三途の川で落しもの

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 68
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344024144

感想・レビュー・書評

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  • 三途の川を渡るのか渡らないのかの手前の男の子が、三途の川を渡る人たちの未練を解消していく話。
    2013/1/13

  • 橋から落ちて意識不明となった小学生の男の子が、二人の侍コンビと三途の川の渡し守を担って、現世に強い未練を残す死者たちの抱える問題を解決する。

    ファンタジーなので何でもアリの設定であるのは当然なのだが、それでもちょっと都合良すぎないかの連続で、いまいち乗り切れず。生死に関しての問いかけが随所で交わされるのだけれど、これも表現の仕方が自分に合わないのか白々しく感じてしまい、上手く入ってこない。同じ設定モノであれば、高野和明の「幽霊人命救助隊」を読んでいるので、どうしてもそっちと比べてしまう。どちらかというと、こちらの「三途の川~」の方が簡単で中高生向きかもしれない。大人のための新・エンターテインメントとして選ぶのであれば、私は「幽霊~」の方が良かったような気がする。西條作品は大概好みなのだが、この作品はちょっと、、、、な感じだった。

  • 良かった。涙腺ウルウルで読み終えた。
    叶人が三途の川での出来事を乗り越える度に少しずつ成長していく姿に思わず握りこぶし。
    エピローグもほっとするお話で読後感最高。

  • 現世と冥界の間に横たわる川、三途の川。
    とある経緯で三途の川へと辿り着いた小学生叶人の物語。
    渡し守の十蔵と虎の助と行動を共にするうちに、生と死、命について自分なりの答えを見つけていく。
    叶人だけでなく渡し守の2人も、自分の魂の過去や業と向き合い、見方を変えていく様がなんとも良いですね。
    水と油のような正反対の十蔵と虎の助の、時代錯誤で漫才のような会話にクスリとさせられます。
    エピローグは読んでいるこちらもにまにましてしまった。
    県営王とダ・ツ・エヴァも良いキャラだし、シリーズ化してくれたら嬉しいなあ。

    余談ですが、私も万人が漠然と思い描く"いかにも"な三途の川を見ないと納得出来ないかもしれないです。

  • あらすじ
    小学校六年生・志田叶人はとあることで三途の川まで来てしまった。
    まだ死んではいないが、戻るにしろ渡るにしろそれが何であったか分からないままでは、どうすることもできず、一先ず三途の川の船渡しの仕事を手伝うことになった。
    叶人は様々な死者を通して、交流を深めたり、色々と学び、そして決意していく。

    もくじ
    プロローグ
    ダ・ツ・エヴァのススメ
    因果十蔵
    悪虎千里を走る
    叶人の彼方
    エピローグ

    感想
    とても読み易く、テンポも良く、面白かったです。
    渡し守として働く十蔵と虎之介と叶人の交流が段々とストーリーが進むにつれ、深まっていくのが素敵だなと思いました。
    叶人の交流でそれぞれの抱える心の傷を少しづつ癒していき、変わっていく所も見所の一つです。
    個人的には叶人と県営王の会話も印象的でした。
    特に最後のオチが良く、思わずくすりと笑ってしまいました。

  • 小学六年生の叶人が三途の川で渡し守の手伝いをすることに。

    天国とか地獄とか、仏教的な話よりも現代人的には納得いくかも?
    死んだ人の思いとか、残された人の思いとか。
    生きるってどういうことかなって考える内容でした。
    読了感は爽やか。

  • タイトルを読んだとき、「えっ、三途の川で落し物なんかするなよ!」と思った私ですが…。
    そして読んでみると、死者が三途の川を渡る際に生前に未練があると川が荒れ、魂の玉が川の中に落ちてしまうとそれが未練のある場所に行ってしまい、回収しないと三途の川を渡れずに漂い続けてしまうという内容で。
    内容だけ書くと、ホラーかいな という感じですが、雰囲気としては全くホラーではなく、どちらかと言うとコメディーっぽい設定でした。
    懸衣翁(けんえおう)→県営王 と誤解してくれたおかげでわかりやすかったし、奪衣婆(だつえば)→ダ・ツ・エバ という名前で、しかも金髪美女?!という設定でイメージしやすすぎる! というか、そんな設定でいいのか?!とニヤニヤしてしまう感じでした。

    そして小学生で三途の川のふちまで来てしまった少年が、最終的に自分の体に戻ることができるのか?! というストーリーなわけですが、途中、あまりにヘビーな未練を背負った通り魔殺人をして射殺された男性の話が出てきて、私はげっそりしました。
    その話を電車の中で読んだので、上野駅に到着したとき、通り魔っぽい怪しい行動をとる人はいないかドキドキきょろきょろしてしまい、むしろ私の方が挙動不審者に…(笑)

    少年がどうして三途の川のふちまで来てしまったのかが最後の方まで謎で、先が気になってしょうがない一冊でした。

    死後の世界、もしかしたらこんなかもしれないなぁと思ったり、地獄と天国の実際も、実はこんなかもしれないなぁと思いました。

  • 「三途の川の渡し守」を題材に一人の子どもと、二人の江戸者?!の お話。
    いろいろな理由で現世に未練がある魂を三人で成仏に導いてやる過程で、それぞれの問題も解決の方向に…点。
    死後はどうなるのか?という永遠の疑問をバーチャルっぽく描いてて、読みやすい。作者の他の作品も読んでみよう♪

  • 6年生の叶人は川に落ちて意識不明に。その転落は自殺か他殺か事故なのか。
    三途の川で会った渡し守2人と行動を共にしながら、生きることの意味を学んでいく。

  • うん、やっぱ西條さんのお話は好きだなぁ。宮部氏ほどの優しさというか甘さはないけど、さっぱりとした優しさがあるというか。死後の世界も宗教や宗派によって様々に考えられているけど、天国はないとか地獄とは魂の傷を癒すための場所だとか、これはこれでさもありなんだなぁと思った。どちらかというと子ども向けなのかな?けっこう重いテーマではあるけど、読後感が爽やかで良いです^^

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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