比類なきジーヴス (ウッドハウス・コレクション)

  • 国書刊行会
3.62
  • (75)
  • (100)
  • (143)
  • (16)
  • (10)
本棚登録 : 962
感想 : 146
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336046758

作品紹介・あらすじ

ぐうたらでダメ男の若旦那バーティーと、とんち男の召使いジーヴス。世界的に有名なこの名コンビと、オマヌケなビンゴやお節介屋のアガサ伯母さんたちが繰り広げる抱腹絶倒の人間喜劇。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 相変わらずのお気楽さ。
    本書も文春文庫「ジーヴズの事件簿」2冊(才智縦横の巻•大胆不敵の巻)との重複がある。また、同じく文春文庫「ドローンズ•クラブの英傑伝」にも登場するビンゴ•リトルもやって来て、バーティーの平穏な生活を度々窮地に陥れる。好きになった女性と恋仲になる手助けはさせられるわ、小金を稼ぐ為に賭け事の手伝いはさせられるわ…しかもその賭け事ってのが『田舎の教会でどの神父の説教が一番長いか』を競馬みたいにオッズを決めて競い合う…というどうしようもないもの。
    …ほんと、どうしようもない…。好き。

  • コミカライズでハマったので原作を読んでみるチャレンジ。18の章は2つくらいでひとつのエピソードとなっており、短編集?長編?と不思議な構成。訳者あとがきに「本来短編小説として書かれたものを編集、加筆して長編小説の体裁にしたもの」とあり、ほうほうなるほど、と。帯に書かれているような「抱腹絶倒」モノというよりは、じわじわーっと面白くてクスクス笑ってしまう読み心地。少しばかりおバカだけど愛すべきご主人様・バーティの語り口とも相まって、ほのぼのユーモアといった感。恋多きお騒がせ男ビンゴと友達でいられるバーティもすごいけれど、彼に運命を感じたロージーがもしかして一番すごいのかも。

  • 英文を翻訳しているため、表現や文法が日本語の表現とは違うので、慣れないと感じる人も少なからずいると思います。
    しかし、この表現方法が日本では無い様なものばかりで、そこが翻訳の面白い部分であり、著者のウッドハウスさんのユーモアが活きていると感じる部分であると思います。

    最終的に全てを丸く収めてしまう執事のジーヴスと、絶望的なファッションセンスでお人好しの貴族のウースター、伯父さんに小遣いをせびることと恋をすることしか頭にないウースターの親友のビンゴ、その他ウースター家の親戚たちが織りなす人間活劇が面白い作品です。
    米澤穂信さんの本の本の一部に出てきて興味を持って読み始めましたが、非常に面白く、のめり込んでしまいました。

  • お気楽な貴族バーティーとその執事ジーヴスの周りで繰り広げられるさまざまな問題を、ジーヴスの頭脳ですっきり解決する話。

    ユーモア小説がすっごい好きなんだけど、今まで手を出してこなかった。というのもちょっと前に話題になって、なんか手を出すのもどうかなあ…と天邪鬼精神を発揮してたから。良い子過ぎるユーモアじゃ嫌だなあ、と思ってたのもある。でも読んでみて「ああこれは私の好きなイギリスユーモアだ!」と感じた。皮肉が効いてて、言葉遣いが絶妙で…すっごい面白い。

    語り手は貴族のバーティーで、執事のジーヴスの機転を楽しむのがこの本の読み方ではあると思うけど、私が思うに、この話のキモはジーヴスじゃなくて絶対バーティー・ウースター。彼がこの話を面白くしてる。バーティー、好き!いい人なんだよなあ。教養があるけど抜けてて好き。周りを固めてる脇役もみんな変で好き。言葉の選び方も好み。だって「突っ立ってるだけで使えない人間」のことを「赤血球の吸入器」って言いますか?ウケる。

  • 『乙女の読書道』(本の雑誌社)で池澤春菜さんが大絶賛していたジーヴスものに挑戦。
    なかなかビターな英国ユーモアににまにま。

    とにかく登場人物たちが誰も彼も一筋縄ではいかないのです。
    語り手のバーティと彼の完璧な執事・ジーヴスのコンビもさることながら、すぐに恋の虜になってしまうバーティの親友や恐るべき伯母さんなどなど、誰もが「どうだ」とばかりに突き抜けているのだから、どんなことが起こっても不思議じゃない。
    暇とお金を持て余すいい家柄の男たちが、次は何をやらかすのかと目が離せません。
    何せ彼らにかかると牧師の説教さえも、長さを競う賭けごとになってしまうのです。

    本作がおもしろいのは、語り手のバーティが単なるお馬鹿さんではないところ。
    文学や詩の引用をしたり、気の利いた例えを持ち出してくる、賢いお馬鹿さんなのです。
    ばかばかしさにうひゃうひゃ笑っているうちに、なんだか元気になっているという効能付き。
    国書刊行会刊行のウッドハウス・コレクションは全14冊、まだまだ楽しみがたくさんある…うひゃひゃ。

  • 英国ユーモアってこういうのか、と言いたくなるような、このおバカさんっぷり。
    執事・ジーヴスがスーパーなのか、主人・バーティがおバカさん過ぎるのか…
    なんてことのない出来事がなぜか大騒動に。
    テンポのよさと場面設定の変化のバランスがよく、あくせくしないで読み進められる。
    がつがつハマりこんで読む、というより、ちょっとした息抜きに暢気に読む、という、ゆるゆるな感じで読める。
    文春版もでているが、国書の森村さんの訳が個人的には好み☆

  • 語り手は金持ちの青年バーティー。彼の周りでは様々な騒動が起こるのですが、彼には優秀な執事のジーヴスがいて、颯爽と、ときにちゃっかりと、事態を解決してくれるのでした。

    明るくユーモラスな話で、と同時に皮肉なところもあります。階級ネタとか。あとやたら賭けが好き。
    短編を集めて長編にしたそうですが、これがここにつながるのか~という感じで上手くまとまってて面白かったです。

  • 結構好きな作品。
    ブラックジョークっぽいところがツボ。

  • 英国作品にはウッドハウスを知っていればもっと楽しめる、というものが多い、と訳者は巻末で嘆いていたが、ラッフルズ&バニーにしてもこれにしてもホームズ&ワトソンの派生であることは免れぬ事実だよなあと思いつつ。英国ではそういうジャンルとして確立しているんだろうな。利口&バカというブロマンスものが。英国文学はとくに〈紳士〉という男の特権的な意識について、ホモソーシャル傾向が強そうだ。その手の本も読んでみよう。

  • 偉大なる古き善き大英帝国の知性、P・G・ウッドハウスのジーブスもの。上皇后美智子様が、ご公務を離れた後に読みたい本として「ジーヴスも2、3冊、待機しています」と仰られたことでも有名。

    のんべんだらりの生活をこよなく愛する、自他ともに認めるおバカの若主人バーティ・ウースターと、彼が生活の全てを依存する召使のジーヴス。この二人の掛け合いだけでも楽しいのに、いつも厄介ごとを持ち込んできてバーティの私物や金をさも当然のように巻き上げていく大学時代の友人、傍若無人な振る舞いでバーティを翻弄する従兄弟、問答無用でバーティを支配する伯母さんなどが絡むことで、話が一層面白くなる。時折、友人や従兄弟の理不尽さに腹が立つこともあるが、ジーヴスの活躍によって溜飲が下がることもしばしば。

    このシリーズ、話の展開もそうだが、とにかく表現が秀逸で、思い出してはまた笑える。枚挙に暇がないが、いくつか挙げる。以下の表現を読んで、そのおかしさを少しでも感じられたなら、この作品を探して読むだけの努力をするべきだ。

    (恋心を抱く女性が現れた場面で)「ビンゴはポプラの葉のようにぶるぶる震えた。それから男の子が現れると、奴はゼリーのようにふるふると風れた。…(中略)…奴の顔は紅潮し、白いカラーと風に吹きさらされて青くなった鼻とあいまって、他の何よりもフランスの国旗に似ていた」

    (酷い仕打ちに怒り心頭の地主が)「老トレシッダー氏は-僕は彼を責めない-着席したまま、毎秒ごとに、膨張し、鮮やかな紫色に変色していった」

    (錯乱して部屋に飛び込んできた友人の様子を)「実際、奴は何か固いもので太陽神経叢を強打されたような顔つきだった」

    ただ単に「怒り心頭の地主は~」とか「奴は見たことが無いほど取り乱して~」などと書くより、よほどユーモラスで魅力的になる。こういう表現が満載の小説が、面白くないわけがない。

  • 面白い。ウッドハウス最高。
    天才執事ジーヴスとお気楽な金持ち青年バーティのタッグ。そして年中恋しているビンゴ。
    小賢しいステッグルス。
    何度くすっとさせられたか。

    良かった、ウッドハウスは多作だ。まだこの世界に浸かることができる。

  • 英国執事ジーヴス第1弾。ファッションにこだわりが強いバーティーとジーヴスの攻防はお決まりの結末でも面白い。日常に巻き起こる小さな事件にクスッと笑えるところはイギリスの教育を受けた人にはもっと面白いんだろうなぁ。翻訳でも笑えるところが多くて面白かった。ジーブスシリーズ、読むぞ!!

  • やっぱりこの主従が好きだ。
    漫画版や、文春文庫の『ジーヴズの事件簿』とかぶってるものがだいたいなので、それらを先に読んでる人はあまり新鮮味はないかもしれない。
    けどこのドタバタと緩い感じのユーモアがくすっと笑わせてくれて癒やされる。

  • たまにちょっと読んで気晴らしする罪のない話として約100年前に書かれた本ということを頭に入れて読まないと、現代のテンポに合わずイライラする。

    アガサ伯母さんが迫力あって怖いのだけれど、その彼女も甥のために付け込まれて詐欺師に騙されるのだからオレオレ詐欺には気をつけなくては。

  • 英国モノが好きな人、モンティパイソンとか・・・(それはワタシです)にオススメです。
    1巻を読んだだけでわかる、この「水〇黄門」のような、「暴れん〇将軍」のような、要するにある意味安心できるこの感じ。時代劇をちょっとイイナと思っている、そこのアナタ!(笑)おすすめです。
    全巻イッキ読みはしないだろうけど、ちょびちょび読みたい作品ではないでしょうか。
    ジーヴスの執事じゃない時の姿は出てくるのか・・・楽しみです。

  • 執事もの。

    バーティーさんをヒュー・グラントと思いながら読むと可愛いな~と思えました

  • 英米では知識人にファンが多いという噂のジーヴス本、ついに本邦でも刊行というわけで、読んでみました。

    ジーヴスというのは執事の名前で、これが何でも解決する完璧なスーパー執事。
    常に丁重で礼儀正しく、控えめでありながら〜やる時ゃやる!?

    バーティという主人の方の視点から語られます。
    バーティはお気楽な独身の紳士で、いたって気は良いが特に能はなく、なぜか巻き込まれ体質。
    友達の恋愛沙汰に振り回されたり、難題を押しつけてくる叔母をごまかすのにあたふたとしているのです。

    名コンビの二人ですが、たまに微妙な意地の張り合いが起きるのは、ジーヴスの良識には耐え難い流行の服や小物をバーティが着たがる時…
    些細な事に火花を散らすところもユーモラスで楽しいです。
    それと、余りにも有能なジーヴスばかりを皆が高く評価して頼ってきて、バーティがないがしろにされていると感じる時でしょうか。
    ジーヴスを必要としているバーティをジーヴスは内心可愛がっているというか、ある意味高く評価しているんじゃないでしょうかね?
    ウッドハウスは1902年から作家活動を始めた大変多作なユーモア小説家。
    75年にサーの称号を受けて亡くなったということです。

  • ▼福島大学附属図書館の貸出状況
    https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/TB90188662

    ~ウッドハウス・コレクションへようこそ~
     これはもはや英国の古典落語と言うべきか、日本ではあまり知られていなかったユーモア小説の巨匠、P.G.ウッドハウスのウフフな小説が勢揃い。お気楽な若旦那の遭遇するおかしな事件を解決するために、天才執事ジーヴスが立ち上がる、いつもクールに、時にはちょっぴり強引に。次々と現れる奇人変人たちとの珍妙無類のやりとりに笑い転げたあとで、ちょっと英語の原作をのぞいてみてはいかがでしょう。“in the soup”状態の若旦那の気持ちがわかるかも。

    (推薦者:行政政策学類 久我 和巳先生)

  • 2022.8 私にはイギリス人的ユーモアのセンスが全く無いことがよく理解できました。途中離脱。

  • 思っていた感じと違うという衝撃

  • 国書刊行会ウッドハウス・コレクションの記念すべき刊行第一弾。訳者あとがきにもある通り、いくつかの短編を繋げて無理矢理長編にしたような作品で、小説としての出来は必ずしもよくないし、森村たまきの訳もまだ熟れていないが、心配しなくても後に何作も控えている。

  • ジーヴス&ウースターシリーズは全部読んだ。最高。

  • 人がいいけど押しに弱いお坊ちゃまと探偵張りに冴えてる執事の主従の力関係が逆転気味なコンビ

    主人公の身の回りの話が中心なので大事件が起きたりするわけではないけど、英国らしいウィットに富んだ文章が楽しくてついつい読み進めちゃうシリーズ

  • 訳による独特なクセのある言い回しとか、笑いどころの元ネタがわからないもどかしさとか、いろいろと読みづらい要素はあるのですが、その辺を考慮したとしてもおもしろい!

    品のある笑いなんて、なりふり構わない下ネタの足元にも及ばない、という貧民センスの自分ですらニヤニヤしながら読んでしまいました。特に真っ赤なカマーバンドや紫の靴下や青いスパッツのくだりがシンプルで最高。
    許しがたいファッションセンスによる奇抜なアイテムを駆逐する為にキレキレの頭を駆使するジーヴス。毎度、華麗なまでにしてやられるバーティー。大好き。「お洒落なエレベーター・ボーイ」なんて、なんとお洒落な着地でしょう。

    とはいえ、強めのクセのせいでシリーズ一気読み!は難しそうなので、「二、三冊待機」させながらのんびり読んでいきたいと思います。

  • ユーモアが自国の背景的文脈を越えて理解されるのは困難であるという話。

    イギリスの文化背景に詳しくない自分には楽しめなかったし、詳しい人達は原書を読むだろうし、翻訳者って大変だなーと思った。

  • お人好しで損な役回りの多い主人公バーティーと、彼の有能かつ切れ者である執事ジーヴスのコンビが冴えきっています。独特の言い回しや比喩表現、古典の引用など癖がありますが、それが病みつきになりました。当時の英国上流階級の文化をもっと理解できれば、さらに楽しめると思いました。
    個人的に、バーティーのファッションセンスで対立する主従の闘いが毎回楽しみです。
    これからシリーズを少しずつ読み進めていきたいです。

  • 比類なきジーヴス (ウッドハウス・コレクション)

  • 美智子様がジーヴスシリーズを読んでいると知って、興味がわいて読んでみました。
    頭のキレるジーヴスが大活躍。クスッとする場面がたくさんあって、楽しく読むことができました!

  • 平成最後の皇后陛下お誕生日に際し、美智子皇后が宮内記者会へのご回答にて積ん読を明かされ、一部界隈で話題を呼んだジーヴスシリーズの一作目。(文春文庫は「ジーヴズ」なので国書刊行会のものを積ん読されている、原書を読まれる
    に決まってるでしょといった論争が生まれた。)
     登場人物がとにかく皆個性的で魅力に溢れることもさることながら、ウィットに富んだ内容が抱腹絶倒(惹句)とはいかないまでも面白い。
     主人公バートラム・ウースターに若干の親近感を覚えるとともに、(言葉通りの)独身貴族を(ジーヴスのお陰で)能天気に過ごせる姿には羨望を禁じ得ない。

  • 話題のジーヴスを早速…。オモチローイ。
    ヒュー・グラントで読めばいいのねバーティー。ふむふむ。

全146件中 1 - 30件を表示

P.G.ウッドハウスの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
伊坂 幸太郎
伊坂 幸太郎
畠中 恵
東野 圭吾
劇団ひとり
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×