虚心

著者 :
  • 幻冬舎
3.75
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本棚登録 : 295
感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344040892

作品紹介・あらすじ

産廃の闇に消えた二つの命。遺族と向き合う刑事が執念の捜査で摑むのは真実? 冤罪?警察小説のヒットメーカーが満を持して放つ、傑作ヒューマンミステリー!少ない降水量にもかかわらず、雨により埼玉県の黒部山で土砂崩れが発生した。一人が行方不明になるなか、瓦礫からは不法投棄された産業廃棄物が大量に発見される。県警は事故ではなく事件と判断、捜査一課の奈良健市も捜査に加わる。捜査本部は崩落発生地の所有者特定に着手。すると、意外な人物の名があがった。それは迷宮入りさせてしまった十六年前の殺人事件で、奈良が犯人だと確信し、逮捕直前まで迫った因縁の相手なのだが……。

感想・レビュー・書評

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  • 印象、思い込みの判断とそれを切り替える勇気を感じました

  • 「雨に消えた向日葵」での執念の捜査が記憶に甦る♪
    埼玉県警の奈良刑事シリーズ第二弾!

    16年前、若き日の奈良が小山(現在は部下)の下で捜査に当たった殺人事件だが、今だ未解決。

    今回、秩父で不法投棄による土砂崩れが発生し、犠牲者が出る。事故ではなく事件と判断され捜査に着手する。
    崩落発生地の所有者として16年前に小山と奈良が犯人だとしていた人物が浮上!

    産廃の闇に消えた二つの命。
    執念の捜査で掴むのは真実か?冤罪か?

    虚心って、虚しい心ではなく、
    わだかまりを持たない、素直な心のことなのねぇ…。
    虚心坦懐って言われればなんとなくあれだけど、普段使わないよ、虚心…(^◇^;)

    奈良刑事シリーズ、次作が待ち遠しいぞ!!

  • 人の思い込みは怖い。
    16年ぶりに事件を見直し、見えてきた真実。
    すごい執念だった。

  • 「雨に消えた向日葵」の奈良刑事続編。
    産廃の闇に消えた二つの命。
    一人は、土砂崩れに巻き込まれた派遣清掃員の女性。そこは、16年前、産廃処理場計画地で一人の反対運動の男性が殺された場所だった。
    現在、行方不明の女性を捜索しながら、16年前の未解決殺人事件を同時に追う。
    土砂崩れが起きた原因から過去の産廃処理場建設のトラブルの回想へと、見事な流れ。
    吉川さん、すごーく上手。
    たぶん資料収集等も丁重なんだろうけど、産廃という関わるのが難しそうな問題を取り上げて、
    あれやこれや近年話題となったような社会問題をぼこぼこストーリーに取り込む。
    そのうえで、ほおっていう結末を準備している。
    タイトルの虚心ー素直になることーがどこにかかるのだろうと最後に近くなるまでわからなかった。
    産廃の闇は、作られたもの。

    • おびのりさん
      もはや、ネットで調べる。
      もはや、ネットで調べる。
      2024/02/25
    • みんみんさん
      娘も三十路になったから…わかりやすくて今年は大丈夫だわ笑
      娘も三十路になったから…わかりやすくて今年は大丈夫だわ笑
      2024/02/25
    • ひまわりめろんさん
      子どもの年齢は大学卒業したらわかんなくなった
      要する学年と紐付けして覚えてたんだな
      子どもの年齢は大学卒業したらわかんなくなった
      要する学年と紐付けして覚えてたんだな
      2024/02/27
  • 『雨に消えた向日葵』で主人公の奈良健市が、今作もメインになって活躍する。

    埼玉県の黒部山で土砂崩れが発生し、一人の行方不明者が…。
    瓦礫から不法投棄された産業廃棄物が大量に発見され、崩落発生地の所有者を辿ると16年前の殺人事件で犯人だと確信していた男だとわかる。
    この未解決殺人事件の真相も明らかにしなければ、という執念と現在の産廃に関わる闇に鋭く突き進む奈良。

    前半は、ぬる〜い感じで進んでいたので、少々ありきたりな警察小説で終わりなのか、と思っていたが後半以降に切れ味が増していく。
    ただ、もうひとつ大きな揺さぶりが欲しかったなぁ。



  • ちょっとこれまでの作者の雰囲気と違う物語。主人公もハッキリしないし、悪者と思ってたのが良い人やった。それも最終盤で分かるなんて、今までのキレのいい作風が見られずちょっとびっくり。まあこれは単発でいいでしょう。

  • 吉川英梨さん著、「虚心」
    「雨に消えた向日葵」の主人公、埼玉県警の奈良刑事の2作目の作品。

    作風としては前作と同様、奈良の執念の捜査が物語の主軸。
    タイトルの「虚心」の通り反対運動、デモ、闘争、そして捏造へと渦巻いていく中で、状況や環境や背景や対人関係からの先入観で真実や真相が偏向してしまうというストーリー。その傾向は物事を捉えれば捉える程加速していくように一方的に傾いていく。
    やはり前作同様、色んな角度からの不穏さが加わり、現在と過去が平行しつつ物語は進んでいく。
    非常に引き込まれる作品だった。

    作中にあった言葉だが「正義の暴走」という言葉が正に「虚心」であると感じた。
    世の中にある「危険な思想」や「ハラスメント」「教育問題」「戦争」やあらゆる争い事のだいたいはこの「正義の暴走」なのではないか?と感じさせられる。
    正しいか否かは別として、己の正義をかざせば賛同しえる人々は関心を寄せ沸き立つ様に増えていき一つの方向に力を蓄えて傾向する。そして枠を越えた暴走も生まれる、ムーブメントとしてその中にはある一定の強い正義があるこそ。
    それをこの「虚心」という言葉の中に描ききっている作者、凄い方だと感じた。

    とても興味深いトピックだった。
    次の奈良シリーズも執筆されることを心より期待している。



  • 個人的に最近忙しくて
    前半なかなか入り込めなかったけど
    後半は、どんどん引き込まれました。

    産廃業者、個人的にタイムリーな話題で
    色々考えさせられました。

    駆け足で読んだので、
    ダツ…この人〜?って混乱のまま終わり…
    もっとじっくり読みたかったです。

  • 産廃業者と産廃処分場建設反対者の対立が激化する中で殺人事件が起きる。未解決のまま16年後、不法投棄による大規模土砂崩れが発生する。産廃処理業者への偏見や大気汚染問題、活動家と称する人たちの過激さなどいろいろ考えさせられた。後半は綺麗ごとでまとめた感はあったけれど、壮真親子が幸せならいいか。

  • 廃棄物処理は、リサイクルもあって、規制が難しいらしいが、大きな産業だ。

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著者プロフィール

『私の結婚に関する予言38』(宝島社文庫)にて第3回日本ラブストーリー大賞のエンタテインメント特別賞を受賞し、2008年デビュー。近著に『ブラッド・ロンダリング』(河出文庫)。そのほか、「原麻希」シリーズ(宝島社)、「新東京水上警察」シリーズ、「海蝶」シリーズ(ともに講談社)、「十三階」シリーズ(双葉社)、「警視庁53教場」シリーズ(KADOKAWA)、「感染捜査」シリーズ(光文社)など著書多数。

「2023年 『警視庁捜査一課八係 警部補・原麻希 グリーン・ファントム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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