職業としてのAV女優 (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
3.37
  • (32)
  • (112)
  • (151)
  • (29)
  • (11)
本棚登録 : 991
感想 : 157
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344982642

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2024.2.14読了
    知らない世界のことが知れて興味深かった

  • 思っていたより壮絶な世界でした。昔は精神疾患のある人が、ついていた職業ということも初めて知った。
    今や有名になるための一つの手段として存在していたり、単体で輝くための職業になってる(単体、企画単体、企画の違いもつけられていて企画だと名前が出ず一生有名になれない...)
    倍率は上がる一方なのに報酬は下がっている現状。
    最初はパーツモデル、として業界に入る、、などなだ

    また、昔はAV女優として雇われる場所があった精神疾患のある女性の末路が、気になった。

  • 女優をよく書くために、一般の女性を何も考えてない一般の女子大生等と表現しなくてもよいのでは。よく業界を知ってるし、よく調べてると思うけど、女性に対して上から目線を感じてしまった。彼の他の本からは感じなかったけど。知らなかったことを知れた本。

  • 職業としてのAV女優

    中村淳彦著
    幻冬舎新書
    2012年5月20日発行

    先日、慶應大と東大院(修士)で社会学を専攻した鈴木涼美という、元AV女優で元日経新聞記者が書いた、「『AV女優』の社会学」を読んだ時、参考文献の一つにあげられていたのがこの本。著者は、長年、AV女優や風俗嬢、素人売春女性の取材を続けていて、この本はAV女優という職業についての詳細を整理して紹介している。「『AV女優』の社会学」で消化不良だったそうした部分について、これでだいぶ理解できた。

    ・どんな女優がAV女優になるか?
    ・どうやってなるのか?
    ・労働条件は?
    ・90年代から劇的に変わった労働環境
    ・労使トラブルの実例
    ・AV女優を辞めてからの生活は?
    について、読んでいくと意外なことを含めて知っていくことができる。知ってどうする?という疑問もわくが、著者は、この業界を目指している女性や娘を持つ親に読んでもらいたいと書いている。

    AV業界のことを全く知らないと言っていい状態で読んだが、最初から、へーえ、と驚いた。本のプロローグのところに、まず、

    1990年代と2000年代後半以降のAV女優では、まったく人種が異なっているといっていいくらいに違う。その背景にはITの浸透や社会倫理の弱体化、貧困層の登場やAV業界内の激しい競争が潜んでいる。女性たちの裸仕事に対する意識も変わり、かつては「たくさん稼いで、早く足を洗いたい」だったものが、いつの間にか「できるだけ長く続けたい」というものが一般的になっている。

    と書いてあった。なんだか、現代を象徴するような、まるで就職活動中の学生みたいな実体があるのだなあと驚いた。そして、読み進んでいくと、さらに今っぽい状況にぶち当たる。AV女優になった動機として多いのが「貧困」。しかも、昔のような大金を返すためでなく、少ない金額でもまじめに返すために、あるいは、毎月の生活費不足を補填したくて入るケースが多い。社会性の強いタイプが最近は圧倒的に増えているとのこと。


    1990年代までAV女優という職業は、社会の底辺の一つとして認知されていて、女性の最後の手段を売るセーフティネットであったそうだ。(15)しかし、今では、売れるものを持ち自分の力で稼いでいるAV女優は、貧困層というさらに下の層が形成されたことによって、だんだんと批判を浴びる職業ではなくなったとのこと。

    著者はそうした背景に、小泉首相時代の「聖域なき構造改革」を境にリストラの嵐が吹き荒れて雇用が減少し、年功序列が崩壊、地方経済が弱体化して貧困層が誕生した。未来が見えなくなってだんだんと倫理や貞操を重んじる社会状況ではなくなっていった、ことがあると分析している。


    受け手側のモデルプロダクションとしても、AV女優募集に際して工夫をしており、例えば、「女の子生活サポート支援システム」なる援助があり、学校の入学金や引っ越し代、クレジットカードの支払いや借金返済など、今すぐ必要なお金を負担すると謳っているとこもある。また、多くが「一日だけ可能」「一日体験コース」など、一度の仕事で辞めてもOKと謳い、裸仕事をまったく知らない女性の不安を少しでも解消しようとしている。


    今、AV業界は不況。それに対し、女優希望者は増えている。今や志望者の14パーセントしか採用されない狭き門となっている。

    しかも、DVD、ブルーレイと容量が増え、安い料金で借りるレンタルから、数千円のセルビデオが主体となって客もレベルの高さを求めるため、労働条件はしんどくなるばかり。ギャラも以前よりかなり下がっているとのこと。

    私は以前、20年ぐらい前だったと思うけど、元AV女優をしていたというタレント志望の女性としばらく仕事で関わった。私はAVのことは疎くて彼女のことは全くしらなかったが、彼女の話によると、一番稼いだ年は億まで行った、とのことだった。今、1億円稼ぐAV女優は、この本を読む限りありえないような印象だった。


    他に、AV業界は噂されるような裏社会との直接の繋がりはないこと、レンタルビデオメーカーは基本的に「日本ビデオ倫理協会」(ビデ倫)に加盟をして、その審査に通過した作品だけが流通されるが、ビデ倫には天下りの警察関係者がいて、審査を通過すれば「表ビデオ」となる。しかし、2007年、ビデ倫に数ヶ月間だけ警察の天下りがいなかった時期があったが、その時、「ビデ倫」やメーカー、ヨドバシカメラなどに業界を震撼させるような大がかりな手入れ、逮捕劇があった、などという興味深い利権構造なども読み取れた。この時は、他の倫理団体に天下っている警察OB同士が揉めたためらしい。


    お金でセックスをさせるという意味では、管理売春となる。モデルプロダクションは厚生労働省に無許可でしているので労働者派遣法違反にも問われるし、現場では強要や強制わいせつという行為も行われている。それなのになぜ普段は手入れを受けないか、疑問はつきないが上記のような話を聞けば納得できる。


    また、現役AV女優、とくに名が売れているAVアイドルには、政財界や外国の要人、富裕層から「抱きたい」という依頼がモデルプロダクションによくあるとのこと。それで大金を手にする女優もいるようだ。

  • AV女優のことを書いているのではなく、AV業界の変遷が書かれている。

    買い手市場になっているので、昔よりも出る人の質が上がり、単価も下がっている。
    だから、この業界が困った時のセーフティーネットとは言えなくなっていると著者は言っているが、
    これらをセーフティーネットと呼ぶのはどうかと思うがね。
    https://seisenudoku.seesaa.net/article/472425968.html

  • 本の感想(オフィス樋口Booksより転載、http://www.books-officehiguchi.com/?p=23006

    AV女優といえば、借金返済や不遇な家庭環境で育ったことなど負の側面の印象を受ける。ほとんどの人は不遇な環境で育った容姿端麗でスタイルの良い女性がAV女優になるという印象を受けている可能性が高い。

    実際、この本を読んでみると状況が変わっていると感じるだろう。

    借金返済のためにAV女優になる事例は依然としてあるが、公務員・看護師・高学歴の女子大生・OLなど生活に困っているわけではない人がAV女優になる事例が多く見られる。

    副業として注目されるようになったのかもしれないが、恥ずかしさ・後ろめたさがなくなっていることや年齢不問であることから応募しやすくなっていると思われる。この本によれば、AV女優に応募する人は毎年6000人ということだ。

    ただし、SM撮影などでAV女優が重傷に至っているトラブルが起こっているので注意したい。興味がある人はAV女優に応募する前に読んでほしいと思う。

    内容(「BOOK」データベースより)
    業界の低迷で、100万円も珍しくなかった最盛期の日当は、現在は3万円以下というケースもあるAV女優の仕事。それでも自ら志願する女性は増える一方だ。かつては、「早く足を洗いたい」女性が大半だったが、現在は「長く続けたい」とみな願っている。収入よりも、誰かに必要とされ、褒められることが生きがいになっているからだ。カラダを売る仕事は、なぜ普通の女性が選択する普通の仕事になったのか?長年、女優へのインタビューを続ける著者が収入、労働環境、意識の変化をレポート。求人誌に載らない職業案内。

    著者について
    1972年東京都生まれ。専修大学経済学部卒業後、フリーライターとなる。企画AV女優たちの衝撃的な生と性を記録した「名前のない女たち」シリーズは代表作となり、映画化もされる。現在は、株式会社曙福祉プランニングを設立し、高齢者デイサービスセンターを運営しながら、ノンフィクション、ルポルタージュを執筆。著書に『 名前のない女たち 企画AV女優20人の人生』『アタシは生きる!! AV女優22人の人生』『売春未満 新・名前のない女たち 素人女性編』(以上、宝島社)、『暴走族、わが凶状半生』(コアマガジン)などがある。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    中村/淳彦
    1972年東京都生まれ。専修大学経済学部卒業後、フリーライターとなる。企画AV女優たちの衝撃的な生と性を記録した「名前のない女たち」シリーズは代表作となり、映画化もされる。現在は、株式会社曙福祉プランニングを設立し、高齢者デイサービスセンターを運営しながら、ノンフィクション、ルポルタージュを執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 中々に壮絶

  • 案外真面目な本

  • 読後感はよくありません。
    結論は、AV女優は止めといたほうがよいということ。

    AV の変遷、業界の仕組み、女優のヒエラルキーがあることは勉強になりました。
    著者は衰退産業と言ってますが、完全になくなる事はないでしょう。

    AV 女優から一般社会に戻れる人は、女優は時間が経つと価値がさがり、自分の価値を客観的にみることができる人だけ。大多数は裸の世界から抜けれない。

    ただ、本書によると、現在買い手市場によりAV女優の門戸が狭くなった事で、昔はAV女優くらいしか働き口がなかった精神疾患者はいなくなったそうだが、彼女らは何処へ行ってしまったのか、書かれてないので気になった。

  • 女性の貧困について調べていくと、行き着く性産業。
    たしかFBで流れてきたもの。

    AVだけじゃなく、他の性産業の実情についても網羅している。
    この不況では、性産業も全然稼げる仕事じゃないんだなぁ。という内容だった。
    体を売っても、私の手取りくらいしか稼げないらしい。
    しかも、若い女性が飽和状態。
    地方から中心部に出て行った大学生などが、仕送りだけでは足りず、バイトではまかないきれず、生活費を稼ぐために足を踏み入れるらしい。
    なので、若くてちょっとかわいいくらいでは、全然稼げない。
    高齢化が進んでいるので、若ければいいっていうわけでもないらしく。

    昔は、ヤクザとかと繋がっていて、危ない状況もあったけど、摘発されたり訴えられたりしないようにある程度クリーンな状況ではあるらしい。
    あとは、海外に拠点を移していたりとか。

    とりあえず、実情をなんとなく知っていると、安易な考えでいる生徒にはちょっと話しやすいよね。

    札幌市の図書館で借りた本。

全157件中 61 - 70件を表示

著者プロフィール

1972年生まれ。ノンフィクションライター。AV女優や風俗、介護などの現場をフィールドワークとして取材・執筆を続ける。貧困化する日本の現実を可視化するために、さまざまな過酷な現場の話にひたすら耳を傾け続けている。『東京貧困女子。』(東洋経済新報社)はニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞ノミネートされた。著書に『新型コロナと貧困女子』(宝島新書)、『日本の貧困女子』(SB新書)、『職業としてのAV女優』『ルポ中年童貞』(幻冬舎新書)など多数がある。また『名前のない女たち』シリーズは劇場映画化もされている。

「2020年 『日本が壊れる前に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中村淳彦の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×