勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334977849

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  • 国税庁と検察庁が暴走して、無理筋の事件を起訴した話。
    起訴は、大阪地検特捜部が郵便不正事件で証拠の偽造などをしたことが明らかとなった直後に行われており、検察がその反省を活かせていなかったことが分かります。
    他方、裁判所は、郵便不正事件を受けて特捜部もカジュアルに証拠の偽造などをすることがある、という認識を持っていたと思われ、その点では八田さんにも有利な事情はあったと思います。
    しかし、八田さんの事件では、八田さんが有能で経済力もあり、外資系金融機関で培われた不屈の精神力もあったことから、無罪判決を得られたともいえるわけで、そうでなかったら、有罪判決もあり得たわけです。
    実質的に無罪立証が被告人の責任とされている刑事訴訟の実情は、どうにかならないものでしょうか。

    それにしても、八田さんは筆力も確かですね。
    本書は相当読みやすいものに仕上がっています。

  • 外資系証券会社で働いているという、そのへんにはいないかもしれないけど、一般のサラリーマンが、いきなり脱税で捕まるという、恐怖の話。
    この八田さんの強さには、感動した。

  • 元外資系証券マンが、故意による脱税として検察から起訴され、裁判で無罪を勝ち取った話。国税と検察が無理筋を通そうとする体質や、検察が起す裁判の問題点が分かりやすく説明されている。国家権力による捜査を乗り切るのは精神的な強さが必要だが、それが外資系金融の仕事の中で培われたとふり返るシーンも面白い。

  • 日本では源泉徴収というシステムがあり、従業員の給与から納めるべき税金を企業が計算し、徴収し、納付する。サラリーマンにとっては税金納付の苦労を会社が代行してくれる便利なシステムだ。しかし、もしも会社が誤って税金を納付しなかったら。

    当然、悪いのは会社であるし、従業員は税金を後払いして手続完了。と、誰もが思うのだが、国税局の見解はそうではないらしい。

    本書は源泉徴収で会社が納めなかった税金を故意に脱税したと訴えられた外資系投資会社員の裁判記録。

    そもそも、国税局が会社のミスで納付漏れとなった所得税を著者から、請求すれば終わりの話。著者は未納付だったことを意識していなかったし、未納付分に加えて追徴金を払うことも了承している。しかし、国税局は脱税の故意性があると結論し、その結論の証拠を必死に探すという逆転作業の結果、決定的な証拠がないままに起訴。

    正直、誰の目にも無罪判決はわかりきっていること。しかし、過去を振り返ると、国税局が告発して検察が起訴しないケースはなく、起訴されて無罪となったケースはない。著者が無罪判決の確率ゼロを覆したのは、外資家企業で培われた精神力と交渉力、そして長期裁判にも耐えられる蓄えていた財力のおかげだ。通常のサラリーマンでは勝ち目がなかっただろう。

    国税局と検察はこの裁判の敗訴と本書出版を受けて、変わったんだろうか。こんな無駄な裁判に人件費をつぎ込むヒマがあったら…、と誰もが持つ感想。

  • 国税局による脱税告発がいかにいいかげんな状況証拠によるものか。元検の弁護士が先日言っていた。「自白は証拠の神様」だと。なぜ同様に確定申告していなかった社員が多く居たのに八田氏だけ告発されたか、それは脱税を認めなかったからだと、いう。国税も検察も機能麻痺している。八田氏がいったように、検察官も裁判官もその職に就いたときはみな正義感をもっていたと思う。いつかそれが事件をつくって有罪にすることが目的になってしまった。司法に係わる人たちにが初心にかえって欲しい

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