カキフライが無いなら来なかった (幻冬舎文庫)

  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344420939

感想・レビュー・書評

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  • ひとつひとつの言葉に壮大なバックボーンみたいなものは無い。のだけれど、ひとつひとつの言葉に「あ、わかる」みたいな謎の共感性は詰まっている。
    面白いと思ってしまうのに、何故面白いのかが最後までわからない本だったな……。

    『オハヨウが言えなかったサヨナラは言おう』が個人的にエモさ、というか……それ以上もそれ以下の終着点も無かったけれど、何故か大切なものを取りこぼして今日まで生きてきてしまったような、妙なうら寂しさを感じた。
    あと「まだ何かに選ばれることを期待している」という句は正直めちゃめちゃ心にくる。

  • きっかけはかが屋の加賀くんが自由律俳句をラジオ内で読んでいたこと、またWebで放送作家の人とエロ自由律俳句というとんでもなくお洒落な句を紹介していたこと。
    五七五でもなく、季語もない。とても斬新であり惹かれた。それと同時に、小学校の国語の教科書の俳句のページの1番左にも、中学校の教科書の1番左にも、尾崎放哉の「咳をしても一人」という句が必ず掲載されていて、小学生ながら違和感と新鮮さと興味を持ったのを思い出した。
    この本にはたくさんの魅力が詰まっている。好きな表現には付箋を貼って、また読み返せるようにしている。今はまだ分からないところも、いつかまた分かるかもしれない。そう思うとこれから経験することも悪く思えなくなる。
    思わず自分でも句を読んでみたくなる。日頃の何気ない日常も、少し見方が変わる。ある意味価値観を変えてくれる、素敵な本に出会えてよかった。

  • この本を知ったきっかけは、クイックジャパンWEBで加賀屋がエロ自由律俳句について語り合う記事だった。
    今まで俳句に興味はなかった。
    この記事の中で、加賀屋の加賀さんが自由律俳句を知ったきっかけとして本書籍を紹介していたので早速読んでみた。

    記事を読むと、自由律俳句は大喜利ととても良く似ていることに気づいた。短い分で、読み手に多くのことを想像させる。これが自由律俳句の面白さの一つだと知った。
    きっと芸人さんが関わっていなければ、大喜利と結びつけて共通性を見出すことは無かったし、そもそも記事を読んでいなかったかもしれない。

    又吉さんの自由律俳句はすごく刺激的で面白い。
    なんでこんなことを読んだのだろう。そんな風に思ってしまったのだろう。いったい何があったのか・・・
    すべての俳句に、言葉の裏側を想像させる仕掛けが仕込まれていた。

    すごく短い文章なのに、自分に重ねて、情景を想像する。時には、道端で傍観する野次馬の一人になる。
    どの句を読んでも情景を鮮明に想像してしまうから悔しい。すごく面白い。

    申し訳ないが、せきしろさんの句には面白さを感じなかった。しかし、だからこそ又吉さんの句に秘められた面白さとは何なのかを考える事ができた。

    又吉さんの句には感情が乗っている。傲慢さとか、希望とか、失望とか、時には言葉にならないくらい小さい、けれど僕らが普段感じているくだらない感情がうまい具合に混ぜ込んである。

    だから僕らは想像してしまう。僕たちの記憶にある情景に乗せてしまう。一行なのにいろんなことを想像できてしまう。

    自由律俳句。すごく面白い。



    まだ眠れる可能性を探している朝

    そもそも砂利をしくという発送が失敗だったんじゃないか

    山では素直に挨拶出来る

    御食事処しかない

    まだ何かに選ばれることを期待している

  • 自由律俳句集第1作。

    ・好きなせきしろさんの句
    キャベツみたいな観葉植物で通じた
    どれも全巻ないあなたの家で

    ・好きな又吉さんの句
    ボウリングで腕をまくるタイミング

  • 自分の中で妄想や逡巡していたようなことと同じようなことを他の人もしていたのだという発見。言語化することが難しいこのペーソスを表現してくれている。
    読んでワハハとはならないし、あるあるに終始してしまっている句もあり、面白くはあっても感動には至らない。しかし、この短い文字数でよくぞというような、ストーリーとその続きへの期待感と想像を読者に喚起させる句があり、驚かされる。これはまさしく、自由律俳句であり、今までなかった体験である。

  • 少ない言葉の中に沢山の情景が詰まっています。読む度に世界が広がります。どのような場面を想像するか多種多様です。色んな人と共有してみたいと思った本でした。

  • 自由律俳句、おもしろい。
    自由律俳句もエッセイも、考え方が自分と似ていたり似ていなくても理解のできる人でないと、なかなか読む気にならないというか読んでいてもつまらないと思うけど、これはほんとにおもしろい。
    仲間になりたい。

  • シュールで人間味があって、思わず笑ってしまう詩とか、短い文なのに鮮明に情景が浮かんでくる詩とか、とにかく面白かった。

  • 自由律俳句なるほど面白いです。自由な1行文からその句の後ろにある情景や気分、誰かとの関係を妄想してみたりしてとても楽しめました。従来俳句というものはそういったものなのでしょうが、私にはわかりづらくそこまでには及ばなかったものを、又吉×せきしろは簡単に近づけてくれた感じです。時に笑えたり共感したり。つい自分でも自由律俳句をよんでみたくなる楽しい本です。間に挟まれた白黒写真と散文もよかった。

  • 自由律俳句というものを初めて知った。なるほどこういうジャンルもあるのか…。
    全体的に陰気臭いのだが、「あるある」と頷いてしまうものから、くすりと笑ってしまうものまである。

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著者プロフィール

作家、俳人。1970年、北海道生まれ。A型。北海道北見北斗高校卒。主な著書に『去年ルノアールで』『海辺の週刊大衆』『1990年、何もないと思っていた私にハガキがあった』『たとえる技術』『その落とし物は誰かの形見かもしれない』など。また、又吉直樹との共著に『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』『蕎麦湯が来ない』などがある。

「2022年 『放哉の本を読まずに孤独』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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