椿ノ恋文

著者 :
  • 幻冬舎
4.28
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本棚登録 : 4225
感想 : 251
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344041929

感想・レビュー・書評

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  • お母さん色の強い物語になってしまったならどうしよう…と不安に思う始まりだったけど、子の話はそこまで出てこず、これまで通り鳩子さんの物語だった点に安心した。
    合間合間に登場するお手紙が相変わらずの素敵具合でうれしい。

    あとは、鎌倉が舞台なのがやっぱりとてもよい。
    ああ、そうそう、鎌倉ってそういう感じだよね とか、色々思いながら読めて楽しい。
    登場した中で、わたしが特に好きなのは、鎌倉高校前から見る海。
    駅から見る海もキレイだけど、歩道から見る海も格別なんだよね。
    また見に行こう。そして珊瑚礁食べたい。

    手紙の内容もどれもよかったんだけど、亡くなるお母さんからの手紙が好きだった。
    なぜかというと、わたしの名前も『楓』だから。
    『木のように地に足をつけて、風のように軽やかに生きてほしい、そんな願いを込めた名前』
    わたしに向けられた言葉ではないけど、心が温かくなった。

    あ、あと、QPちゃん反抗期かあ〜しかもクセ強め〜と思ったけど、すごく理解できる理由だった…ぽっぽちゃんが生んだわけじゃないけど、QPちゃんにとってお母さんはぽっぽちゃんなんだなあ。ジーンときた。
    これからも仲良く過ごしてほしい。

  • 「ツバキ文具店」シリーズ

    鎌倉という街や登場人物ににおとぎ話のような世界観を持たせながらも、
    人間味あふれる内容がバランスよい。

    今作品は少し人間味に重きを置いた点も、今までの登場人物が身近に感じてよかった

  • 久しぶりにポッポちゃん、QPちゃんに会えて嬉しい。
    やっぱりいいなぁ。このシリーズ大好き♪

    「反抗期のQPちゃん」「亡き祖母の秘めた恋」と気になるワードがたくさんの本作!
    ラストは温かさに満ち溢れていてじんわりと幸せな気持ちになりました。

    QPちゃんは反抗期と言ってもやっぱり可愛い。
    大きくなったなぁ。
    大島での母娘の会話に「あ、これ私も娘に言われたことある!」ってシーンがありました。

    ツバキ文具店シリーズに漂う、優しくゆったりとし雰囲気が心地いい。シリーズを読むたびに鎌倉の町を散策したくなります。
    それに毎度見事な代書に感動!
    やっぱり手書きの手紙は温もりがあっていいものですね。

    男爵にマダムカルピス、バーバラ婦人と懐かしい面々に心が弾む。そして新たな登場人物も、これまた個性的で魅力的。
    久しぶりに会うバーバラ婦人は、やっぱり流石で素敵でした!

    ラストのポッポちゃんの想いは、子どもを想う親の気持ちそのもの。
    幸せな読後感にとても満たされた気分。
    次作はポッポちゃんの子ども、小梅ちゃんと蓮太朗くんの話が読みたいなー。

  • 鎌倉にある代書屋さんが主人公の話。そういう店が本当にあるのかと思えてくる。素敵な話ばかりだ。手書きの何種類もの手紙が素晴らしい。私も何か頼みたい。

  • この本はシリーズ3冊目なので、この本から読まないでほしい一冊。1冊目のツバキ文具店から読んでくださいね。なぜなら、過去からの登場人物がバンバンでて、代書屋の説明や先代との関係性なども読者が知っているていで進むからです。そして、「ツバキ」という言葉にこんなに深い意味があったとは・・!

    ■代書屋って本当にすごい
    義母の料理に髪の毛が入っていることを伝えるって・・。まず、代書屋に頼もうという発想がすごい。相場はわかりませんがお金をだして伝えようと思う方がいるんですね。でも、完成した手紙はまったく角がなく、驚きました。こうやって冷静に伝えられる方法って存在するんですね。
    また、また認知症の小森さんにはどんな手紙を定期的に送っているのか気になりました。毎回1通目と同じ手紙なのだろうか?
    茜さんの娘への手紙は大変温かい内容で、涙が出ました。また、字体で伝わり方が全然違うのにも驚きました。でも、わたしが茜さんだったら、実際はもう書けないのに自分が書いた風の字体より、元気だったときのような字で書かれた方を選ぶのではとも思いました。

    ■それでも、あの世で出会えたであろうか。
    他の方も少しひっかかるところがあるこのシリーズ笑。 わたしも、パンティーっていうあだ名はどうかと思う派です。今回は、先代の若いときの恋が結構ポイントですが、相手に家庭があった以上、いくら相性がよすぎたといっても、問題なく本妻がいた以上、あの世でも会えないと思います。先代にも旦那さんがいたわけだし。それなのに、手紙供養後に「会えているといいですね」というのはひっかかりました。

    ■バーバラ婦人
    今回はちょこっとだけの登場でしたが、いい味出してましたね~!お隣さんバーバラ婦人に戻らないかな笑 ポッポちゃんが迷ったときにあの明るい雰囲気でぱーっとやってくれると、とても爽快で好きですね。

  • 伊豆大島には行ったことがあり、とても好きな島の一つなので親しみやすかった。最後のQPちゃんとのお話、そして手紙が好き。また何年後かに続きが読みたいな。

  • シリーズ3作目
    代書の手紙の文字が依頼人と伝えたい人との関係、繋がりを感じられる素敵だ。
    イラストが好きだなぁ地図もかわいい。
    余命少ない母から一人娘への結婚祝いと遺言の手紙や、
    免許返納させたい家族の手紙が秀逸だと思った。
    そしてQPちゃんから鳩子への手紙、
    血の繋がりなんて関係ない母娘おやこ
    の絆に感動。
    一作目からを振り返ると少し胸一杯になりました。

  • ポッポちゃんと初めて出会ってからもう7年も経つなんてホントにびっくりしたけれど、あのとき流した温かい涙を思い出しながら新しい物語へとさらりと流れ込んでいきました。

    あんなに小さくてかわいいばっかりだったQPちゃんがなんとなんと反抗期真っただ中とは。新しい家族も2人増えてポッポちゃんの悩みは尽きない。
    そりゃそうだよね、と思いながらもポッポちゃんが代筆屋を再開したことがうれしくて仕方ない。
    今回も次々舞い込む「お仕事」にポッポちゃんの悩みもマシマシ。
    単に「代筆」するだけじゃない。依頼者の書く文字や生み出すであろう言葉や伝えたいことにとことん寄り添って書かれる手紙の、その尊さよ。
    便箋を選び、ペンを選び、インクを選び、切手を選び。生まれた思いをそっと包み込んで届けるのが「代筆屋」の仕事。
    言葉では伝わらないものがあるけれど、それでも言葉でしか伝わらないことがある。
    手紙を書くことで、それを受け取ることで、人は少し変わっていく。小さくて大切なその変化がこの一冊にたくさん詰まっていた。
    しかし、それにしても先代の恋が飛び出すとは!ドキドキしましたよ。QPちゃんの反抗期にはハラハラしましたし。ゆったりとほんわかと優しく温かいこの世界にも「スリル」が忍び込んでいたなんて!!!
    あぁ、守景家の物語とはずっと一緒に歩いていきたい。何年か後に、また出会いたい。これで終わりなんて、イヤですよ!!

  • 初めて読んだ「ツバキ文具店」の印象がとてもよくて、さらに主人公鳩子を多部未華子さんが演じられたNHKの同名ドラマも好きだったので、このシリーズは読むことにしています。


    今回はQPちゃんの母親としてだけでなく、自分自身も出産を経験した鳩子が、先代の秘めた恋心を綴った手紙や葉書に触れ、改めて先代の心のうちを理解したり、代書の仕事を再開したことで、過去とこれからを見つめ直す、さらに成熟期に入った様子を読むことができます。

    私も母親業をこなしましたが、血のつながった子でさえ、難しいのに血縁のない子の母親になった鳩子が、反抗期のQPちゃんに悩む姿も読みながら胸が痛みました。

    このシリーズのいいところは、誰も傷つけることなく、幸せを掴んでいくところに、ホッとすることにあります。

    今後このシリーズが続くのか、わかりませんが、きっと代書屋として、舞い込んでくる注文に人間性を問われるのだろうなと推測します。

  • 主人公で代筆屋である鳩子が結婚して数年が経過した日々の話。
    家族は旦那とその連れ子QPちゃんに加えて2人の子供がいるにぎやかな家庭を築いていた。

    幸福な日々であるものの育児に忙殺されて、代筆業は休業していたが、下の子供二人が小学校に上がるタイミングで代筆業を再開するというタイミングのお話。

    今回も様々な依頼が舞い込む。
    が、前作に比べて厄介で困った役回りになるものが多い。
    そして家庭でも中学3年生のQPちゃんは反抗期真っ盛りであり、案外平穏な日々は少ない。

    と、前作までと比べてキラキラした要素は少ないものの、私のような30代の読者からするると、人生ホントに浮き沈みがあるし、色々あるからなあと共感できるポイントが多くて良かった。

    主人公の波乱で困ったことの多い日々の中でも、ちょっとした癒しを見つけることや、大切な人を大切にする事、厄介なことをだれも傷付けずに華麗に収める姿を見て心癒される本でした。

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著者プロフィール

作家。デビュー作『食堂かたつむり』が、大ベストセラーとなる。その他に、『喋々喃々』『にじいろガーデン』『サーカスの夜に』『ツバキ文具店』『キラキラ共和国』『ミ・ト・ン』『ライオンのおやつ』『とわの庭』など著書多数。

「2023年 『昨日のパスタ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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