サヨナライツカ (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 7593
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344402577

感想・レビュー・書評

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  • 『冷静と情熱のあいだ』ぶりの辻仁成さん。
    男性目線の恋愛小説。

    婚約者がいるのに浮気の話か、と冷めた気持ちで最初読んでいたけれど、読み終わる頃には胸いっぱい。
    現実にこんな話があったら
    妻子いる身で…
    光子の気持ち考えて…
    と引いていたけれど、フィクションだからこその面白さ。
    フィクションだからこそ光子の感情描写が出てこず、読み手もそこまで嫌な気持ちにならず、感動のラストになりました。
    映画を見ているような感覚になったので、ぜひ映画版の方も見てみたい。

    何よりも辻仁成さんの表現と海外の描写が素敵で『冷静と情熱のあいだ』を読んだ時の気持ちを思い出した。
    あちらも10年ぶりに読み返したいです。

  • 私が既婚者だからなのか最初から最後まで光子側の心情で読んでしまいました。豊は、沓子とのことは墓場まで持っていく覚悟だとは、思いますが貸金庫にある手紙は、生涯光子の目に触れさせないで欲しいと強く願います。独身時代に読んでいたらまた、違う感情が沸いたでしょうね。

  • この愛との別れがみえるにつれて、瞳が湿っていった
    じぶんだけでは収まることのない愛を、私は誰かに捧げることがあるのだろうか

  • うーん
    どっちかな。。

    結婚を4ヶ月後に控えた豊は、沓子と出会ってしまう。2人は激しくお互いを求め合う。毎日、人目を気にせず共にいて濃密な時間を過ごすが、豊は結婚をやめる気はなさそうだ。

    『悩んでもいいけど迷ってはいけない』のアドバイスに従って沓子を選ばないことを選択したのなら、沓子に、望みを断つようにはっきり言って欲しかった。
    結局沓子は、豊の結婚式前日に潔く身を引く。が、その後、実際は豊を忘れられずに25年もの間、豊だけを思い続けた。

    豊は予定していた結婚をし、息子2人と妻を愛する生活を送り、出世街道をまっしぐら。次期社長となる。
    が、沓子と25年ぶりに再会すると、かつての愛し合った日々を思い出して過ごす。その後に届く沓子からの手紙に涙するも、なかなか行動には移らない。

    話はキレイにまとめられていたけど、沓子の身になって考えると『幸せな人生でした』と言いきれる自信がないかも。。
    やっぱ、豊の優柔不断さが悔しいかなぁ。
    この物語を『美しい話』と思えない私は、まだまだ修行が足りないのかな。


    『人間は死ぬとき、愛されたことを思い出すヒトと、愛したことを思い出すヒトにわかれる』

    私は、どっちだろう。。

  • 言葉が流れるようにするする出てきて美しいと思った。
    文体は純文学ぽいな、と感じました。

    この作品を切なく儚い恋の物語と例えていいのか解らない。
    中盤までは胸糞が悪く、二人の事が全く理解できなかった。
    けれど読み進めていく内に、どうしようもなく人を好きになるということや、沓子は本当はただ愛されたかった人だったということが分かり何とも言えない気持ちになった。

    きっと書かれていることが全てじゃなくて、黄金の寝室での逢瀬の他にももっと普通の恋人同士のようなデートも重ねていたんだろうな。まるで本物の恋人同士だと錯覚するくらい
    その瞬間、その時間、二人は確かに幸せだったしお互いが大切だった。

    初めは、"愛されたことを思い出す。一人の男性に愛されたことが何よりの誇り"だと語っていた沓子が
    前言撤回し"間違いなく愛したことを思い出す。愛することのほうが大事だと気づいた"と語ったことで沓子の心境の変化が分かる。
    愛されるより愛す。人は本当に好きな人と出会うとこう変化していくんだなと。

    豊、沓子は初め愛されたい人だった。けれど二人で過ごした時間によって愛す人に変わった。
    この恋が二人を変えた。
    光子は初めから最後まで変わらず、ずっと"愛す人"のまま。恵まれていて"愛すること"をまっすぐに信じる人。

    忘れられない人は誰にでもいると思う
    でも、大体時間が経てば(その時間の長い短いあるにしろ)思い出になる。昇華される。思い出になって、懐かしく思えるようになる。
    この二人の思いはそれを超えるほど強いものだったんだなあ
    だからといって手放しでよかったね、とは言えないけれど…

    沓子からの一回目の手紙で終わりにしてほしかった。と心底思ったけれど、結局最後はすっきりまとめられていてよかった。

    また何年後かに読めば違った感想になるのかもしれないなと思いました。

  • "人生を2度生きることができる人はいない。人生を最初からやり直すことができる者もいない。人生とはつまり取り返しがつかない一瞬一瞬の連続である。"

  • 2.3
    →すごく賛否が分かれそうな作品だなと感じました。
    私は主人公の男の身勝手さに、どうしても納得がいきませんでした…

  • 冒険するか安牌でいくか、最愛か最良か、なかなか難しい二者択一。結ばれないからこそ盛り上がるんでしょうけど、そこまでお互いが思い続けられるってすごいな。

  • 肯定派・否定派がまっぷたつに分かれる、辻仁成の「サヨナライツカ」。
     中山美穂主演で来年映画化されるらしく書店に平積みされてて、そういえば学生の時読んだよなーと思いながら再購入。
     ストーリーは、結婚を控えた主人公が婚約相手とは別の女性との愛に狂ってなんやかんや…というもの。
     「人間は死ぬとき、愛されたことを思い出すヒトと愛したことを思い出すヒトとにわかれる。」っていうキレイなくだりのわりに内容は結構ぐちゃぐちゃ。
     でもなぜかそのぐちゃぐちゃ感がねばっこく心に残って、ふと情景を思い浮かべた時におもむろに泣きたくなる。学生の時読んだ時とはまるで違う感想もちました。

  • 結婚目前に美女と出会った男が長年浮気する話(最低な言い方)
    燃える恋はずっと覚えてるんやなあ
    最低な男やと思いつつ妖艶な女性に惹かれる気持ちはまあわかる

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著者プロフィール

東京生まれ。1989年「ピアニシモ」で第13回すばる文学賞を受賞。以後、作家、ミュージシャン、映画監督など幅広いジャンルで活躍している。97年「海峡の光」で第116回芥川賞、99年『白仏』の仏語版「Le Bouddha blanc」でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を日本人として初めて受賞。『十年後の恋』『真夜中の子供』『なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない』『父 Mon Pere』他、著書多数。近刊に『父ちゃんの料理教室』『ちょっと方向を変えてみる 七転び八起きのぼくから154のエール』『パリの"食べる"スープ 一皿で幸せになれる!』がある。パリ在住。


「2022年 『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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