高学歴ノーリターン The School Record Dose Not Pay (ペーパーバックス)
- 光文社 (2005年11月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334933708
作品紹介・あらすじ
本書では、「東大社会」とも言える中央官庁に14年間勤務した著者が、さまざまな知見から、「学歴価値」real value of school recordが大暴落しており、日本が「高学歴ノーリターン」の国になりつつあることを示す。そして、「報われない」ことに対して怒りや無力感を抱く高学歴者が増えるにしたがって、東大を頂点とする「ピラミッド型学歴社会」が徐々にメルトダウンし、やがて「ぶっ壊れる」様を描く。そして最後に、日本の学歴社会の行き着く末を明確に示す。
感想・レビュー・書評
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「勝ち組」、「負け組」を分ける根拠は大きく転換している。
自分たちはもう手遅れ的な感じがしないでもないが、子どもたちが進学の時期を迎えて、この先の選択は非常に悩むところだ。
もう少し社会全体が今までの誤りに気付いて、もっと本質的に豊かな暮らしをめざす方向に向かえば良いが、実態はあまり変わらないだろう。結局受験産業だけはこれからも儲かり続けるのか。確かに受験に関する投資効果バランスを考えると、差額はほとんど塾や予備校に転がり込んでいる訳だし。
警鐘の意味は大きいが、さて我々はこれからどうすれば良いのか? -
「いくら稼ぐか」が支配的価値観になると、これまでの東大法学部を頂点とする学歴社会は崩壊する、という本。「学歴は無意味である」となれば、人々は受験勉強などしなくなり、結果として努力によって何かを成し遂げようとするよりも、目先のカネを求めて奔走するようになる、という話。
著者は関西人らしいが、時折「失敗すれば夜逃げ屋本舗」(複数回あった)、「(いざという時に)ビビる大木になるのが高学歴者だ」など、ギャグとも言えないよくわからない、駄洒落のような表現が登場する。本人はきっと面白いと思っている(なぜなら自著に書いているからだ!)のかも知れないだけに、何かとても救いようのない、学歴社会が崩壊するよりもたまらない悲しみを感じた。 -
学歴に対して相当批判的な内容でしたが、大変面白く読みました。無目的に学歴を求めるのは昔からどうなのかなあ、なんて思ってましたが、学歴そのものがどういう使われ方・とらえ方をすべきかよく考える必要があるってことだと感じます。
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3月2日購入。3月24日読了(3日間)
同志社大卒、元中央官庁勤務の著者による学歴論。筆者によれば、かつての日本では、社会的地位の決定要因において学歴が圧倒的なブランドであったが、今の時代はそれが所得になりつつあるらしい。青春時代に苦労をして得た学歴の価値はいまや暴落、中央官庁や一流企業に勤めてもせいぜい中流並の給料、公務員は批判されまくりで職業威信などもてるはずもなく、企業だって、いい加減な成果主義と海外と比べて報酬の低い役員では魅力がない。このような社会状況では取り柄もなく、あるいは、家柄が良いわけでもない高学歴者が報われない。筆者は特に、努力をして勉強した中流家庭以下の高学歴者、すなわち学歴しかない者を<EEM>と呼ぶ。このままでは学歴社会は崩壊する。この状況に対して筆者は、「アップデート社会」なるものを打ち出している。年齢と学歴取得の制限をなくすということである。そして、このような社会で学歴の価値ももっと評価されるべきだという。その意義は次の4点に集約される。?多様な価値観を反映するための学歴?努力の場としての学歴?夢をもつ場としての学歴?わかりやすい羅針盤としての学歴。そして、アップデート社会の条件として、高学歴者への優遇、専門職への開かれた市場を挙げている。
高学歴者のやっかみともとれる内容でした。だって、青春時代に勉強するか遊ぶかなんて自分の判断、責任だし。あと分厚い本だけど、同じこと言うために無駄な紙面を割いてるような気もしました。だから、星3つ。でも現在の高学歴者の待遇(たとえば初任給が一律など)や、社会のコンセンサスなどが知れてよかった。図やグラフの多様もわかりやすい。学歴における再チャレンジ制度は僕もよいと思います。自分はほんと苦労しないで(エスカレータ)そこそこの大学に入ったので、この本をよんで自らの恵まれた環境に改めて感謝するよい機会にもなりました。 -
同志社大卒の元厚労官僚が書いた本。おもしろくていっきに読んでしまいました。現代社会は、中流階級出身の「がんばって」一流大学に入って、「がんばって」官僚になった一番恵まれるべき人間が恵まれない社会だと著者は説きます。確かに年収は高が知れており、都内ではウサギ小屋みたいな家しか買えず、田舎から身を削って仕送りしてくれた両親が老いても都会に呼ぶこともできず…なんて未来が待っているような気がします。薄給に文句を言わないのは上流階級出身の官僚だけだそうです。高給取りのプロ野球選手を、貧乏応援団が支えるという構図を、19世紀のブルジョアと搾取される工場労働者にたとえることろは「的を射たり!」といった感じでおもしろかったです。
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分類=経営・企業・就職・学歴。05年11月。未読ですが、著者の前著が内容的に今一つという感じだったので。本書はどうなんでしょう。
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またまた、光文社のペーパーバックスよんじゃいました。
高学歴でも、関係なく
一流大卒が負け続けるギャンブル社会が到来する。
・・・すげぇ・・断言してるよとおもっちゃいました。
この本を読む前に同光文社の「超学歴社会」という本を読んでいたので
「180度違う視点もあるんだな」とおもった1冊でした。
うん、これも読み物ですな。
いろんな尺度の本をよんで、自分なりの解釈をしようと
おもった1冊でした。
高学歴で気になる方にはオススメ。
(管理人は学がないので、あんまり関係なかった。。笑)