闇の子供たち (幻冬舎文庫 や 3-11)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344405141

感想・レビュー・書評

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  • 最初から描写がきつくて、やめようかと何度も思った。でも、読まなきゃと思い読んだ。フィクションなんだけど、ノンフィクションのようにリアリティがある。児童売春は買う方がいるから成り立ってしまう。それが、欧米諸国や日本だっていうから関係ない話じゃないんだよね。すごい話で読む手が止まらなかった。でも、もう1度は読めないな。。

    • ざじさん
      私も読後はメンタル削り取られました。感動でではなくて、こんな現実があるのか、と言う正にショックで…二度とは読めませんが、この作品を読んだ事で...
      私も読後はメンタル削り取られました。感動でではなくて、こんな現実があるのか、と言う正にショックで…二度とは読めませんが、この作品を読んだ事で自分の中の理性の境界線がきっちり線引き出来て、苦しいけど得たモノは大きかったです。
      2013/04/12
  • 子を売る親は今も昔も日本にも海外にも実際にいるわけで、決してこの本の話が異例ってわけじゃない。
    人の世の中にはあまりに多様な「欲」がある。お金も性欲も全否定するわけじゃなく、そうまでして欲しいものなのかと問いたい。
    思い合い 分け合い 支え合い 、理想論かもしれないけど、これ以上に何を求める必要があるのだろうと思う。殺し合って 奪い合って そうして得る快楽…生きる上に そんなにもそれは必要なものなのだろうか。
    考えれば考えるほど 気付きが多くて、深く掘り下げるほどまだ色々見つかりそうだなと思った。
    システムや経済における視点でも観れるし (法律・制度・市場・需要と供給・格差…)、あらゆる主義や欲求や心理における視点でも観れるし (性欲・母性・男女・親子・犯罪・道徳…)、情報社会における視点でも観れるし (二次元と三次元・肖像権・芸能界・マスメディア…)、広い意味での概念における視点でも観れる (教育・芸術・歴史・誇り…)。
    どこまでがフィクションで、どこまでがノンフィクションかは分からないけど、人身売買・臓器売買・幼児虐待は存在するし、奴隷も幼児性愛者も実在する。
    描写がグロイからと目を背けることも、遠い国の話だからと振り払うことも、無関係だからと フィクションだからと 言うことも、どれも日本人とっては容易いことで、それは同時にとても哀しいこと。多くの「死ぬより辛い人生」がそこにあるように、多くの「幸福に無自覚な人生」がここにはある。
    誰もが 独り占めの幸福だけを求めて生きているのだとすれば、どうして人は人を求め 寄り添い合うのだろう。誰もが 幸福に生きたいのだとすれば、どうして 他人を思い合えないのだろう。

  • 前半から中盤までは描写のどぎつさに気持ち悪くなるくらいの迫力(少々空腹状態である帰路の通勤電車の中で読むのは結構つらい)なのだが、後半の政治絡み・臓器提供の話になってくると確かに目を覆いたくなるほどの話でこれはこれで相当の腕力のある作家の仕事だと分かるのだが前半ほどの迫力が消えている気がした。
    つまり前半と後半のつながりにどこか作為性を感じさせた、これはストーリー展開の必然性に少々難があるということである。
    ただこれだけの惨状を詳らかに描いた果ての最後に、救いというか希望の光を提示して見せたことは評価すべき。

  • 物を食べるためには何かをお金で売り、買い、
    非人道的な暴力は金のために行われ、
    正義を貫こうとすれば真実を得るため金が必要になる。
    幸福とか正義とか倫理とは、一体何なんだろう。
    私の周りの環境や、それによって形成されてきた哲学や思想やあらゆる全てのことが、所詮綺麗事でしかないんだな、と思った。
    そんな自分に悔しくて、世界にも悔しくて、泣くまいと思っていたのに結局は泣いてしまった自分はもっと情けなかった。
    そんなもんで済むなら、いくらでも泣きゃいいんだ。と自らを諌めたい。
    (2008年10月19日 記)

  • 分厚いし、内容が重いし、苦しいけど、一気にページが進む。

    誰にインタビューして書いたんだろうって思った。
    ある程度取材などはしているのだろうけど、フィクションと知って驚いた。それくらい、リアリティがあって、心に迫る。

    タイなど東南アジアが舞台。
    貧困層は子どもを売りに出す。子どもたちは、売春宿や、臓器提供など、何も知らないままにそれらの世界に連れて行かれる。
    自分がどうしてこのような目に合うのかもわからないし、何をされているのかもわからないかもしれない。

    日本人のヒロインが、タイの福祉職員と力を合わせて、子どもを救おうとする。
    しかし、警察や政府は裏の世界とつながっていて、力になってくれない。
    むしろ、「反政府勢力」としてプレッシャーを受ける。

    絶対的な貧困がもたらすもの。外部からの救いが届かない。
    そして、外国人という立場からは深くかかわることが難しい。

    最後に、ヒロインがタイに残ることを選んだのは、とても勇気がある行動だと思う。

  • 幼児売春、臓器売買、、
    悲しくなる。人の命、人権を踏みにじる行為だ。
    中国や韓国の支援を止め、こちらに回すべき!

  • 今までこういうことがあると知っていながら知らないふりをしてきました。そういう人ばかりだからいつまでたってもなくならないと言うことを改めて実感。解説にもあったように恵子の決意と南部の考え方の対比は心に残りました

  • そーいえば映画化されてたような、と何気なく読んだのですが、、もう打ちのめされました。世の中にこんな不条理があるのかと思う一方、自分がいかに恵まれているかと複雑な気持ちになりました。無関心というのは悪とも言えるような気がしてならない。

  • タイにおける幼児の人身売買・売春・臓器売買の話。
    映画も見たが、ものすごく興味深い内容だった。
    人間にはいろいろな欲求があるけれど、「性」の欲は特に、人を際限なく変貌させるのではないかと思う。
    そのリアルな描写に、顔をしかめずにはいられなかった。
    警察までもお金で買え、マフィアが裏で牛耳る社会を、心底恐ろしく思う。

  • 安易に解決できる類いの問題ではないので、小説として面白いかどうかより、問題提起することに意義があると受け止めました。映画も原作の意図を汲んでいて素晴らしかったです。

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著者プロフィール

1936年生まれ。『血と骨』『夜を賭けて』など作品多数。

「2020年 『魂の痕(きずあと)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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