覚醒 上

著者 :
  • 光文社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334928179

作品紹介・あらすじ

国会議員を目前にしていた男。出馬表明を控えた日の早朝、気が付いたら泥酔状態だった。現行犯逮捕される。ジャーナリストとして取調べの全面可視化を訴えてきたが、この無様な姿をすべて録画・録音されると思うと、背筋が凍った。弁護士との二度目の接見時、家族について「非常に悲しいお知らせをしなければならない」と言われる。微妙な関係が続いていた妻、最愛の一人息子、誰の身に何があったのか。そして裁判の結果は…。刑務所に収監されることとなるのか。

感想・レビュー・書評

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  • TVのコメンテーターとしても活躍する売れっ子ジャーナリストが主人公。
    政界への転身直前に、飲酒運転で高校生をはねてしまう。また、同時期に息子も死なせてしまう。
    獄中でも、刑期を終えて福祉の仕事についてからも、罪悪感・喪失感・無力感から自殺願望を持ち続ける。

    ずっと読んでいてイライラ。作品後半に起こった事件をきっかけに、自殺願望から生きることへ向かっていくが、なんだか都合よすぎる。
    最後の最後に大どんでん返しもあるけれど、まったく突っ込んでいないので、これも物足りない。

    ジャーナリスト時代のエセ正義感を振り回す利己的な自分から、“覚醒”する様を描いているのだろうけれど、結局は周りに流されているだけで、これで本当の意味での気づきになっているとしたら随分とお手軽。


    ただ、知的障害者の福祉の現状を詳しく書いているので、その点は読んでいて勉強になった。

  • 紹介されて、読み始めました。
    最初は、あまり良い印象はなかったです。
    多くの疑問が伏線となって、最後には解明されるから、
    歯がゆいです。

    途中から、どんどん興味を持って呼んで行けました。

  • 飲酒事故で高校生をはねた売れっ子フリーライターのジェットコースター的人生。

    小説と言うよりは、哲学を語っている感じである。著者はもともとノンフィクション作家なので、そこで得た知識をふんだんに使っていて刑務所の現状など「そうなのか!」と思うこともある。

    内省的すぎるきらいはあるし、なにより小説の技法ははっきりいって拙いが、読ませる。

  • 仕事も過程も順風満帆だった生活が、致命的なミスから全てが崩壊してゆく。
    泥酔状態での運転、事故という自業自得の大罪ではあるが、あまりの悲惨さに恐怖で震えそうになる。
    幸せな生活は絶対的なものではないのだ。
    人生、何が起きるかわからない。
    辛かったのは幸一郎の死である。小学生が遅い時間に一人で家を出ることには少々疑問を持ったが慌ただしい中で正幸の妻の判断力もどうかしていたのかもしれない。
    何が覚醒してゆくのか、早く下巻を読んでみたい。

  • 実際に刑務所を経験された方だけに重みがあります。

  • 政界入り目前のジャーナリストが飲酒運転で事故をおこし、それをきっかけに…。さすが収監経験のある著者だけに、罪を犯した人間の心理描写がなかなかリアルです。障害者と彼らを取り巻く環境に関する記述にも感心させられました。世の中知らない事だらけだと。

  • フィクションではあるが,ノンフィクションであるかのような錯覚に陥る。著者自身が服役経験があることもあるが,留置所,拘置所内での被疑者の感情の揺れ動きが生々しく,そして的確に書かれているように思う。
    上巻しか読み終わっていないが,下巻を早く読みたいと思わせてくれる作品。

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著者プロフィール

1962年生まれ、元衆議院議員。2000年に秘書給与詐取事件で逮捕、実刑判決を受け栃木県黒羽刑務所に服役。刑務所内での体験をもとに『獄窓記』(ポプラ社)、『累犯障害者』(新潮社)を著し、障害を持つ入所者の問題を社会に提起。NPO法人ライフサポートネットワーク理事長として現在も出所者の就労支援、講演などによる啓発に取り組む。2012年に『覚醒』(上下、光文社)で作家デビュー。近刊に『エンディングノート』(光文社)。

「2018年 『刑務所しか居場所がない人たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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