眉山

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 306
感想 : 62
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344007277

感想・レビュー・書評

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  • 続けて読むのは重かったな、と思ったのは一日目で二日目は吸い込まれるようにすごいスピードで読めた。阿波踊り、見てみたくなったな。
    相変わらず生命力に溢れた気持ちのいい本でした。

  • 東京の旅行代理店で働く咲子は、故郷の徳島で一人で暮らす母・龍子が末期癌であと数ヶ月の命と知らされる。ちゃきちゃきの江戸っ子で、気風のいい母は、「神田のお龍」として、沢山の人々から慕われてきた。徳島に滞在し、母を看取ろうと決心した矢先、咲子は、母が自分に言わずに「献体」を申し込んでいたことを知る。それはなぜなのか?やがて咲子は、母が残した箱から、まだ会ったことのない父のことと、母の想いを知っていく―。

  • 人のためを思って、という行動が、半端なものではなく、相手に嫌われるでもなんでも覚悟して、正しいと思っている筋を通して報いる、というお龍さんの生き方。
    姉御だ。
    そりゃあ慕われる。

    娘さんも悪くはないが、献体を知らないのに驚いた。
    まあ、設定なので仕方ないですが、その後、知らなくても、それを知ろうとする姿勢にはよきものを感じる。

    ご遺体の緑色。
    緑、というのは……一言でいうと、確かに緑だけれど、普通に思い浮かべる緑ではなく、しかし他に言いようがない色です。
    今でも不思議で、よく覚えている。
    保存されているので、ふれると冷たく。
    血はなく。
    内臓もかたく、色は失われ。
    あの、緑は、枯れ草の色に似ている。
    ただでさえ悲しい別れなのだから、あの色は、ご遺族には見せるにしのびなく。お骨にして返すのでよかったろうと思います。
    そうして自分の身体を捧げて貢献する方のおかげで、立体である人間の構造を学習出来るというのは、医学生たちにとっては、ものすごくありがたいことでしょう。
    今は保存料にかわったと作中にあったので、もっと人としての形を保ったものになっているのでしょう。
    一方で、最後の手記にあったように、そのようにおかれた状態は、生身とは遠く。感謝の念を抱くまでの学生の心の動きがよく表れていて。
    物語の余韻とはまったく別物でありながら、あれを巻末においたさださんの構成は素晴らしいと思った。

    そして臓器提供意思表示カードを書くにあたり、親が悲しむかと思い、未だに手許に未記入のまま置いてある自分と、お龍さんの願いの対象との差を思う。

  • 龍は強い

  • 両親のこと、考えさせられるなぁ~
    徳島阿波おどり、描写が綺麗。映画は見てないけど、絵が浮かんでくる感じ。
    あと余談で主人公と誕生日一緒やった(^o^;)なんとなく嬉しい

  • 粋な女性の生き様を見事に表している。これ程強く、優しく、愛情深く、しなやかさを備えた女性を書ける、著作さだまさしが素晴らしい‼

  • まず、母親の人柄がすがすがしいところがとてもよかった。また、眉山の風景、あわおどりなど、情景描写などが美しく、読んでいて感動を増幅させられる。また、大きなテーマとして献体というテーマを抱えているストーリーにもすごく考えさせられる一冊でした。

  • 話のつくりがうまい。映画みたいな表現。
    最後に謎がとける

    良著

  • 随分前に読んだ本で感想などはすっかり忘れてしまった。
    ただ、一つ覚えているのは最後の文章。
    「ようやく母と並んだ」のような言葉があったが、彼女は母と肩を並べる事はできなかったのではないか。

    彼女は母親の姿を常に追っていて、届かないからこそ愛おしいのだろう。
    並んだのは、恋する女としての気持ちが分かったくらいのもので、例えば娘を愛する気持ちはこれからの将来でまた分かっていくものなのかもしれない。
    だからこそ、母と並ぶことなどできないのではないか。

    常に、母は前にいる。それを意識できる。
    目の前に広がる、眉山のように。

  • 人としてこれからどう生きるべきか、生きて行きたいかを改めて考えさせられる一冊だった。

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著者プロフィール

一九五二年長崎市生まれ。シンガーソングライター。二〇〇一年、初小説『精霊流し』がベストセラーとなる。『精霊流し』をはじめ、『解夏』『眉山』アントキノイノチ』『風に立つライオン』はいずれも映画化され、ベストセラーとなる。その他の小説に『はかぼんさん―空蝉風土記』『かすていら』ラストレター』『銀河食堂の夜』など。

「2021年 『緊急事態宣言の夜に ボクたちの新型コロナ戦記2020』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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