奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344416451

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  • 内容(「BOOK」データベースより)
    リンゴ栽培には農薬が不可欠。誰もが信じて疑わないその「真実」に挑んだ男がいた。農家、木村秋則。「死ぬくらいなら、バカになればいい」そう言って、醤油、牛乳、酢など、農薬に代わる「何か」を探して手を尽くす。やがて収入はなくなり、どん底生活に突入。壮絶な孤独と絶望を乗り越え、ようやく木村が辿り着いたもうひとつの「真実」とは。

    成功譚ではありますが、普通の人間には役に立たない偉人伝に近い代物です。天才は何処か狂気を帯びていて、常人には計り知れないものだと思いますが、この木村さんもまさに狂気。成功しているから笑っていられるけれど、普通に考えたらどうかしている人日本代表だと思います。
    この本読むといかにりんごという植物が、人間の手で改良されて人間の手が入って初めて収穫できる脆弱なものなのかが分かります。
    綿々と続けられてきた農業の歴史を覆す、無農薬リンゴ栽培という偉業が、無謀と探究と家族の協力で成し遂げられた瞬間、読んでいるこちらも感動で目がかすみます。まるで
    目の前で見たかのようにシンとした景色の中で揺れる白いりんごの花が見えるようです。

    しかしちょっと待て、これを素晴らしい美談、努力する事の大切さの見本として読むのはおかしいだろうと思う。こういう本ってみなさんどういう読み方をするんだろう。だってこの木村さんおかしいって!完全にクレイジー木村だよ!他の人が真似したら家族離散、お父さん自殺のパターンです。なので、こんな生き方をしたい!真似したい!なんて思っちゃダメ。こういう天才人が人間の技術を進めて、それを凡人が解析して世の中に広く広める。そうやって世の中が進んできたんだと思う。
    そう、この人は農業という歴史の重要なマイルストーンなんだと思います。

  • 藤原さんのオススメ本に載ってた一冊。
    全てのものは、周りに生かされている。りんごも人間も。
    りんご農家の木村さんの暖かく真っ直ぐ目標に突き進む様子に元気をもらい、辿り着いたゴールは自然の一部となることだったことに発想の転換を感じさせられる一冊。

  • リンゴも人間もみんな一緒。自然の中の一部という考えに共感した。今の暮らしを振り返ると実現することは大変なことだけど、忘れないで意識していたい。

  • TVで紹介され映画にもなったリンゴの無農薬栽培のお話か、と軽い気持ちで読んだことを反省。ここには挑戦にあけくれた壮絶な人生と、リンゴも人間も多様な生態系があってこその存在であるという、非常に重い投げかけがありました。

    無農薬栽培というと、「北の国から」でも取り上げられていたのを思い出しました。周囲の農家への影響や、経済的な面も含めて、無農薬ということを素人が安易に推奨すべきものではないでしょう。その上で木村さんの凄味を感じたのは、おそらく他の多くの農家も挑戦し挫折したであろう無農薬栽培に、なぜ彼は家族に極貧生活を強いてまで、あきらめずに長年こだわれたのかということ。あまりの貧乏さゆえに、自身はいったこともないキャバレーで働いた際に彼がみせた人間的な魅力と周囲を明るくする力。彼の人間力を示すこのエピソードにその理由が隠れているような気がします。

    あっぱれ!こういうリンゴを食べてみたくなりました。

  • 人がぶち壊したものを、再生させることが、
    いかに途方もないかを証明するお話というような気がした。

    りんご畑にりんごが実っている。
    別におかしくもなんともない風景を私たちは思い浮かべるけれど、
    それが、どれだけ人為的なものかを思い知らされた。

    私は農薬を使うことを全然否定出来ない。
    無農薬がいいことを知っていても、安いものを買うから。
    でも、無農薬がもっと広まるとしたら、私は無農薬の
    食品を買うのだと思う。

    毎年、親戚から箱いっぱいに届くりんごを見る目が、
    来年からがらりと変わるだろうと思う。

  • 弘前のリンゴ農家・木村秋則さんが、試行錯誤(なんて言葉では言い表せないが)しながらリンゴの無農薬栽培に成功するまでの道のりを記録した本。

    以前、木村さんご本人が書かれた『リンゴが教えてくれたこと』を読んで、この人の壮絶な人生にびっくりした。と同時に涙が出た。

    一生懸命になるってなんだろう。とか
    仕事するってなんだろう。とか
    自然の中で生きるってどういうことだろう。とか
    文明の力って全てがありがたいことなんだろうか。とか、
    それはそれはたくさんの気づきを与えてくれた本でした。

    木村さんのように、まっすぐに信じた道を突き進んで、後悔のないように人生生きていこうと思う。その芯の太さを見習いたい。

    伝記っていうか、苦労した人の記録というか、
    それはやっぱり読むべきやなあと思った。

  • 来年度から新規就農を考えている。

    農業を本気で行うことの大変さが、
    木村さんの心情を交えて、辛辣に伝わってくる。

    著者の執筆も読みやすく、心に刺さる一冊。

  • 木村さんのリンゴ食べてみたい。無農薬無堆肥の方法は言われれば納得。果たして今の食生活を続けていいのかと考えさせられる。

  • 無駄なことも無駄なものもない。雑草も虫も、全てに意味があるのだな。

  • 「沈黙の春」を読んでからだったので、まさに実践版だなと感じた。
    私はワインの仕事をしてたこともあり、マダムルロワを考えながら読んでいたが、最後に葡萄とテロワール関わるワイン作りの話が出てきて嬉しくなった〜。
    勤勉家の彼は、恐らくこういった色々な書物も読みあさり、無農薬のりんご作りが完成したのではなかろうか。

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