サヨナライツカ (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 7593
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344402577

感想・レビュー・書評

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  • テーマは愛。
    「人間は死ぬとき、愛されたことを思い出すヒトと愛したことを思い出すヒトにわかれる。私はきっと愛したことを思い出す。」

    人生(一生)をかけた本当の愛。
    とても切なく悲しい物語。
    受け取り方は人それぞれだとは思うのですが、別れの辛さは皆が感じる作品だと思います。
    映画も是非観たいと思います。

  • 独身時代は号泣してた…
    結婚してからは…
    記憶に残る1冊

  • 25歳までかなり好きだった小説。
    その後全然共感できなくなっていてあれの何が良かったんだとまで思っていたけれど、自分のステータスが変わって、突然何かに呼ばれたかのようにこの小説が頭をよぎり、再読。

    一言で表すなら、耽美。

    現実はここまで美しくはないけれど、愛に美しさを求めそこにドラマを創り出すのならこんな世界であって欲しい。自分の失くした恋もこうであって欲しいと、深い傷を慰めてくれるような世界でもある。小説の中の小説。現実的でない話が揶揄されがちな今こそ、こうした愛の夢を見られる話がまた新鮮に感じた。辻仁成らしさそのもの。

    多分、現実を生きてる時に読むとあまりのギャップに疲れるし呆れる。失ったものがあるときの処方箋。

  • 良い話ではないけど、とても気持が伝わってきました。
    人生の分かれ道で、選ばなかった行き先を想うお話しでした。

  • はあ…感情移入させられました。
    その立場になっていないのに、好青年だった頃、歳を重ねた後、の豊と沓子の感情に読者の思いを移入させられる辻さんの表現力がすごい!
    豊と沓子、一緒にならなかったからこそ、これだけ思い、愛しあえたのだろうな。

  • 人は死ぬとき、誰かを愛したことを思い出す人と、誰かに愛されたことを思い出す人がいる。

  • 結婚が決まっていた「好青年」の東垣内豊。運命の人との出会いは、惜しくも彼の結婚を祝う場だった。2人は限られた時間を意識しつつも急激に惹かれ合い心身ともに離れられなくなる。果たして豊は婚約者との安定した生活を選ぶのか、目の前にいる運命の人を選ぶのか。

    沓子と豊のいるバンコクがあまりにも暑い、熱い。
    時間の長さだけが全てではない。綺麗事で済ませないことも矛盾してしまうことも、たくさん出てくる。
    風景の描写が細かいので読みやすかった。読了後にバンコクやオリエンタルホテルを調べましたがイメージ通りでより好きになった。
    どんな恋愛をしてきたかや年齢、性別によって感じ方捉え方が変わるこの作品。好き嫌いがはっきりと分かれてしまうが、私は今後も大切にしていきたい。

    愛されたことは私の中でずっと大事にしていたい思い出だが、死ぬときはきっと愛したことを思い出す。

  • タイを舞台にした小説2作目。
    バンコクは貧富の差を背景にラグジュアリーと雑然が同居する街。異質のものが隣り合わせに存在することの違和感を、「異世界」として二人だけの恋の舞台とする。そんな感覚の鋭さと物語の引き立て方が上手だった。タイの景色に馴染みがある自分としては、情景が目に浮かび楽しかった。

    小説で描かれてる1970年代の在留邦人は数千人単位。今やタイには10万人が住んでると推定されてる。日本人会は今よりもずっと狭い世界だったんだろうなぁ。

  • 友人に勧められて読んだ本。

    この本を読んでいる時、この本の内容みたいに、読んでいる間は熱に浮かされているように4時間くらいで読んでしまい、読んだ後は、心にぽっかり穴が空いたような気持ちになった。

    人は大人になると、仕事、結婚、家族、理性、メンツ等、様々なしがらみができてきて、自由に動けなくなるんだなあ、っていうのがよく分かった。この本の中でも、お互い惹かれあっていても、サヨナラを選択した。
    だから、もう大人だけど、まだ完全な大人ではない今は、やりたいことがあったり、好きだと思った人がいたならば動かないととも思う。そして、手に入れようと思ったら、一歩も引いてはいけない。周りに罪悪感を感じてはいけない。(この本からそう学んだけど、私には無理かも…笑)その分辛いし、未来が分からず不安かもしれないけれど、未来のことなんて誰にも分からないんだから、未来を考えすぎて頭でっかちになって動けなくなるより、今を必死に生きた方が随分と潔い。浅はかだ、という人もいるのかもしれないけれど、私はそう思う。

    そして、人生で後悔しないことってないと思う。
    「自分は満足した人生だった」って人、いないと思う。そう言う人が居たとしても、後悔と折り合いをつけて、自分で自分を納得させてそう言っているのだと思う。
    ただ、その後悔をすぐに巻き返せるか、それともずっと引きずっていくかはその人次第なんだろうけど。

    うーん、せつない。

  • これはハッピーエンドと言って良いのだろうか…。
    人によっては嫌悪感を抱くストーリーかもしれないが、終盤になるに従ってどんどん切なくなり、涙が止まることなく一気に読了。
    過去たった4ヶ月間の逢瀬が、それぞれ25年の時を経て意外な展開となっていく。

    『…人間は死ぬ時、愛されたことを思い出すヒトと
    愛したことを思い出すヒトにわかれる

    私はきっと愛したことを思い出す』

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著者プロフィール

東京生まれ。1989年「ピアニシモ」で第13回すばる文学賞を受賞。以後、作家、ミュージシャン、映画監督など幅広いジャンルで活躍している。97年「海峡の光」で第116回芥川賞、99年『白仏』の仏語版「Le Bouddha blanc」でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を日本人として初めて受賞。『十年後の恋』『真夜中の子供』『なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない』『父 Mon Pere』他、著書多数。近刊に『父ちゃんの料理教室』『ちょっと方向を変えてみる 七転び八起きのぼくから154のエール』『パリの"食べる"スープ 一皿で幸せになれる!』がある。パリ在住。


「2022年 『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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