを中心に活躍。2000年『サイレントボーダー』で小説デビュー。事件現場で培った取材力を活かし、現代の深部を抉る骨太のサスペンスや犯罪小説を発表している。近著に『帝の毒薬』『カミカゼ』『三日間の相棒』『白い疵 英雄の死』『12月の向日葵』など。ノンフィクションに『19歳 一家四人惨殺犯の告白』などがある。

「2022年 『殺し屋の息子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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