不自由な絆

  • 光文社
3.85
  • (24)
  • (52)
  • (37)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 292
感想 : 47
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929664

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • クラスメイトだったリラと洋美、
    ある日、子供の予防接種の会場で偶然に再会する。
    息子たちの諍いやいじめ、そこにママ友としてのつきあいも絡んで───

    月日が流れ、子供達もそれぞれ成長して、
    いろいろあったリラと洋美の間の氷も溶けつつあるような気配。
    それはそれで良かったんですが…、
    うーん、私だったら…どちらの立場でも難しいかな…。

    よく考えたら親子って、お互いに「はじめまして」なんですよね。
    まして長男長女なら、生まれて来た子供も一年生、親だって一年生…。
    「育てたように子は育つ」なにげなく耳にしてましたが、
    悩み苦しみ、必死で子を育てる親にとって、
    こんなに重たい言葉だったとは…。

    人って自分で子供を育ててみて初めて、親の心を知るのかもしれませんよね。
    毎回、心がひりつくような思いをしながらも、
    こういった子育て小説を手に取ってしまうのか、少しわかったような気がします。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    仕事に生きてきた洋美と専業主婦のリラは、乳児の予防接種会場で再会した。同級生だった彼女がまさか自分と同じ時期に同学年の男の子を産んでいたなんて。頼もしいママ友ができたと好ましく思っていたが、こども同士の諍いをきっかけに、悩み苦しみ傷つき葛藤する。やられるばかりの息子が歯がゆい、乱暴な息子を愛せない。女たちの心の叫びを描く、著者会心の書下ろし長編。

    自分の子どもだから愛せるとか、親だから愛せるとか決まってないというのが今の僕の結論。自分は愛されて育ったという自覚が有るけれど、無条件で親を愛しているとか言えないし、責任とか常識とかで下駄を履かされた感情であると思っています。
    乱暴でいう事を聞かない子供、いじめられても自己主張せずいじめを受け続ける子供、密かにいじめをするずるい子供。もちろん天真爛漫で心優しく誰とでも仲良くできて頭が良くて親思いで将来有望な子供もいます。自分の子どもだから可愛がらなけでばいけないというのは辛い話です。でも子供がかわいがられないで生きていくのは胸が痛みます。どんな子供も愛に包まれて育って欲しいのは本当。でもどんな凶悪な殺人鬼も生まれた時は赤ん坊だったことを考えると、自分の子供がどんな大人になるのか不安になることでしょう。

    この本の中では子供たちは子供世界の中でもがき苦しんで、成長している横で、母親たちも何とかいい母親であろうともがき苦しんでいます。誰だって子供生めば自動的に心優しい慈母になるわけでは無いですよね。男なんて尚更父親になるのは難しいでしょう。
    いつまでも子供の柔らかい心を大人の殻でつつみこんでなんとかかんとかやって来てるわけですから、悩みながら転落しながらも踏ん張ろうとするお母さんたちの心も傷だらけです。子供から見た姿の通りの立派な大人になれたら素晴らしいんですが・・・。
    てっきり母親同士のバトル的な感じかと思いきや、主人公の2人のお母さんは2人ともとっても頑張っています。世のお母さん達が読むべき本だと思いますが、おじさんの心も充分打ちました。

  • 子どもの成長とともに、それぞれの母親の心情が描かれる。
    母として共感できる部分も多し!
    いくら母親同士が子どもたち同士に仲良くなってほしいと考えていても、そうなるとは限らないのが現実。でも少し切ない。

  • 中高で同級生だった洋美とリラ。
    おとなしくて優等生だった洋美の子供は手がつけられないほどやんちゃなトラブルメーカー。華やかなグループだったリラの子供は大人しく、洋美の子どもにやられっぱなし。
    自分の手に負えないほどの乱暴者の息子の事を洋美は愛せない。その愛せない自分をも許せない。
    リラは洋美との友達関係を壊したくなくて、息子が洋美の息子にどんなにひどい目にあっているかを言えないでいる。
    その辺りの描写は読んでいて苦しくなるほどのリアリティ。
    「育てたように子は育つ」と言い放つ洋美の母親の態度がまた洋美を追い込む。
    もしかして洋美の子供は境界線上にいるのかもしれないが、乱暴者の息子のせいでいつも肩身の狭い思いをしているのは洋美だけ。なぜか夫は「子供なんてそんなものさ」と他人事。
    子供には個性もあり、生まれ持ったものもあり、親の育て方ではどうしようもないこともあるのに責任は全て母親にあるように思われている。
    その風潮が母親を追い込んでいく。
    最後に救いがあったのがとても良かった。

  • 友達とママ友は違う
    どうしても我が子と他人の子を比べてしまい妬みなど負の感情がわいてくる
    すごくリアルな話だった

  • 学生の頃からの友達と偶然再会しママ友になるが、子ども同士の相性がとても悪く、自分たちの関係もどんどん壊れて変わっていく母達のお話。

    明らかに発達障害があり問題ばかり繰り返す男の子、この子を育てていく苦しみに自分の子育てしてきた今までが被ってしまい心に針を突き刺されているよう、洋美の心が痛いほどわかる。でも学生時代からの友達のママ友に自分の子が意地悪されていることが話せないリラの気持ちも。

    共感しかなかった、寝る間も惜しんで一気に読破。敏光のこれからに最後は明るい光りが差して本当によかった。読後感も◎

  • 同じ年の男の子の親として中高の同級生のリラと洋美が出会う。小さな頃は良いママ友だったが子供がいじめっ子といじめられっ子の関係になり溝が生まれそれに伴い様々な苦悩が押し寄せる。自分の育て方は、対応は正しかったのか。解決しても年齢が上がっていくとまた新たな苦悩が生まれる。振り返ればそれも思い出と言われても当時はそれが全てである苦しみが、子育て経験の有無に関わらず関係性に悩んだ事があるなら染み渡ると思う。皆の未来が明るくあって欲しいがリラの旦那、個人的にてめーは駄目だ。

  • 評価は4.

    内容(BOOKデーターベースより)
    仕事に生きてきた洋美と専業主婦のリラは、乳児の予防接種会場で再会した。同級生だった彼女がまさか自分と同じ時期に同学年の男の子を産んでいたなんて。頼もしいママ友ができたと好ましく思っていたが、こども同士の諍いをきっかけに、悩み苦しみ傷つき葛藤する。やられるばかりの息子が歯がゆい、乱暴な息子を愛せない。女たちの心の叫びを描く、著者会心の書下ろし長編。

    私自身は自分の同級生との関わりなしで子育てができたが…確かに出来の良さ成長の度合いなどなど、たまに会うだけでも心揺さぶられる事があったなぁ〜と。自分ではどうにも出来ないしならない子育てのもどかしさを思い出した。

  • 発達障害。子供と暴力。いじめ。モラハラ。女の友情。ママ友付き合い。被害者と加害者。
    これらのキーワードにピンとくる人にオススメ。視点が変わるのでニュートラルに読める。

  • 2016.5.8

著者プロフィール

1976年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。2000年、ノンフィクション『光さす故郷へ』を刊行。06年、群像新人文学賞受賞作を表題作とした『憂鬱なハスビーン』で小説家としてデビュー。その他の著書に『彼女のしあわせ』『憧れの女の子』『不自由な絆』『あの子が欲しい』『自画像』『少女は花の肌をむく』『人生のピース』『さよなら獣』『人間タワー』など多数。

「2021年 『君たちは今が世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

朝比奈あすかの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×