ランプリイ家の殺人 世界探偵小説全集(17)

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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336038470

作品紹介・あらすじ

心はいつも朗らかながら経済観念まるでなしのランプリイ家は、何度目かの深刻な財政危機に瀕していた。頼みは裕福な親戚の侯爵ゲイブリエル伯父だけ。ところがこの侯爵、一家とは正反対の吝嗇で狷介な人物、その奥方は黒魔術に夢中のこれまた一癖ある女性。援助を求めた一家の楽観的希望もむなしく、交渉は決裂、侯爵はフラットをあとにした。ところが数分後、エレベーターの中で侯爵は、眼を金串でえぐられた無惨な死体となって発見された。わずかな空白の時間に犯行が可能だったのは誰か?はたしてこの愛すべき一家の中に冷酷非情な殺人者がいるのだろうか-?魅力的な英国貴族の人物造型と流麗な情景描写、巧みなトリックが融合したマーシュの代表作。

感想・レビュー・書評

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  • 心はいつも朗らかながら経済観念がまるでないランプリイ家は何度目かの深刻な財政危機に瀕していて、頼みは裕福な親戚の侯爵ゲイブリエル伯父だけでした。
    ところがこの侯爵、一家とは正反対の吝嗇で狷介な人物、その奥方は黒魔術に夢中のこれまた一癖ある女性で、援助を求めた一家の楽観的希望もむなしく交渉は決裂します。
    侯爵がフラットを出て数分後、エレベーターの中で侯爵は眼を金串で抉られた無惨な死体となって発見されます。
    わずかな空白の時間に犯行が可能だったのは誰か、この愛すべき一家の中に冷酷非情な殺人者がいるのだろうかとの謎が最後まで魅力的です。
    英国貴族の人物造型と流麗な情景描写、巧みなトリックが融合したマーシュの代表作です。

  • 自宅フラットで発生した叔父の殺人事件、家族内には犯人はいないという信念の元、家族が一致団結して互いをかばい合う証言を繰り広げるが、捜査担当となったアレン主席警部には通用せず――

    さすが浅羽さんの翻訳。朗らかでちょっと価値観が変わってる英国貴族のランプリイ一家が魅力的に描かれていて最高です。
    登場人物が大量に出てきますが、描き分けが見事なのは劇作家でもあるナイオの技量か。てんでばらばらに動き回る各キャラが、誰でも叔父を殺せそうでいて、では一体誰がやったのか? と証言の矛盾を整理しながら明らかになっていく過程が楽しい。
    ウッドハウスのコメディが好きな人などオススメしたいですね。

  • ランプリイ家のいかにも貴族然とした態度がおもしろかった。ただ訳がなあ。上手な訳者だと思っていたけど、この作品は別みたい。もっと飄々とした味が出せたらよかったのに。

  • ミステリっぽくない出だし。主人公ロバータがニュージーランドから経済破綻に直面しているお人よしのランプリイ一家を訪ねてゆくところが始まり。危機に瀕しているわりにはのん気な一家に歓待されているところへ、途方もない資産家で気難し屋の兄が金策を断りにやってくる。もちろん話し合いは決裂し、兄は怒って帰る途中に乗ったエレベータの中で悲惨な最期を遂げる。当然、遺産がころがりこむはずの家族に嫌疑がかかるものの、それぞれにはアリバイがあったり家族で口裏を合わせたりして犯行可能者が絞られない。ロバータの一言がきっかけでトリックが見破られて意外な結末に。ランプリイ家族がどんな理由であれ殺人など起こしそうもないので、容疑者もずいぶん限られてしまう。長々と綴られる割にはミステリ的にはきわめて地味で、大半が家族の家族らしいやりとりに費やされている。一応はきちんとトリックもあるのだけれどミステリを読んだという気があまりしないな。

  • 2012/10/22購入
    2019/11/28読了

  • <pre><b>心はいつも朗らかながら経済観念まるでなしのラン
    プリイ家は、何度目かの深刻な財政危機に瀕してい
    た。頼みは裕福な親戚の侯爵ゲイブリエル伯父だけ
    。ところがこの侯爵、一家とは正反対の吝嗇で狷介
    な人物、その奥方は黒魔術に夢中のこれまた一癖あ
    る女性。援助を求めた一家の楽観的希望もむなしく
    、交渉は決裂、侯爵はフラットをあとにした。とこ
    ろが数分後、エレベーターの中で侯爵は、眼を金串
    でえぐられた無惨な死体となって発見された。わず
    かな空白の時間に犯行が可能だったのは誰か?はた
    してこの愛すべき一家の中に冷酷非情な殺人者がい
    るのだろうか―?魅力的な英国貴族の人物造型と流
    麗な情景描写、巧みなトリックが融合したマーシュ
    の代表作。</b>
    (「BOOK」データベース より)

    資料番号:010472447
    請求記号:933.7/セ/17
    形態:図書</pre>

  • 典型的な古典本格、つまり事件は一つで後は延々尋問の場面が描かれるという構成であるにもかかわらずほとんど飽きることなく読めた。多分文章力というか登場人物たちの愛らしい感じとかがその辺の退屈さを打ち消していると思う。事件のトリックも分かりやすく効果的で聞けば分かるところがいい感じ。まあ欲を言えば家の見取り図がもっと分かりやすい位置にあればよかったかな。

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著者プロフィール

ナイオ・マーシュ ニュージーランド、クライストチャーチ生まれ。ニュージー ランド大学在学中に書いた戯曲 “A Terrible Romantic Drama” が劇団主宰者の目に留まり、女優や演出家として活躍。1929 年の渡英後、『アレン警部登場』(1934)で作家デビューし、 演出家や脚本家としての仕事を続けながら小説の執筆も行っ た。62 年にカンタベリー大学の名誉博士号を授与、67 年には 大英帝国勲章の称号を得ている。英国推理作家協会賞シルヴ ァー・ダガー賞に二回採られ、78 年にはアメリカ探偵作家ク ラブ巨匠賞を受賞した。

「2023年 『闇が迫るーマクベス殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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