椿ノ恋文

著者 :
  • 幻冬舎
4.28
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本棚登録 : 4225
感想 : 251
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344041929

感想・レビュー・書評

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  • QPちゃんが高校生、そして同学年の妹弟までいる!
    代書屋さんも復活というシリーズの切り替えとして、とっても新鮮で相変わらずの暖かさ。
    どの代書にも心が込められており、手書き文字の良さをあらためて痛感します。

    先代の詳しい経緯はわからないけれど、手紙だけでいろいろ想像できる余白も残しつつ、大島の自然を楽しめました。

    そう、自分も昔は手紙を書いていたんだと、懐かしくもあり苦い思い出もあり・・・と。

  • ツバキ文具店シリーズの続きやっと読めた!
    今回は、代書の手紙はもちろんQPちゃんの反抗期や、先代の道ならぬ恋など盛りだくさんであっという間に読み切ってしまいました。
    QPちゃんの手紙は感動したなぁ、、さすがぽっぽちゃんの娘!お手紙書くのが上手で羨ましくなっちゃいました。私も反抗期の時にこんな手紙が書けていたらなぁなんて思いながらQPちゃんの気持ちに感情移入してました。
    私の大好きなバーバラ婦人は今作少しの登場でしたが圧倒的存在感でした!バーバラ婦人の決断力と人を見る力と優しさを見習いたいです…
    そして、新たに知的ヤクザも大好きになりました!知的ヤクザかっこいい!

    また続編が出ることを密かにお祈りしてます♡

  • 私にとって大切な、小川糸さんの作品。

    ツバキ文具店
    キラキラ共和国

    シリーズ前作から6年が経ち、『椿ノ恋文』を手にする。
    「読み終わってしまうのがもったいない!!」
    そんな思いといっしょにページをめくる。

    ーー

    これは、親子の話、迎える死、女性の立ち位置(母、妻、自分)という大きなテーマに包まれている。
    そしてタイトル「椿ノ恋文」にあるようにラブレターが主軸になっている。


    まず驚くのが、時間の流れ。
    前作ではQPちゃんが小学校に入学する頃だった。
    それが、高校受験!?
    中3になってる〜

    さらに、下の子が産まれてた!
    小梅ちゃん、そして、蓮太朗くん。
    なんとなんと、年子の小梅ちゃんと蓮太朗くんは、そろって小学校入学!? 

    これを冒頭1ページ目のポッポちゃんの手紙で知ることになる、、
    ちょっと待って、頭が追いつかないわ……

    と思いながらも読み進めると、
    QPちゃんの反抗期!?
    ポッポちゃんに口を聞かない、無視する、あきらかな反抗期…

    あれ?思ってたんとチガウゥーーと叫びたくなるくらい、別世界に放り込まれる。

    ポッポちゃんと呼ばれていた鳩子も母になり、しかも子どもが3人となれば、目の回る忙しさだ。ミツローさんの包容力に穏やかな気持ちになっていたのは遥か昔、子育ての参加方法に文句の一つや二つや…出るわ出るわ。
    鎌倉の町や店をわたり歩く時間もなく、日々奮闘してきたのだ。

    下の子たちが小学校入学を機に、ようやく仕事の軌道を戻していく。
    代書屋 雨宮(守景)鳩子 としてのリ・スタートだ。

    子どもたちの母である自分、ミツローさんの妻である自分、そしてやっと、自分のための自分である時間を設けることができるようになった。
    女性がかかえるジレンマをシーンごとに何度もぶつけてくる。
    QPちゃんの反抗期はとても悩ましく、こちらまでふつふつしてくる……でも、何もできない!


    親子といってもさまざまな関係がある。
    血の繋がった親子、残される子どもを思う親、継母と子、義母と嫁、毒親と子ども。
    関係がちかいだけに問題は複雑だったり言葉にできない感情がある。
    それを一歩引いて他者が代弁してくれる、代筆での手紙というのは、なかなかな方法だと改めて思う。

    そして手紙は残る。
    いっしょに思いも残る。
    見ればそのときの思いが蘇ってくるのだ。

    ある日現れた来客から思わぬものを受け取る。
    先代の書いたラブレター。
    誰しも若かりし頃があり、恋心を抱くときがあった。
    自分の生まれるまえの祖母の恋。
    人生経験を積んできた今だからこそ、鳩子も先代の恋にも受け入れることができたのだろう。
    色褪せた便箋と思いのこもった文字……
    その時間があったからこそ、自分が存在して、子どもたちがいる。脈々と受け継がれていくのだ。


    先代の最後の手紙に書かれた、いろは歌。

    ーー

    色はにほへど
    散りるぬるを

    我か世たれぞ
常ならむ
    有為の奥山
今日越えて
    浅き夢見じ
酔いもせず


    (訳)
    色は美しく照り映えていても
    (花は)散ってしまうものである

    私たち この世の誰が 永久に変わらないことがあろうか
    いろいろなことがある(人生の)深い山を
今日も越えて(いくのだが)
    浅い夢など見ることはしない
心を惑わされもしない

    ーー

    遥かむかし、いつの時代にか書かれた歌で締めくくった先代の生き様に、襟を正す思いになった。

    こうして時が移り変わり、草木は移ろっていく。
    各章が花で飾られて、鎌倉のツバキ文具店にも時が流れていく。


    はぁ〜、一度読んだだけではまだ噛み締めたりない、、
    鳩子だけでなくQPちゃんも大人になったなぁ。


    【心に留めておきたいこと】

    トキグスリ……

    時の薬。時間というお薬。
    時間が経つことで少しずつ見える景色が変わってくるから。毎日ちょっとずつ変わるから自分では気づかないけど、でもある日、あれ? 随分と目の前の景色が変わったなぁ、って気づくの。
    それがトキグスリ。

    そういう時こそ、思いっきり力を抜いて、流れに身を任せちゃう。そうしてればね、最後はぜーんぶ、笑い話よ。

  • 鎌倉の地に憧れをくれた、ぽっぽちゃんシリーズ3作目。相変わらず綺麗な風景が目に浮かぶ。この作品きっかけで、去年初めて鎌倉に行きました。そうだあれは段葛という名前だった。江ノ電も可愛いかったな〜

    というわけで、さらに親しみを感じながらぽっぽちゃんの奮闘ぶりを拝見。QPちゃんが中3で反抗期。扱いづらいの分かる〜。
    そして今回もステキなお手紙の数々。相手に合わせて、便箋やペン、インクの色を選ぶ楽しさを懐かしく思う。手紙の内容がなんとも素晴らしい。手書きの手紙、もうずっと手にしてないな。ぽっぽちゃん、私に手紙くれないかな。

    先代の道ならぬ恋、孫に知られるのはどう思ったかな。私が先代なら知られたくなかったかな。

    バーバラ婦人の言葉は、いくつかメモしました。そして、大島にも行ってみたくなりました(๑⃙⃘´༥`๑⃙⃘)

  • 涙注意です。血はつながらないQPちゃんと鳩ちゃんとの親子愛に涙が止まりませんでした…。
    温かくて優しくて、とても一生懸命なそんな家族を感じていい作品を読んだなあという感覚が止まりません。
    でも、親子愛でこんなに優しい物語なのにベタだと感じないのは、小川さんの表現力だと思います。
    鳩ちゃんの単純ではない想いをいろいろな表現力で描かれているからだと思います。

    最後の文が、とっても心に響きました。
    題名が恋文というので、どういうことかと思っていましたが個人的には先代のやりとり以外に、鳩ちゃんからQPちゃんへの想いも恋文みたいなものだなあと思いました。
    素敵な作品、あっという間に読んでしまいました。
    続編はあるのでしょうか?(o^^o)

  •  久々に、ツバキ文具店の世界に浸ることができて、嬉しかった。タイトルに 恋文 とあり、誰の恋? とワクワクしながら手にとった。ポッポちゃんは、結婚したはずだし、ラブレターを代書する依頼のお話かな?と読み進めると、まさかの、、、だった。
     ほっこり、時にジーンと来るこの世界がすごく好き。本当は、ツバキ文具店から読むつもりだったのに、この作品から手に取り、経緯を忘れているところもあり、少し後悔。久々の続編は、やはり最初から読もう、その方が楽しめる! 今後の教訓。

  • すごく良かった。QPちゃんの手紙でボロボロ泣いてしまいました。改めて手描きの良さを感じてます。

  • 2023年51冊目。
    大好きな、大好きなツバキ文具店。
    物語はポッポちゃんの手紙から始まり、あれから家族が増えてQPちゃんが中学3年生に成長していた。時の流れは早い。

    「誰かに褒めることはたくさんあっても、自分自身が褒められることはほとんどなかった」の言葉でポッポちゃんがすっかりお母さんになったんだなぁと実感。

    「人のことを批判している暇があったら、自分のことを鏡に映してわが身を振り返るべきだ」の言葉にハッとして、「誰かにおんぶしてもらったら、今度は誰かをおんぶしてあげればいいんだ」にそんな風に生きていきたいと思った。

    「人は笑うために生まれてくるんだ」
    この物語が愛おしい過ぎて…こんなにも幸せな気持ちにしてくれる読書はやっぱりやめられない!

  • 好きな作家さんです。特に「ライオンのおやつ」が良くて本もですが、ドラマも良かったです。ブログが面白くて、丁寧な生活が作品にも通ずるものがありますね。 新刊を読むのが楽しみです。
    期待通りの素敵なお話しでした。登場人物が皆んな素敵ですねー。

  • ツバキ文具店、キラキラ共和国に引き続き、手にする。
    今回はQPちゃんの反抗期と先代の秘められた恋について。
    伊豆大島での話がとても良かった。
    鎌倉の街なみの描写に、ひさしぶりに行きたくなりました。
    QPちゃん、船に乗り遅れたからって、大胆だなー。

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著者プロフィール

作家。デビュー作『食堂かたつむり』が、大ベストセラーとなる。その他に、『喋々喃々』『にじいろガーデン』『サーカスの夜に』『ツバキ文具店』『キラキラ共和国』『ミ・ト・ン』『ライオンのおやつ』『とわの庭』など著書多数。

「2023年 『昨日のパスタ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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