奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344416451

感想・レビュー・書評

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  • いろいろな意味で、賛否両論あるみたいだけど、とりあえず読んでみなくちゃ!ということで読んでみました。
    私は結構分かるなぁ、いいなぁと思いました。
    自然の中でバランスをとって育てるという方法に行き着くまで、貧乏しても夢中になれるところがすごい。
    また、最近は、ばい菌やウィルスをよせつけない、どこでも無菌がいいみたいになってるけど、人間も適度にばい菌やウィルスにさらされていたほうがいいんだよなぁって思った。

  • 目に見えないものを見る努力を忘れていた。これ、ずーんときた。

  • 観察力、探究心が素晴らしい。
    成功/失敗は結果論だけど、「自分を信じ続ける力」無くして辿りつくことは出来ないんだなぁと思う。

  • 本来、人間が管理した環境下でしか育つことができない「リンゴ」そのリンゴを無農薬で栽培に成功した人の話。
    苦労話に終始するのかとおもいきや、それだけではない。
    もちろんこの人は想像を絶するような苦労を経験してますし、本気で自殺しようというところまで追いつめられていました。
    それを乗り越えただけでも驚くべき話ですが、それ以上にこの本が示唆してくれること。そしてこの人の考え方、思考法がすごいなと思いました。
    まず百姓というから経験則がものを言い、あまり深く考えることはないのかなと思っていましたが。
    彼は時代が違えば技術者になっていたという人だったので、農業に関しても科学的な思考、現象に対する深い洞察と分析を行っている方で、どんな世界で生きているにせよ、そこでもなんでだろう?を考えるのは重要だと思わせられました。
    もうひとつはこの人の性格、考えに尊敬する点です。
    何があっても前向き(極度に追い込まれた時はそうでなかったみたいですが)、変なプライドがない。なにより一つのことに熱中できる。どんなにうまくいかなくてもやめない。
    こういうところがすごいです。でもこのうまくいかなくてもやめないというのは貧困を伴った時の、難しさと苦しさは想像できません。それだけ言うは易し、行うは難しだと思わせられました。
    ただそれでもそんなものを見つけたいですね。
    あと文章中にあった人生相談の言葉で
    「絶望して自殺しようとおもったら、
    最後にバカになればいいんだよ。
    バカになるってのはやってみればわかるけど、そんなに簡単なことではないけど。
    死ぬくらいならその前にバカになって一つのことに狂えばいいんだ。
    一つのことに狂い切れば必ず答えは見えてくる」

    この人の強さは何に支えられていたんだろう

  • 感銘を受ける本だった。
    ほんの少しの思いつきから始めた無農薬という取り組みから、どんどん家族や近隣農家を巻き込んでの大騒動を生む。あらゆる努力が空回り、むしろ悪化に向かっていくさまは読んでいて心が痛くなる。プライドがあるから近所ではバイトができない、研究材料の虫が家の中を飛び回る、など、どれも想像に難くないことだ。

    無農薬へのプロセスを通して、自然と分け合うこと、人間も自然のサイクルに組み込まれた1つの歯車であること、という学びを得るが、そこに至るまでの思考の過程が面白い。農薬の代わりになるものを探すことから、リンゴの木そのものを病気に強くするというパラダイムシフトに至る過程、土の持つ役割の大きさ、などなど。
    これは農家の話だけではなく組織や家族や人の話でも言えるのではないだろうか。多様な微生物や昆虫にあふれた環境はまさに多様な人間社会のようだ。そこで自種が全滅しないようエサを総取りしない工夫もあれば、多様な社会から生まれる力強さや複雑性の妙が存在する。

    この本の中にも繰り返し描かれていることだが、無農薬を無条件に礼賛し、農薬の使用を禁忌とするものではない。あくまで個人が自分の想いを遂げるプロセスが描かれているのだ。

    人間も自然のサイクルの一部である、という言葉言葉の意味することはこの本を読めば実によくわかるだろう。

  • 映画の方の感想。レビュー欄がまだないので。

    元々りんご農家の息子として生まれた秋則は小さい頃から研究熱心。普通なら遊ぶためのおもちゃをすぐに分解して研究熱心してしまう。そんな秋則は高度経済成長を担う日本の機械メーカーへと就職。ただふとしたお見合いから青森へりんご農家の婿養子として戻ってくることに。彼はりんごと向き合うことになるのだが、ふと妻の美栄子に影響を及ぼす農薬に疑問を抱き、無農薬栽培への挑戦を決意するのだが。。。

    多分、ちょっとしたフィクションのいい話だったら感動しない。そんなもの作者の考え次第で、良い結末なんて描けるからだ。

    「実話を基にしている。」

    この一言で物語の浸透度が全然違ってくる。なんであんな苦労して、それはその日の食べ物にも困るぐらいで、子供がりんごすら食べたことないぐらいで、いつその暗闇から抜け出せるかわかんないのに、どうして続けれたの?って思っちゃう。

    ある意味ほんとにバカだと思う。美栄子のためといいながら、美栄子だけじゃなく子供たちにも苦労させちゃったんだから。

    でもすごいよね。お父さんも奥さんも含めて。勿論木村さんの人柄があってこそなんだろうけど、それでもそれを応援し続けること、また彼が諦めない力っていうのは圧倒的な感じがした。

    いい映画。こういう人がいれば日本の農業はもっともっと変わっていく。そしてそういうのを受け入れられる世の中であってほしい。

  • このままでは本当に人間は寄生するものを失い、全滅してしまうのではないだろうか。そんなことを感じた。余りにも本来の生物としての営みから外れてしまった人間はこの先どのようになってしまうのだろう。農業だけの問題ではない。

  • たったひとつだけ、夢中になれることがあればいい。
    そういう人が世界を変えるんだって、ダイノジのオールナイトニッポンでも言ってたな。
    最近、そういうことばかり、メッセージみたいにどんどんわたしに届いてくる。
    好きとか嫌いとか関係ない、そんなものとっくの昔に通り過ぎたような、気の遠くなるくらいのけわしい道のり。楽しいも苦しいもないくらい。ただただ「夢中」になれること。
    この本もわたしにそんなメッセージを届けてくれました。

    たぶん何でもいいんだな。好きでなくても、なんでも。
    世界に疑問をもってみる目。
    あたりまえのことになんで?って思える心。
    みんながあっちだっていっても、自分を信じてこっちにいこうとする体。
    そこは正しいも間違いも、良いも悪いもない、ただ純度が高い世界。

    いろんなことが詰まっている本で、味わいたかったから、ゆっくりちょっとずつしか読めなかった。もうやめようって思ったときに、また、読みたい。

  • ノンフィクション小説
    決して短くない、終わりの見えない挑戦。根拠のない自信。諦めることの恐怖。そして根拠のない自信が確信に変わる瞬間。
    他人に狂ったとおもわれるくらい、馬鹿だと罵られるほど、勉強しなさい、と教えてくれた師匠がいる。
    それに通じるものがある。
    ひとつ突き詰めていけば、拓けるものがあるのだ。

  • 奇跡のリンゴ。
    置いておいても腐ることなく、枯れるように小さくしぼみ、甘い香りを放つ。
    絶対に不可能と言われた、農薬を使わないリンゴ栽培。
    そこに挑戦した木村さんのノンフィクション小説です。

    奇跡のリンゴの話は、何度か聞いたことがありました。
    実際に読んでみて、その壮絶な戦いと辿りついた境地に思わず涙が出ました。なんて、孤高な挑戦なんだろう。
    自然を切り離して考えることができないように、人も人に生かされてる。
    当たり前に思えるけど、心からそう思える境地に辿り着ける人はそういないんじゃないでしょうか。

    表紙の木村さんの写真にも心が洗われます。
    これは一種の哲学本でもあるんじゃないかと思います。

    知識や経験から解き放たれて初めてたどり着く境地。
    ひとつのことに夢中になってバカになれ。木村さんからのメッセージだとすっと心に入ってきますね。プロとはこういう人のことをいうんだ、と心を動かされました。
    奇跡の詰まった一冊。

    また読み返したい。

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