吸血鬼と精神分析

著者 :
  • 光文社
3.58
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本棚登録 : 173
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (803ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334927837

感想・レビュー・書評

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  • 矢吹駆シリーズ第6作。相変わらず分量的にも内容的にもすごいボリュームで、もはやミステリというより学術書。
    女性が血を抜かれて殺されるという連続殺人にモガール警視をはじめ警察が翻弄される中、ナディアは前回の事件の後遺症に悩まされて精神医のもとを訪れる。そこで知り合った少女に奇妙なことを頼まれたことから、彼女も事件に巻き込まれ…
    ラカンをモデルにした精神分析、ルーマニアのドラキュラ、キリスト教義などさまざまなピースが組み合わさって複雑な話を織り上げているが、もう少しシンプルに書いてくれないものか…と思うのはこちらが年をとったからだろうか。
    今回はカケルの出番も多いし、イリイチもチラッと登場。ラストの黒幕(?)には驚いたが、ムーミントロールの存在感が(ストーリー上)すごいのにはちょっと笑った。

  • 読了感満載。何度か理解不能に陥りましたが、今回も多くのことを学ばさせて頂きました。もはや学術書。想像するに難い笠井さんの知的情報量。

  • いやぁ、読んだ!
    哲学と宗教学と精神分析学の蘊蓄が凄い。これに耐えられなきゃ、この本は読めない。

  • 今回はジャック・ラカンを中心にした精神分析に、矢吹駆が挑みます。今回は現象学的推理がスムースに適応できず、どうなる事かと思いました。最後の犯人との対決部分のオチはちょっとびっくりしましたが・・・

  • 少し推理部分が冗長

  • 待ちに待ってた矢吹駆シリーズ六作目。相変わらず分厚い……ミステリーとは離れた哲学・神学的パートの方が多く、これまで読んできた中で一番、途中目が滑るまま読み進めてしまった。それでもお話の動きが青銅の悲劇の時よりも好みで(青銅の悲劇が個人的に非常にアレだったので、その後出てきたこの作品が大丈夫なのか実は不安だった)、一気読み出来る面白さがあって良かったなと。なので★は4つくらいで。
    最後にきた「!?」となる仕掛けがあまりに不意打ちだったのだけど、小説だしな……と思いつつなんとか飲み込んだ。あと相変わらず、駆と一緒の時のナディアは可愛く思えて癒しだった。
    既に連載は終わっているという次の「煉獄の時」の単行本化が楽しみです。

  • 2012/02/05読了

  • 矢吹駆シリーズ第6作。これまでの作品と同様に非現実的な状況の中での事件を、一つひとつ論理を積み重ねて謎を解き明かしていく。そこがこのシリーズの醍醐味。今回は精神分析がテーマだが、この1冊を読んだだけでも心理学のテキストを何冊も読んだ気になるほどの知識量。相変わらずペダンティックな部分のたまらない。

  • 久々の新作。
    ムーミンはカバというネタは日本だけのネタだとてっきり思っていた。

    内容は哲学の話がありますが、今回は精神療法の話がメインでした。
    大学で精神科の歴史や精神療法を少し勉強していたので、今回はそこまで混乱はしませんでした。相変わらず難しかったのですが。

  • 矢吹駆シリーズ。またしてもとんでもないボリュームで、とんでもない薀蓄の数々が。読み終えたときの充実感は圧倒的でした。
    「ヴァンピール」による連続殺人と、ルーマニアからの亡命者に関わる心理分析。一見無関係な事件に共通するある事柄。犯人と、その動機。魅力的な要素がいっぱいです。神学や心理学を巡る論議も盛りだくさん。とても勉強した気になりました。
    ひとつきりではない事件の解決は、ラストに至ってもなかなか気が抜けず。さらに宿敵イリイチの暗躍にも目が離せません。終盤では読む手が止まらず、一気読み必至。
    だけど一番衝撃的だったのは。ムーミンがカバではないと知ったことでした(笑)。

著者プロフィール

作家・評論家。1948年東京生まれ。
79年『バイバイ、エンジェル』でデビュー。98年編著『本格ミステリの現在』で第51回日本推理作家協会賞評論その他の部門を受賞。2003年『オイディプス症候群』と『探偵小説論序論』で第3回本格ミステリ大賞小説部門と評論・研究部門を受賞。主な著作に『哲学者の密室』『例外社会』『例外状態の道化師ジョーカー』他多数。

「2024年 『自伝的革命論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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