獲る・守る・稼ぐ 週刊文春「危機突破」リーダー論

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334952600

感想・レビュー・書評

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  • 水道橋博士が、
    「吉本と松本人志はこの本を読むべき」
    と息巻いてたから、とりあえず僕が読んでみた。

    本書の内容は、ただの私刑が好きな読者層に向けたビジネスモデルについてウダウダと説明しているに過ぎないけど、文春の取材は裏取りも甘そうだし、松ちゃん側にしてみたら全く恐れるに足らん相手だと思う。一体彼らのどこが脅威なのかまるで伝わってこなかった。

    水道橋博士って、文藝春秋から
    『藝人春秋』
    という本を出していた事があるし、こいつもただの文春の犬でネガキャンで煽っているだけなんだろうね。要注意!

  • ・P56:監督ではなく、「GM」思考で任せる。
    私は前の部署で必ずしも評価されていなかった人にも先入観を排して「あなたに期待するのはこういう仕事だから、よろしく頼みます」と伝える。その結果、大活躍してくれたケースが実はたくさんあるのだ。

    人事はもちろん適材適所。そのときにその部署に必要な人材とは、どんな能力を持った人物かを、好き嫌いではなく、虚心坦懐に考えて粛々と行うべきものだ。

    まさにプロ野球のGMのように、勝てるチーム作りが実現したら、あとはひたすら監督を信じて任せる。もちろん細かいメンテナンスは必要だろう。トラブルの種があれば深刻化する前に乗り出して処理するし、責任を問われる場面があれば逃げずに前に出る。ただあくまで主役は選手であり、監督なのだ。

    ・P64:"コンサル名人"と"コンプラ奉行"に対抗する。
    まずコンサル名人には、数字で示すことが有効だ。スクープが週刊文春の部数やPVにどれだけの好影響を与えているか、動画などの使用料がどれくらいの収益を上げているかは数字を見れば明らかだ。

    コンプラ奉行に対しては、法的な理論武装を心がける。我々は文藝春秋の法務部、顧問弁護士と共に取材のガイドラインを作っている。

    ・P68:リーダーの「顔」は、オープンソースである。
    編集局長の仕事をまとめると、
     1. 筋のいい戦略を立てる。
     2. その内容について編集長としっかりと話し合い、コンセンサスを得る。
     3. 戦略を実現する上で最適なチームを構想する。
     4. 人事・実務面で社内調整と根回しをする。
     5. あとは編集長を信じて任せる。
     6. トラブルが起きたら出ていって収める。場合用によっては自ら責任を取る。
    ということになる。

    ・P90:朝令暮改を恐れず、走りながら考える。
    リーダーは朝令暮改を恐れてはいけない。戦況は生き物であり、刻一刻と変化している。その変化に神経を研ぎ澄まし、極力フリーハンドを維持しながら、戦略の優先順位をジャッジしなければならない。デジタルという戦場においては、立ち止まっていてじっくり考える余裕などない。常に走りながら考えるのだ。

    ・P147:大きな批判は、大きな教訓となる。
    ネット上での炎上の激しさを前にしたら、誰でも逃げ出したくなる。だがそこで逃げずに、怒りの声に向き合い続ける。それは自分達を客観的に見ることにつながる。一方で、大切な幹は守る。リーダーは背中を丸めて下を向いては行けない。常に広い視野で戦況を分析し、冷静な判断を下さなければならないのだ。

    ・P221:長いものに巻かれることなく、信頼関係を作れ。
    熊崎さんのような豪放磊落に見える人でも、組織を大胆に動かすためには細心の注意を払っていたのだ。これは「長いものには巻かれろ」という意味ではない。組織の最終的な決定権や人事権を握っているのは誰なのかを常に意識しておくことは、大きな仕事をする上で重要なのだ。トップとの間に信頼関係がないとやれることには限界があり、組織で単なる非主流派の反乱分子のように思われたら粛清されるだけだ。

    ・P227:マニュアルのない時代こそ、「編集」の力が必要だ。
    編集は、単に雑誌や本を作れることだけを指すのではない。世の中で起こっているさまざまなことをいかに面白く、わかりやすく伝えていくのか。そのためにはどんな材料が必要で、どんな形で加工すればいいのか。プロデューサー意識を持って、最後はマネタイズにまでつなげていく。それを考えるのが編集なのだ。

    ・P24:自分の仕事に、誇りと愛が持てるか。
    自分の仕事、所属する組織に限界を感じ始めた時の判断基準は三つある。
     1. 自分の仕事に誇りと愛が持てるのかどうか。会社の看板を磨く気持ちになれるのかどうか。
     2. 実際に改善される見込みがあるのかどうか。精神論以前に、体質や構造そのものが時代とあまりにかけ離れてしまい、自分の力ではどうにもならないと思うなら辞めた方がいい。
     3. 社内に同志がいるかどうか。このままではダメだという問題意識を共有できる人間がいるかどうか。あるいはあんなふうになりたいと思える先輩がいるかどうか。あの人について行けば、あの人と一緒に戦えば何とかなると思えるような人がいればシビアな状況でも耐えられる。

    ・P266:変わらないために変わろう。
    三井住友ホールディングスCEOの太田純さんに「大乱世のリーダーに必要な資質とは何ですか?」と聞いたことがある。太田さんの答えは実に明快だった。
     「一にストレス耐性、二に変化を楽しむ、三に失敗を恐れない」
    自らにとって大切な「幹」は細心の注意で守り抜く。そしてそれを守るためには、大胆に変わることも恐れない。変わらないために変わるのだ。

  • 文春砲を連発している週刊文春といえど、紙媒体
    の週刊誌である以上、部数は減ってきているそう
    です。

    そこでデジタル媒体へとシフトした。

    どこのメディアでもやっていることではあります
    が、文春はそのアイデンティティとも言える「
    スクープ」を根幹として、デジタル事業へとシフ
    トしたのです。

    スクープがあればテレビなどの他メディアが後追
    いして番組で報じます。その時の二次使用料で稼
    ぐという戦略です。

    他にも自社オンラインメディアへ誘導するために
    スクープのバラ配信などの工夫も重ねてPV数を
    飛躍的に向上させ、自社オンラインメディアを
    稼ぐメディアとしました。

    紙媒体が売れない時代であっても「スクープ」と
    いう人に欲求に応えれば、時代を切り拓いていく
    ことができる。

    変化を厭わず常に先へ先へと進む姿勢は、ビジネ
    スへの取り組みへのパワーを与えてくれる一冊で
    す。

  • 紙からどうやって上手にはなれ、ネットで稼ぐかということが具体的に書かれており、非常に参考になる。実はかなり胆力の必要なシフトで、これを真似るのは大変であろう。

  • 2022.2.28

  • Excellent! Digital時代の最良の経営書 
    実践に裏付けられたビジネスDATAは類書にない まさにEvidenceベースの経営
    しかしあくまでVISIONが先行 財務DATAは結果の検証と王道を行く
    楠木建教授「ストーリーとしての経営戦略」を実践しているのは見事
    「組織」「人事」も「戦略」に従うモノ
    上位ポスト者として、権限行使の誘惑とそれを排除する努力もリアリティある 

    22年02月24日文芸春秋編集長新谷学☆☆☆
    週刊誌の編集長としての経験と見識が存分に書き表されている。
    ①今直面している「デジカル革命」にビジネスをどう適応させるか、
    ②それを経営とビジネスにしていくか、
    ③実践記録としてのこれだけの中身は類書にはない、
    大きな感銘を受けた。
    文芸春秋と言う会社は面白さを追求する。創業者である菊地寛の理念が継承され素晴らしい企業風土を形成している
    高い志の本最近少なくなった気がするのは、世の中「貧すれば鈍す」に覆われているからか。
    文芸春秋は創業者菊池寛の理念が脈々と弾き続けている。
    1作家であること②編集者であること③経営者であること、これらを全て定率すること
    へ内容は深さもリアリティーがあるつまりケーススタディーであり自動辺であると鷲尾らしくない理論のバックボーンが散見できるそれでいて業者のような分量はないけど毛糸経営とデジタルを両方両立させるのはスクープだと言う明快な戦略がある

    リーダーの3条件①正当性②合理性③リアリズム
    経営戦略は収益構造を変えること
    そのためには組織を変える、そして経営資源の投入=人事・投資・管理会計を変える、まさに経営そのもの

    現場責任者としての覚悟と迫力が違う
    ①一義的に大事なのは「ストーリー」であって収支ではない 収支は過去の結果の数字
    ②プラットホームは帝国主義収奪の仕組み その争奪戦が激しい 現代の帝国主義戦争
    ③スクープの有料化ビジネス化 記事は50,000円動画は100,000円→大学の講義にも適用できる

    楠木建 ストーリーとしての競争戦略
    戦略は常に未来に関わっている
    戦略は数字よりも筋が求められる
    リーダーは戦略の実行に関わる人々行させなければならない
    経営戦略は管理会計を必要とする
    経営戦略を業務計画の数字に反映させなければならない
    収益管理はわかりやすさが必要納得性コミニケーション管理会計
    変革期に必要なわかりやすいメッセージ・・・ドラッカー「イノベーションと起業家精神4つの条件」
    デジタルのビジネス① マーケティング②コンテンツとデーターベース化=ストックビジネス

    第2章論語と算盤=ブランディングとマーケティングこれはなかなかうまい例え
    三位一体の頃頃経営差別化戦略①呆れるほどのコスト投入②腰が抜けるほどのリスクテイク=競争相手の参入障壁
    頭で考える差別化戦略よりも実行の積み重ねで結果的に参入障壁を作ろうこれもまた実践的な話
    これを楠木建氏は
    儲かるビジネスは「提供する価値はシンプルそれを提供するプロセスは複雑」 だから真似されない

    仕事に誇りを持つそれでなければ成果は上がらない、そしていざと言う時に戦いきることはできない。負け犬根性
    努力よりも好きなことに夢中になれbeams社長
    論語。これを知るものはこれを好むものにしかず、これを好むものはこれを楽しむものにしかず。さすが論語
    本書のあちこちでなかなか読者にとっても厳しく辛い指摘がある旧称疲れるそれは本書はリアリティーある証拠だろう私も自分の未熟さを改めて痛感しまた過去の反省が蒼魔灯のようによぎる著者の本音そして考え悩んだ反省が盛り込まれている
    見識と算盤が両立しているまさに渋沢栄一の成せる技

  • ・ビジネスモデルを変革する
    ・論語と算盤=ブランディングとマーケティング
    ・メディアのクレディビリティを高める
    ・逃げる、隠す、ウソをつくはNG
    ・現場の好きに縛りをかけない

  • 子育てにも通じるなと思った記述がありました。

    「現場は必要と思えば報告してくるし、逆にトラブルが起きて対外的に説明する必要がある時は、局長が進んで前に出る。責任取るが命令しない」

    初めは、文章を書くヒントになればと思って手に取った本だったのですが、読み進めてみると、リーダー論に近い内容でした。

    また、ビジネスの基本が随所にちりばめられています。

    「手間と暇とお金をかけて、最後まで手を緩めず、ファクトを極限まで詰める」
    「炎上を恐れてリスクのありそうな記事を止めるのではなく、胸を張って説明できる準備をする」
    「逃げる、隠す、ウソをつくのはダメ」

    本気で取り組んだ仕事は、絶対に相手に伝わりますよね。

    「週刊文春」というだけで、ゴシップを追いかける下品なイメージを持っていたのですが、反省しました。

  • 「2016年の週刊文春」と「週刊文春編集長の仕事術」を読んでいるので、既知の内容ばかりで新味がなかった。

  • 覚悟がある
    目指すところがシンプル
    求められるコンテンツを作る事で対等に話ができるようになる
    マネタイズする仕組み
    各論も読みやすい

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著者プロフィール

1964年群馬県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。1989年に文藝春秋に入社。『Number』『マルコポーロ』編集部、『週刊文春』記者・デスク、月刊『文藝春秋』編集部、ノンフィクション局第一部長、『週刊文春』編集長などを経て、2018年より『週刊文春』編集局長。2020年からは執行役員として『Number』編集局長を兼務。2021年7月より『文藝春秋』編集長に就任。著書に『「週刊文春」編集長の仕事術』(ダイヤモンド社)など。最近著に『獲る・守る・稼ぐ 週刊文春「危機突破」リーダー論』(光文社)がある。

「2022年 『編集とは何か。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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