- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334927707
感想・レビュー・書評
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N市立文学館は、昨今の自治体の財政難が影響し、廃館が決定してしまった。文学館に嘱託として勤めていた老松郁太は、館の存続をかけて、文学館の展示の中心的作家・徳丸敬生の晩年の謎を解こうと考える。30年前、作家は置き手紙を残して失踪、そのまま行方不明となったままなのだ……。好評を博した『おさがしの本は』姉妹編、待望の刊行!
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突然失踪し、この世から姿を消した小説家・徳丸敬生の暮らした家をそのまま文学館にしたN市は、財政難を理由に、文学館の廃館を決めた。そこの嘱託職員である老松郁太は、偶然にも神田の古本屋で、徳丸敬生直筆のサインの入った遺稿集をみつけ、その謎を解くことで廃館を免れることができるのではないかと考える。徳丸の謎と、郁太の家族との立場をめぐる駆け引きが、絡まり合いながら進んでいく。結局のところ、スッキリしたようなしないような結末に落ち着くのだが、なんとなくほのぼのした気持ちにもなる一冊でもある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
20131221読了
#本 -
門井さんの本は小難しくて文体とかはあまり好きじゃないんだけど、いっつもタイトルに惹かれて借りてしまうのは本読みの性だろうか。『おさがしの本は』の姉妹編ということで『おさがしの本は』の主人公の彼が結構いい味出してる。今まで読んだ門井作品の中では一番登場人物に血が通っていたような気がする。でもやっぱりのめりこみやすい文体じゃないんだよね…。2011/561
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古本屋で見かけた“本人のサイン入り”遺稿集の謎を経糸に、閉館しようとする文学館の存亡を賭けた「小説の存在意義とは何か?」という問答を緯糸にして織り上げた物語。
「私はなぜ小説を読むのか?」……面白いから、ではダメなのね(^^;
正直、この問答の中で提示された答えは、そんなに納得できるものではなかったけれど、考えるきっかけにはなったかな?
兄弟のやりとりはそれなりに面白かったし、姉妹作らしい『おさがしの本は』もちょっと読んでみたい。 -
同著者の「おさがしの本は」に続く、探書(?)ミステリ。
廃館する文学館存続のために奔走する兄と、実業界へ呼び戻そうとする弟。
行方不明となった小説家と、翻弄される遺族。
そして、謎めいた遺稿集と、小説の有益性を問う論争。
“小説は人間にとって何の役に立つのか”、その決着の仕方については、正直なところあまり腑に落ちてはいない。
衣食住とは異なり、無くても生きていける筈の小説を、なぜ人は次々と生み出し、手にするのか。
突き詰めれば、人類は、物質的な充足だけを目的として生きる生き物ではないということだろうか。
それは、役に立つかどうかではなく、ひたすら心の内に『物語を求める』生物だと言えるのかもしれない。
尚、「おさがしの本は」で活躍した和久山が、本書ではスピンオフ的に、兄側の助太刀として尽力してくれたのが嬉しく、頼もしかった。
前書を読んだ者への後日談サービスもちらほらあって、さりげなく楽しめるのも良い。 -
文学館の事、徳丸敬生の事、家族の事、等々…話が広がり過ぎてまとまりがないような…。イマイチすっきりしなかった。
兄弟の話は無しにして、美夏や音海との話を増やしてほしかったかも。
結局、郁太と勇次は似た者同士だったってことみたいだし。
和久山は登場が少なかったけど、相変わらず出来る人。まさかの結婚にビックリ。子供もって早くない?