花物語 中巻 新装版

著者 :
  • 国書刊行会
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336036919

感想・レビュー・書評

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  • 詩的な表現と丁寧な言葉遣いが良い
    時代背景的に仕方ないけど悲しい結末のお話が多くて切ない

  • 中巻も面白かったです。
    悲しい結末を迎えるお話が多くて切なくなりました。
    「燃ゆる花」がとても重くて、美しく残酷な結末だったのですが一番好きでした。
    「合歓の花」の大和田さんも好きです。この巻は、儚く美しい人とそうでない人の書き分けの差が激しいと感じたのですが、大和田さんは愛すべきキャラでした。
    下巻も楽しみです。

  • 中巻は上巻とは打って変わってエス文化が満載に 一体何の変化があったのか
    竹中先生の名前や、桃太郎と小波おじさんなんかが出てくるのは少しクスリとなる
    「この私が生徒にもてた時は、まったく日米開戦の始まる時よ」なんて言えた時代だったんだな、というのは新鮮な驚きでもあった

  • 古き良き時代の清らかな少女の物語。
    「乙女の港」のような少女小説だと思って読んだら、清貧の乙女の美しい生きざまのほうでした。ですが彼の時代に憧憬を抱くならこちらもご一読を。
    こうやって乙女はうっとりと溜息を零したのでしょう、と追体験はできませんんでしたが……(この本に登場する少女の年ごろは通り過ぎてしまったので)

    「ダーリヤ」「燃ゆる花」「釣鐘草」「寒牡丹」「秋海堂」「アカシヤ」「桜草」「日陰の花」「浜撫子」「黄薔薇」「合歓の花」「向日葵」収録

  • 図書館より。

    中巻は、実家での年末年始用に携えて読んだ。
    上巻に比べると、ちょっと優雅・典雅の貴族趣味みたいなものが少しうすれて、
    貧困のなかでもりりしく生きる少女、とか
    零落しても逞しく生きる乙女、とか
    そういうものが増えた気がする。
    (どちらかと言うと、わたしは女学校でのきれいなものしか出てこないお話がすきだけどな)


    こちらもついったに読みながら感想を投下したものをまとめ。


    ***

    古びた建物に宿る古色ゆかしいわびしさをこうまできちんと言い当てる描写は見たことない。「歴史と言っても(中略)恐ろしいほど記憶力を出さねばならぬものではなくて、ただわけもなく少女の柔らかい涙をさそうにはふさわしい声なき声がひそんでいるのではないでしょうか」(『露草』)


    ***


    「ヘリオトロープ」の段になり、いきなり擬古文調になって驚く。時系列で並んでいるわけじゃないのかな?と思ったけど、大正12年作とのことで、それまでの連載順からいったらやはり後の方のよう。いきなり泉鏡花みたいな擬古文になるもんだからびっくりしたww

    ***

    連載8年間の間に、話形とか少女愛の解釈とかが微妙に変遷してきているのが、集中して52話読んでいくと分かる。最初はけっこう上流階級の女の子の幸福いっぱいのお話が多いけど、半ばくらいから零落した令嬢がけなげに頑張る話とか赤貧生活の中でもたくましく凛と生きる少女の話とか増える

    ***

    わたしはどちらかというと上流階級の少女の優雅な生活を疑似体験したくて少女小説読むくちなので、後半にいくにつれ赤貧がんばり少女の出番が増えるのには参った。

  • 上巻に引き続きうらわかき処女(をとめ)たちの儚いながらも尊くいとおしい日々を綴った短編集。かなりボリュームがあるため短編集って感じがしないんですけどね。
    上巻まではまだ素敵な先輩や同級生に憧れる、可愛らしい女子同士のお話が多かったように思いますがここにきて百合度と禁断度がぐぐっと上がったような感じがします。そしてそれが相当数あるわけですからまあ食傷気味食傷気味。正直げんなりします。砂糖吐くってレベルじゃねーぞ! あと時代が時代なだけにしょうがないのでしょうが、結婚ネガキャンのすごいこと。結婚したい女子が読んでたら嫌な気分になること間違いなし、ソース私。そんなに「少女」であることに幻想を抱かなくてもいいじゃない、汚れてる少女だっていっぱいいらぁ、女なんだもの。既に少女なんてものは幻想だ。ああ、だからすぐ相手のヒロインが死ぬんですねわかります。と、ちょっとぷりぷりしてきた。いい加減ぷりぷりし過ぎですか? 下巻くじけそうだけど頑張ります。

    好きな話は「ダーリヤ」「釣鐘草」「秋海棠」「日陰の花」は私と同じ名前の子が出てきてどきどきしてしまった。「燃ゆる花」は実話ってマジか!?

  • あの文章はもはや芸術だよ……。
    上巻に比べて公家の出で〜みたいな設定が多かった気がします。気のせい?
    「日陰の花」が印象に強いです。

  • 大正5年から「少女画報」に連載された、吉屋信子19歳頃の作品。7話完結の予定だったが、読者の強い要望により、54話まで書き継がれる。大正9年2月13日、洛陽堂から単行本が発行された。『花物語』の少女たちは、みな悲しい過去や現在を背負っている。しかし、その悲しみが、彼女らを強くし、優しくし、そして、時に美しく輝かせている。

  • 花の名前をモチーフに少女たちの返らぬ日の物語を綴った短編集。
    上・中・下巻と三冊ありますが総て復刻版なので中原淳一氏の装丁もきちんと再現されています。また、新たに加えられたイラストもありますので中原淳一ファンにとっても嬉しい作品ではないでしょうか。

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著者プロフィール

1896年、新潟市生まれ。52年「鬼火」で女流文学賞、67年菊池寛賞を受賞。『花物語』『安宅家の人々』『徳川の夫人たち』『女人平家』『自伝的女流文壇史』など、幅広いジャンルで活躍した。著書多数。73年逝去。

「2023年 『返らぬ日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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