ピカソになれない私たち

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 384
感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344035775

作品紹介・あらすじ

東京にある名門美大の油画科に属する美大生たちの、奮闘と葛藤を描いた青春小説。地方出身で天才的な画風の望音、技術はあるがこれといった特徴のない詩乃、美大生としての自身に迷いをもつ太郎、前衛的で現代的な作風の和美――。スパルタで知られる森本ゼミに属する4人は教授の森本の徹底的なダメ出しを受け、画家としての「才能」や、自身の将来に不安を感じながらも切磋琢磨している。そんなとき、森本ゼミに伝わる過去の放火事件の噂を聞き――。

感想・レビュー・書評

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  • ひだまりトマトさんの本棚から図書館予約
    著者は芸大美術学部卒業
    やはりリアルな描写だ

    落書きすらもかけない私だけれど
    絵を観るのは好きだ

    オリジナルなものを創り出す苦しみ
    認められる「才能」
    全頁からヒリヒリと感じた

    ゼミの学生4人の未来を信じて本を閉じた

    ≪ キャンバスは 夢と悪魔を 写し取る ≫

    • ひだまりトマトさん
      はまだかよこさん、こんにちは。

      読まれましたか。
      あまり、縁の無い世界なので、興味深い本でした。

      はまださんの、句と同じ思いを感じました...
      はまだかよこさん、こんにちは。

      読まれましたか。
      あまり、縁の無い世界なので、興味深い本でした。

      はまださんの、句と同じ思いを感じました。
      若者の夢と未来の小説ですね。
      2023/07/07
    • はまだかよこさん
      ひだまりトマトさんへ
      私は知らない世界の話を読むのが大好きです
      もっとも99%が知らない世界ですが……(*´艸`*)
      何故か、友人には...
      ひだまりトマトさんへ
      私は知らない世界の話を読むのが大好きです
      もっとも99%が知らない世界ですが……(*´艸`*)
      何故か、友人には絵を描く人が割と多いのです
      苦労を垣間見ます

      これからも本の中に潜って「縁のない世界」をみたいです
      残された時間と体力では、それで精いっぱいですもん

      「知らない本」また教えてくださいませ

      コメントありがとうございました
      2023/07/08
  • 自分自身の影を見つめる作業。
    なかなかできることではないけれど、彼らのように私も、すこしずつ見つめていけますように。

  • 東京藝大をモチーフにしたと思われる一冊。油画科の森本ゼミに所属した4人の四年生が、もがきながら課題と卒業制作に取り組む様子。

    どうやったら認められるのか、成功するのか、売れる画家になれるのか、才能とは「自分の絵」とは何なのか、、、自意識との葛藤やライバルである同級生への複雑な思いが主に描かれている。

    「この世の中、言われたことを守っても、なんの保証もない。自分で自分の道を決めていくしかないのだ。美術を学びたいという衝動は、好きなことをして生きていきたいと震災以来考えていた和美の心にぴたりとはまった。」
    「自分で判断したことを信じなさい。自分で判断していいと思ったものを、妥協せずに描きなさい。その先に、きっと答えはあるから」

    最後まで読むと、これは森本先生の話だったのかなーなんて。一人一人に真剣に向き合ってくれるのは有り難いけど、三日間断食をした後に絵を描く課題とかは勘弁だな…

  • 絵はあくまでも鑑賞するもの
    という立場の私でも
    共感できるのは
    「オリジナリティ」というものを
    求められることの辛さかな
    絵であっても生き方であっても
    自分らしく という縛りは
    とても苦しいものですね
    2番じゃダメなんですか・・・

  • 書評『ピカソになれない私たち』一色さゆり著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)
    https://dot.asahi.com/ent/publication/reviews/2020033000060.html

    ピカソになれない私たち | 株式会社 幻冬舎
    https://www.gentosha.co.jp/book/b12939.html

  • 雑誌で紹介されていたのと、
    美術が題材にされていたことから手に取った一冊。

    美術大学の4年生で同じゼミに所属する学生と、
    そのゼミの教授が中心に物語は展開される。

    登場人物4人が抱える悩みや葛藤、
    自分自身の弱い部分に向き合っていく様子が鮮明に描かれており、
    引き込まれる作品でした。

    美術に限らず、誰かの才能に嫉妬したり、人の評価を気にしたりすることは、
    生きている限り誰もが抱く悩みで、
    そうゆう気持ちを持つ事自体がいけないことではない。
    でもその気持ちに飲み込まれて、自分を見失ってはいけないよ、
    と言われているような気持ちになりました。

  • 筆を離してもう10年以上経つ。
    あの頃の感情が鮮明に蘇る描写に、
    私が憧れたもう一つの未来が見えた。

    諦めずに描き続けていたら
    頭の片隅にはぼんやりした思いがいつもあった。
    だけど、湧き上がるイメージもなければ、
    技術も衰えている。
    自ずと筆が走ったあの頃には戻れない。
    理屈っぽい大人になってしまって、感覚が鈍い。
    自然にできていたことなのに。

    夢と情熱は何処へ。
    錆びた技術や鈍った感覚を取り戻すには、
    倍以上の努力をして磨かなくてはならない。

  •  帯にもある「“才能”ってなんだ」という言葉の通り、才能がなんなのかを問う物語であった。答えとしては少々童話じみた感があり、また作品の筋としても予想の効く展開。同じ展開の繰り返しで退屈を感じた点も散見される。読者の注意を引きつけるべく用意された餌としての、主要人物たちの「謎」も態とらしすぎて物語から浮いて見えた。しかしそれも構成が美しかったためだとも解釈できる。1点目に、「才能」の有無にかかわらず主要登場人物4人全員が主人公と思えるように配分された視点の移動。題名にある「私」は聖音であろうと思われるくらいに聖音の視点に寄った記述は多かったが、それにしても後半に差し掛かるまではすべての人物が主人公に思えた。2点目に「私」である聖音と詩乃の対比。冒頭は詩乃に寄った描写で物語が描かれているが、最後の場面では聖音の視点に寄っている。聖音が才能のある「ピカソ」であるならば、その意味で詩乃は真に題名の「私」たり得る「凡才」なのかもしれないと考えた。
     物足りなさを多く感じながらも、美しい構成の上に成り立った見事な作品だという印象。
     またクリエイティブに携わるすべての人々、或いは会社で同僚やその他の多くの人々と競い合う人々、野球やサッカーで熾烈なレギュラー争いをしている人々……。そういう多くの人が皆んな、「身に覚えのある感情」を刺激される作品でもあると感じた。嫉妬を始めとするそれらの感情は、人として仕方のないものであると思いながらもしかし、自身が嫌になるものであるが、今作ではそれを気持ちよく乗り越えている点も良かった。

  • 努力だけではどうにもならない、選ばれし才能が輝く美大生たち。美術芸術の世界に身を置く学生たちは嫉妬や羨望の中で心は壊れていく。登場人物にイライラしたり、特に詩乃には途中まで拒絶反応が出てしまった。

  • 表現者を志す人と自分とは何かを悩むすべての人のための本。

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著者プロフィール

1988年、京都府生まれ。東京藝術大学美術学部芸術学科卒。香港中文大学大学院修了。2015年、『神の値段』で第14回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞して作家デビューを果たす。主な著書に『ピカソになれない私たち』、『コンサバター 大英博物館の天才修復士』からつづく「コンサバター」シリーズ、『飛石を渡れば』など。近著に『カンヴァスの恋人たち』がある。

「2023年 『光をえがく人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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