小説あります

著者 :
  • 光文社
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感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334927707

感想・レビュー・書評

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  • +++
    N市立文学館は、昨今の自治体の財政難が影響し、廃館が決定してしまった。文学館に嘱託として勤めていた老松郁太は、館の存続をかけて、文学館の展示の中心的作家・徳丸敬生の晩年の謎を解こうと考える。30年前、作家は置き手紙を残して失踪、そのまま行方不明となったままなのだ……。好評を博した『おさがしの本は』姉妹編、待望の刊行!
    +++

    突然失踪し、この世から姿を消した小説家・徳丸敬生の暮らした家をそのまま文学館にしたN市は、財政難を理由に、文学館の廃館を決めた。そこの嘱託職員である老松郁太は、偶然にも神田の古本屋で、徳丸敬生直筆のサインの入った遺稿集をみつけ、その謎を解くことで廃館を免れることができるのではないかと考える。徳丸の謎と、郁太の家族との立場をめぐる駆け引きが、絡まり合いながら進んでいく。結局のところ、スッキリしたようなしないような結末に落ち着くのだが、なんとなくほのぼのした気持ちにもなる一冊でもある。

  • 20131221読了
    #本

  • 門井さんの本は小難しくて文体とかはあまり好きじゃないんだけど、いっつもタイトルに惹かれて借りてしまうのは本読みの性だろうか。『おさがしの本は』の姉妹編ということで『おさがしの本は』の主人公の彼が結構いい味出してる。今まで読んだ門井作品の中では一番登場人物に血が通っていたような気がする。でもやっぱりのめりこみやすい文体じゃないんだよね…。2011/561

  • 古本屋で見かけた“本人のサイン入り”遺稿集の謎を経糸に、閉館しようとする文学館の存亡を賭けた「小説の存在意義とは何か?」という問答を緯糸にして織り上げた物語。
    「私はなぜ小説を読むのか?」……面白いから、ではダメなのね(^^;
    正直、この問答の中で提示された答えは、そんなに納得できるものではなかったけれど、考えるきっかけにはなったかな?
    兄弟のやりとりはそれなりに面白かったし、姉妹作らしい『おさがしの本は』もちょっと読んでみたい。

  •  同著者の「おさがしの本は」に続く、探書(?)ミステリ。
     廃館する文学館存続のために奔走する兄と、実業界へ呼び戻そうとする弟。
     行方不明となった小説家と、翻弄される遺族。
     そして、謎めいた遺稿集と、小説の有益性を問う論争。
     “小説は人間にとって何の役に立つのか”、その決着の仕方については、正直なところあまり腑に落ちてはいない。
     衣食住とは異なり、無くても生きていける筈の小説を、なぜ人は次々と生み出し、手にするのか。
     突き詰めれば、人類は、物質的な充足だけを目的として生きる生き物ではないということだろうか。
     それは、役に立つかどうかではなく、ひたすら心の内に『物語を求める』生物だと言えるのかもしれない。
     尚、「おさがしの本は」で活躍した和久山が、本書ではスピンオフ的に、兄側の助太刀として尽力してくれたのが嬉しく、頼もしかった。
     前書を読んだ者への後日談サービスもちらほらあって、さりげなく楽しめるのも良い。

  • 文学館の事、徳丸敬生の事、家族の事、等々…話が広がり過ぎてまとまりがないような…。イマイチすっきりしなかった。
    兄弟の話は無しにして、美夏や音海との話を増やしてほしかったかも。
    結局、郁太と勇次は似た者同士だったってことみたいだし。

    和久山は登場が少なかったけど、相変わらず出来る人。まさかの結婚にビックリ。子供もって早くない?

  • 『お探しの本は』、の主人公もちょろっと出てくる、『お探しの本は』から未来の物語。
    連作と言うほどではないけれど、世界観がつながっているなーと言う印象。
    文学館の非常勤職員をしていた兄(社長になれる器を持っていた)の一人の作家についての物語。
    文学館は閉鎖することになり、民間に売却された。買い取ったのは社長になった弟の会社で、売却条件は文学館を残さないこと。
    料亭になる、という話に不満を抱き、文学館に関係のある一人の作家の直筆サインから、これが文学館をつぶさせないようにするための道にならないか、と奮闘する。
    そのさなか、弟と小説の必要性は何か。と論議になり、序盤から終盤まで引きずっていく。
    物語としては良く出来ていたかなー、とは思います。

  • 『おさがしの本は』が読みたくなりましたッ!

  • 「おさがしの本は」の続編といっても良いかも知れないですね。
    前作の主人公が立場を変えて、キーマンの一人として登場します。
    本作の主人公は非常に現実離れをしている人物像でリアル感にはちょっと乏しかったかも?
    サイン本の二重のトリックは面白かったです☆

  • 「おさがしの本は」の続編、と思ったら、姉妹編だった。そうだよね、あの終わり方じゃ続けようがないよな。ということで、前作?の主役だった和久山隆之がチョイ役で登場するだけの全く違うお話。一人の作家を巡り、社長職を蹴って文学館の非常勤職員をしていたお兄ちゃんと、そんな兄にやきもきしている社長となった弟。なんか、前作より面白かったな。小説とは何のために存在しているのか。小説大好きの私にも答えられない問いだ。しかし、統計書で孤独になる人がいるのかね。作家がなぜ結末を変えようとしたのかはさっぱりわからん。

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著者プロフィール

1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒業。2003年、第42回オール讀物推理小説新人賞を「キッドナッパーズ」で受賞しデビュー。15年に『東京帝大叡古教授』が第153回直木賞候補、16年に『家康、江戸を建てる』が第155回直木賞候補となる。16年に『マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代』で第69回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)、同年に咲くやこの花賞(文芸その他部門)を受賞。18年に『銀河鉄道の父』で第158回直木賞を受賞。近著に『ロミオとジュリエットと三人の魔女』『信長、鉄砲で君臨する』『江戸一新』などがある。

「2023年 『どうした、家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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