- Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344028500
感想・レビュー・書評
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脳死や、臓器提供・移植について、とても考えさせられました。
もし我が子が同じ状況になったら…と考えてみたけど、想像もつかない…。
きっと、どの道を選んでも正解なんてないのかな…って…。
とても心に残る1冊です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
そうきたか!
薫子の頭の良さにぞっとする一面あり。最後に救いもあり。
色々な考えがあって矛盾してたり相容れない立場の意見なのにもかかわらずそれぞれの言葉に共感納得させられる。
本当、「人の生き方は論理的でなくてもいい」と思う。
何が正しいとか考えるのはナンセンスで人それぞれ個別の正解があって系統立てて説明できなくても単に気持ち悪いとか感情で判断してもいい、今の世の中は何かひとつの答を求めてそれから外れた考えの人を排除する方向に進んでいるような気がしてならない。
とりあえず意思表示カードを書こう。 -
娘の小学校受験が終わったら離婚する。 そう約束した仮面夫婦の和昌と薫子。
彼等に悲報が届いたのは、面接試験の予行演習の直前。
娘の瑞穂がプールで溺れた。
病院に駆けつけた二人を待っていたのは残酷な現実。 そして医師からは、思いもよらない選択を迫られる。
脳死や臓器提供などをテーマとして扱った作品。だけど医療的な硬質さだけではなくて、人の愛情など情緒に訴えかけるものもある。
人はどのような状態に陥ったとき、死んだと言えるのか。心臓が止まったときなのか、それとも脳が機能を停止させたときなのか。
考えれば考えるほど迷ってしまうようなことがテーマで、答えをはっきり出すことは難しい。
自分には無関係の誰かの話ならば客観的に答えを出せるかも知れないけれど、自分の身近な家族である場合は、尚のこと難しい。
幼い娘が水の事故によって脳死状態になってしまった1組の夫婦。医師から臓器提供について訊ねられ1度は答えを出したものの、眠っている娘の手が微かに動いた気がしたことからその先の道を変えることになる。
とくに母の薫子は必死に娘との生活を守ろうとする。介護についてを学習して覚え、実母にも協力を仰ぐ。
元々不仲になっていた夫の和昌とも離婚するのをとりやめる。
そして機械の力を借りて娘を“生”に近いところまで持って行こうとする姿は奇異にも写るけれど、子どもを持つ親であればきっと、みんなが薫子のような感情を持つのだろうと思う。
深い愛情は狂気にも見える。だけどその立場になってみないと実感できないこともたくさんあるのだと思う。
現実でもしばしば、病気によって臓器提供を待つ幼い子どものことが話題になるけれど、高額のお金をかけてまで海外に行くことを希望したり、その支援者たちが募金をつのる理由がこの小説を読んでよく分かった。
国内で実現するのなら、みんなそうしたいのは当たり前で、それが簡単には出来ないから、海外にその希望を繋ぐのだということ。
自分の家族が「脳死のような」状態になったら、果たして自分はどうするだろうと考えた。自分自身の身体なら臓器提供をして死ぬ道を選ぶだろうけど、それが愛する人のことになると簡単には決断できない。
僅かでも希望があるのならそれに賭けたいと願うのは自然なことだ。それが臓器提供を待つ人の命を縮めることになるのだと責められても、すぐに頷くことはできないと思う。
どのようにして物語は決着するのだろうと思いながら読んだけれど、現実と幻想が入り混じっていて、切ないながらも良い終わり方だと感じた。
プロローグとエピローグが綺麗に繋がっているところも良かった。 -
久々の東野作品。
やってくれるなぁ。
正直言うと、あまり自ら進んで読みたいと思う作家さんではないのですが。
脳死、臓器提供に纏わる話。
もし自分の大切な人が限りなく脳死に近い状態となったら、どうするか。
主人なら、娘なら、と悶々と考え込んでしまいました。
考えたってわからないよなー。
答えなんて出せないと思う。
保険証の裏にも臓器提供をするか否かの選択をする欄がありますね。
私は悩みに悩んで、まだ選べていないんです。
いつも手が止まってしまう。
だけど、家族を苦しめないためにも選ばなければな。
『この世には狂ってでも守らなければいけないもよがある。子供のために狂えるのは母親だけ。』
この言葉にグサっとやられました。 -
人は呼吸が出来なくなれば簡単に死んでしまうんたなと怖さも感じた。親の母親の強い愛情も感じることが出来る作品で引き込まれました。
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人の死ってなんだろうって考えた。自分は脳が死んだらそれは死だと思う。
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脳死についての小説だが、それだけではなく「救い」を見出す話でもあるのかと考えた。
脳死状態になった娘の意識を何とか回復させようとする夫婦の努力と、その顛末とは。
彼らが「道」を見出す事に心を揺さぶられたし、過程がテンポ良く進んでおり目が離せなかった。 -
脳死や臓器提供に対して深く考えさせられるお話であった。彼らの判断が正しいものだったのか、はたまた、間違っていたのかは正直分からない、それは当事者になってみないと考えることはできないのだと思う。しかし、日本の脳死判定を行う基準に対しては見直すべきところがあるのではないかと思った。