スイートリトルライズ (幻冬舎文庫 え 4-2)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344408203

感想・レビュー・書評

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  • ラストがこわい。
    そういう話なんですか、これ。
    最後だけなんとも、狂気じみていて共感できないじゃないか。

    このへんの心の揺れ動きは好きだったのに。↓

    ・これ以上望んだらあなたを失うかもしれないと思う恐怖なんて、あなたにわかるはずがない。

    ・どうして帰りたくなるのか、瑠璃子には自分でもまるでわからない。
    「ごめんなさい」
    それでそう言った。
    「ここは居心地がよすぎるの」
    ベッドからでて、考えながら説明する。
    「ここにいると、昔のことを思いだしてしまうの」
    昔の、聡なしでも平気だったころのことを。
    「だから心配になるんだと思う」
    「心配?」
    春夫は首をかしげる。
    「帰らないと帰れなくなる。それが怖いから帰るの」

    ・この日常に不満はない、と、瑠璃子は思う。淋しさはたぶん人間の抱える根元的なもので、聡のせいではないのだろう。自分が一人で対処すべきもので、誰かに――たとえ夫にでも――救ってもらえる類のものではないのだろう。
    でも、と、聡の好きな桃をむきながら瑠璃子は考える。でもそれなら、春夫といるときに淋しくないのは一体どういうわけだろう。あんなに満ちたりてしまうのは。


  • ヤマ場は何処だったのだろう。
    短編集だけれども、話はずっと繋がっているので、長編ともとれる。ただただ淡々とドロ沼化していくのを見るだけなので、どうしたらよいものか。

  • 守りたいものに嘘を吐くのって、とても当たり前なことのように思えるけど、気付かなかったな〜と。
    悪化すると共に良好になっていくものがある。
    他の場所にいる自分に出会うことで、家での自分でいることができるものなのかな。
    好き!という登場人物は誰もいなかったのに、江國さんの小説はそれぞれの登場人物に共感してしまうからすごい!

  • うまくいっているような いってないような の夫婦の話

  • 全く内容が思い出せず再読。

  • どうしようもねえな、この未熟者が!

    作品としては好きだ。瑠璃子は、聡の浮気を知ったときどうするのだろう。ソラニン……いや、トリカブトだろうな。

    江國香織さんの作品は「情熱」と「冷静」。そう『情熱と冷静の間』が正に江國さんを表す。私には、江國さんが「情熱」と呼ぶものが欠けている。私は、その情熱を醜いと貶していたい。

  • 好きな人の腕に入って一緒にごはんを食べる幸せはどこにあるんだ

  • やけ食いをするように読んでしまった
    タイトルの意味に読み終わってから気づく

    江國さんの作品の中の女のひとは読み終えるころには友達に抱くような親近感ができあがっているんだけど、彼女には恐れというか、不健康な何かを感じてしまった

    瑠璃子と聡がつく嘘の意味合いは対称的なのかしら、と思ったけどそれは味わわずに読んでしまったがゆえな気もする
    聡は瑠璃子とうまくやっていくために嘘をつく、と何度も言っているのが目についたけど瑠璃子もそうだったの?って

    かのシーンは例に漏れずドキッとした、正直と誠実さについていつか考えていたこと、守りたいものには誠実でありたいけどそれもきっと私のエゴ

    あと、江國さんの作中には満ち足りるって表現が何度も出てくるから、パートナーシップにおける飢餓って表現が新鮮だった

  • 「なぜ嘘をつけないか知ってる?人は守りたいものに嘘をつくの、あるいは守ろうとするものに。」

    いつも、江國香織さんの創る物語の主人公はどこか自分と似ていて、読んでいて面白いほど理解できるし、それと同時につらいときもあるけど、でもなんだか自分のことを好きになれるような気がしている
    ちょうど、旦那さんが帰ってきたときの瑠璃子のようにわたしも恋人に1日の出来事を事細かに話している、、

  • 同じ空間にいながら、こんなにも違うのか。
    「守りたいものに嘘をつく」
    負の感情で繋がってると思っているのは一方だけか。
    彼女はトリカブトを調理するのか。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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