死ぬほど読書 (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344984622

感想・レビュー・書評

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  • 読書は、“空気を当たり前に吸うのと変わりないもの”という認識をお持ちの著者にとって、男子大学生の「読書をしないといけないものなのか?」との新聞の投書に驚いたそうだ。
    私自身は日々の生活のうえで、“うまく空気を吸えない”(読書時間が小間切れになり積ん読で混乱モヤモヤ)が、悩み。

    結構、読書に対して大胆に割り切った考え方をされているのだなぁとの印象。
    本との関係を子供の頃から難しく考えていたので楽になった。
    あぁそれでいいんだなーと。

    『理解できない本は著者にも問題がある』や、『自分が関心あっても縁のない本もある』と、キッパリ言い切っていて途中リタイアが罪に感じていたことがスッキリ解消できそう。

  • 各書店で軒並み新書のベストセラー。

    図書館では入荷と同時に数十人待ち。

    著者が本書を書かせる原動力となったのは、新聞に掲載された大学生の投書だ。

    「読書はしないといけないの?」

    著者は、もしこの学生本人に直接問われたら「読む、読まないは君の自由なんだから、本なんて読まなくてもいいよ」と答えるという。


    だがそこから、読書の楽しみについて縦横無尽に語っていく。

    考える力。想像する力。感じる力。無尽蔵の知識や知恵。生き抜く力を培ってくれるのが読書。


    「自分は何も知らない」と自覚することが、人間にとって一番大事だという。

    本を読めば読むほど、「無知の知」を知り、人は謙虚になっていくという。何でも学ぼう、違う考え方を認められる。


    教養の条件は、「自分が知らないことを知っている」ことと、「相手の立場に立ってものごとが考えられる」こと。それには、仕事と読書と人だ。

    こうした読書の経験が、すこしずつ自分の中に蓄積されて、自然と人格を輝かせていくのだろう。


    本物の教養人は偉ぶらない。

    休日、ご自宅に訪問してじっくりお話を伺ったような爽快感。

  •  なぜ読書が必要か?

     著者は、素晴らしいことを述べている。
    僕は、娯楽物を別として、難しかったり、固かったりして何故この本を読まなければならなないか自問自答する時がしばしばあるが、そのようなときにこの言葉を思い出そうと思う。

    「人は自由と言う価値観を求めて、長い間、戦ってきました。努力し、工夫し、発明して進歩してきた果てに、今の自由な世界はあります。

    それは人類史上かつてないほど自由度の高い環境と言っていいかもしれません。

     しかし、「なんでもあり」の世界は一見自由なようですが、自分の軸がなければ実はとても不自由です。それは前へ進むための羅針盤や地図がないものと同じだからです。
    それらがなければ限られた狭い中でしか動けません。

    では、自分の軸を持つにはどうすればいいのか?

    それには本当の自由を鍛えるしかありません。読書はそんな力を、この上もなくなくもたらしてくれるはずです。

    すなわち読書はあなたをまがい物ではない、真に自由な世界へと導いてくれるものなのです。」

    というものだ。

    以下、僕にとって良かったと思われることを具体的に書き止めておく。

    1ネットと本の関係については

    「ネット社会の隆盛が本の市場に与えた影響は少なくありません。本がかつてほど売れなくなったのは、明らかにネットの普及にあります。
    しかし、私はこの流れがそのまま続くとは思いません。再び本が見直される時代が来ると見ているのです。そのキーワードは「信頼性」です。

    コンピューターはビッグデータ等情報を整理するスピードに関しては非常に優れていますが、その情報の真偽など質を見極め見極めることができません。

    一つひとつの情報が、どこの誰が責任を持って発しているかが見えないが故に、いい加減な情報で溢れかえってしまう。
    誰が発信しているのかは、とても重要なことです。

    その点、ネットと比べて、本は発信する人が誰なのかがはっきりとわかります。たとえ極端な意見であっても、読み手はこの人が責任を持って書いているんだなと安心して読み進められます。

    書き手の氏名がきちんと入っている事は、これからの時代、強みではないでしょうか。
    ネットはこれまでは光の部分ばかりにSpotlightが当てられてきましたが、信頼性の欠落と言う影の部分がこれからいろいろな問題を伴ってクローズアップされていくように思います。

    そのネットの影の部分を埋めるものとして、本は再びその価値が見直される。私はそう思っています。」


    2 人間にとって1番大事なことは

    「人間にとって一番大事なのは、「自分は何も知らない」と自覚することだと私は思います。
    「無知の知」を知る。読書はそのことを、身をもって教えてくれます。

    本を読めば知識が増え、この世界の事を幾分かしたような気になりますが、同時にまたまだ知らないこともたくさんあると言うことをそれとなく気づかせてくれます。

    人類が悠久の時間をかけて積み重ねてきた膨大な知識は、この世界についてのごく一部に過ぎないと言う事実です
    生物進化の果てになぜ人間が生まれ、言葉を持ち、文明を築いたのか?この大宇宙の中でなぜ地球だけが高度に発達した生命がいるのか?はたまた生命とはそもそも何なのか?世界は考えれば、まだまだわからないことだらけです。

    つまるところ、人間がこの世界についてわかっていることなど、1% もないのかもしれません。
    つまり、我々が知っている生きている世界は、ほとんど「知らないことを」でできている。そのことを考慮すれば、「知っている」と言うおごりは生まれようがない。
    「何も知らない」と言う前提があるから読書はできるんだし、いくら読書を重ねても、その前提が消える事は永遠にありません。

    「何も知らない」ことを知る。
    人が成長する上で、これほど大事な事は無いのです。」

    3 無駄な読書はあるのだろうか?という問いには

    「本を買う事は、宝くじを買うようなギャンブルではありません。買って読んでみたけど雑草だったと言うような無駄なお金をたくさん使うことで、「これは良い花を咲かせそうだ」とか「太いしっかりした木に育ちそうだ」といった見当がだんだんつくようになります。そして買った本の中で雑草だったと言うような割合が減ってくる。その意味では、読んでみたけど雑草だったと言う経験は必要なのです。」

    4読む本を選ぶにあたって人がすすめる本はあてになるか?については

    「立場によって、考え方や感じ方によって、これは良い本だとか必読すべき本だといった価値観は変わるものです。人がいくら良いといっても、関心のないものは一生懸命に読んでも頭に入らない。蒙を啓く内容だと言われても、基礎知識がなければ理解できない。
    また、自分の中でも、年齢とともに捉え方が変わることはいくらでもあります。
    「55年前と同じような感動と感激があったら、俺は阿呆だ」と思いました。もしそうならほとんど成長してないと言うことになるからです。」

    5 次は教養と知識についてであるが、何が教養を磨くのか?である

    「教養と言うと、大前提として知識の量が関係すると思われるのではないでしょうか。
    しかし私は知識と言うものは、その必要条件ではないと考えます。

    私が考える教養の条件は、「自分が知らないと言うことを知っている」ことと、「相手の立場に立って物事が考えられる」ことの2つです。」

    6 では、教養を磨くものは何か?

    「それは仕事と読書と人だと思います。この3つは相互につながっていて、どれか一つが独立してあると言うものではない。
    読書もせず仕事ばかりやっていても本当に良い仕事はできないであろうし、人と付き合わず、人を知らずして仕事がうまくできるわけではありません。

    仕事というのは、お金を報酬としてもらうものとは限りません。様々なボランティアもそうだし、困っている人々のために働いたり、身体を動かすこともそうです。仕事を通じて人は様々な経験を積み人間への理解を深めていくのです。仕事をせずに趣味だけに生きていても、人としての成長はないと思います。」

    7 さらに、著者は、テレビをほとんど見ないと思うが、世の中の動きや大衆がどのように考えているのか知るのにどのようなことをしているのかについて興味がある。それは、このようなことをして補っているそうだ。

    「今、私が雑誌で定期的に購読しているのは、経済誌の「週刊エコノミスト」と月刊誌の「文藝春秋」だけです。この2冊は隅から隅まで読むことにしています。

    「文藝春秋」は政治、経済、文化、芸術、科学、スポーツ、娯楽と多岐にわたる分野の読み物が収録されています。
    そこには人々の関心を呼んでいる話題が取り上げられていて、世間の興味がどのようなものに向かっているのか、一般の人たちが考えている傾向はどうなっているのか、といったことが把握できます。
    編集後期を含め、すべての記事に目を通すのは、興味ある記事だけ選んでいては、好きな分野の情報しか頭に入ってこないからです。
    ですから、普通ならまず読まないタレントが書いた記事でも、最後まで読み通します。
    この2冊は私にとっては読書ではなく政治、経済、社会、科学、文化にまつわる、様々な情報を知るためのツールのようなものです。」

    以上の外参考になる事が多々あるので興味のある方はぜひ本書を手に取ることを薦める。

  • 読書の本は今までも色々と読んで来たけれど、この本を読んで新しく知識として学べたことがたくさんあった。
    まず"古典に耳をすましてみる"と言う発想は面白かった。
    古典を読むときには、自分の心の声によく耳を済ましながら、今度から読んでみようと思った。

    また、芥川賞が小説の最高峰の賞ということを知った。
    自分の中で「考える読書」という事はやってきてはいたけれども、もっと奥深く考える癖をつけていきたいと思った。

    あと本でスポーツの技術を学ぶと考える思考も「ハッ!」としたのと、プロとアマチュアでは体の作りが違うと言うことも確かにその通りだ!と思い、とても勉強になった。
    だから今度何かの時に自分がスポーツの技術を学びたいと思った時は、アマチュア用の本を買って学ぼうと思った。
    心にも栄養が必要で、それは読書という事だった。
    本を心の栄養と考える考え方もとても素敵なことだと感じた。

  • 『死ぬほど読者』(丹羽宇一郎)
    偶然というのはあるのだなぁ。
    本日この本を読み終えてテレビを点けたら、この本の著者丹羽宇一郎さんがテレビに出ていたのだ。
    それも、普段ほとんど観たことがない、BSフジの『プライムニュース』なる番組でコメンテーターの1人として出ていた。その日のテーマが『電撃的な中朝会談』というテーマなので、元中国大使を務められていた丹羽宇一郎がその場にいるのは不自然ではないのだけれど、まぁこの北朝鮮の外交戦略といい、習近平の覇権の進め方といい、私がこの番組を観たことといい偶然が重なった、歴史的な瞬間だった。(笑い)
    その番組のなかで、丹羽宇一郎さんが発する言葉は、この本を読んで知った“人”が確かに語っているものだった。
    リアルな出会いのなかで知りあった人というのは、身体的な交わりを持ったとしても、なかなか“その人が発する言葉”がその人のホクロの位置や、笑顔のときの口角の上がり方のようにその人のモノだと思わせるように、その本人を特定できるモノとして一致させることは難しい。それは視覚優位な感受性のなかで生きているからだ。
    その点、言葉の選択や理論の展開の仕方、モノの見つめ方、などをひととおり知ることのできるその人が著した本を読むと、その人はもう既知の人になったのごとくだ。

    私は今回初めて丹羽さんの本を手にしたのだけれど、この本のタイトルが語るようにまさに『読者の人』だ。(実際、本屋の息子として生まれたから、その恵まれた環境に育てられたともいえる)

    読書を勧める理由はそれぞれにある。
    私も、人に会えば最近読んでよかった本を勧めた時期があったし、身近な人に読者の良さを伝えようとした時期もあった。
    でも、それは難しいことでもあり、私ごときがやるべき態度ではないなとも思うようになってきた。
    「道に迷って、困っていたら道案内をする」
    スタンスにすることに決めたのだ。

    でも、私自身は他人の読書がその人にどのような影響をる与えたのか、どのような本に感銘を受けたのか、は非常に興味がある。なので、本棚でそのての本を目にするとパラパラとめくってしまう。

    そして、共通の価値観をより強くし、気がつかなかった読者の価値を携えながら新たに本を読むことで、自分の読書の力は増していくように感じている。


  • タイトルに惹かれて読んでみたけれど、イメージと違った。読書についてとともに、著者の体験や生き方、考え方が書かれており、そちらの方で興味深かったな、仕事に対する考え方とか。問題があるのは生きている証、解決するそのひらめきの元が読書と経験。仕事と読書と人間関係(人間への理解)が生きていく限り大事とのこと。読書抜きでもそう思うけれど、たくさんの本を読むことでより力がつくと。最初の方の読書についての内容は、本をあんまり読まない方にはいいかもね。ただ、もっといろんな本に目を向けてみようかなという気になりました。そういえば、「タイトルで売れるかどうか決まってしまう」、編集者はタイトルが一番悩むとあり、ふーん、やはりそうか。内容とズレていたり、イメージと違うと思うこともあるが、この本もそうかなあ。読みやすかったけど。

  • 死ぬほど読書とあるが、読書術の本ではなく、人生において読書がどう関わり、影響するかを著者の経験から書かれている。文体も平易で読みやすい。
    読書があまり好きでない方は、読書っていいかも!と思えるし、読書の好きは人はあらためて今の自分の日々にどう関連し影響しているか見つめなおす機会だと感じた。

  • 本を読む事の大切さ楽しさを、ビジネスもちょいと絡めながら書かれた本。読書好きの方々にはおおいに同感、共感できる内容でないかなあ。それ程斬新、特別なことを言われたわけではないので、三つ星にしますが内容は違和感なしです。

  • これからも本を読み続けたいと改めて思わせてくれた。これから本を読む事を始めたいという人にもおすすめの一冊。

  • なんて魅力的なタイトルなんだろう♪
    毎朝本が読みたくて、わざわざ会社の沿線の始発駅に家を建てたほどの読書好きの著者。
    朝日新聞に掲載された、21歳大学生男子の
    『なぜ本を読まねばならないのか?』という問いに
    わかりやすく且つ深い考察力で答えを出しています。
    本を読むからと言って、偉いわけでもないし
    難しい本を読めばいいってもんでもない。
    だけど読書することで経験できる自由で何者にも邪魔されない時間の素晴らしさを、再確認させられました。

    新聞に投稿した大学生に、この本読んでほしいなぁ。。。無理か(笑)

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著者プロフィール

丹羽宇一郎(にわういちろう)
公益社団法人日本中国友好協会会長。一九三九年愛知県生まれ。元・中華人民共和国駐箚特命全権大使。名古屋大学法学部卒業後、伊藤忠商事(株)に入社。九八年に社長に就任すると、翌九九年には約四〇〇〇億円の不良資産を一括処理しながらも、二〇〇一年三月期決算で同社の史上最高益を計上し、世間を瞠目させた。〇四年会長就任。内閣府経済財政諮問会議議員、地方分権改革推進委員会委員長、日本郵政取締役、国際連合世界食糧計画(WFP)協会会長などを歴任ののち、一〇年に民間出身では初の駐中国大使に就任。現在、一般社団法人グローバルビジネス学会名誉会長、伊藤忠商事名誉理事。

「2023年 『仕事がなくなる!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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