東方見聞録 (現代教養文庫 656)

  • 社会思想社
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784390106566

感想・レビュー・書評

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  • (2015.12.24読了)(2003.07.21購入)(1997.01.05・第63刷)
    歴史上あまりにも有名な本でありながら、読んだことがないのでいつか読もうと思っていたのですが、なかなか手が出ませんでした。図書館で見つけた長澤訳の本が読みやすそうだったので、借りて読みました。
    「東方見聞録」マルコ・ポーロ述・長澤和俊訳、小学館、1996.01.20
    長澤訳の本を読んで終わりにするはずだったのですが、全訳ではなく、長澤さんによってかなり整理されて、重複している部分や伝聞による部分が割愛され、さらに長澤さんの現地調査の結果が追加されているので、原型とは別のものになっているのではないかと思われたので、手持ちの文庫本も読んでみることにしました。文庫本も全訳ではありませんが、原型により近いものと思われます。

    【目次】
    序説
    第一章 小アルメニアから上都開平府のフビライ・ハーンの宮廷にいたる
        旅行中に見聞した諸国のこと
    第二章 フビライ・ハーン、その宮廷と首都
    第三章 カタイの西部および西南部への旅
    第四章 カタイの南部とマンジへの旅
    第五章 日本、南海諸島、南インド、インド洋の沿岸及び諸島
    第六章 タタールの君主の間の戦争と北方諸国のこと
    解説

    ●バダフシャン(39頁)
    バダフシャンの住民はイスラム教徒で、固有の言葉をもっている。大きな王国で、王位は世襲である。王族はいずれもアレクサンダー大王とダリウスの娘との間の子孫で、すべての王はサラセン語でズルカルニアインと称しているが、これはアレクサンダー大王と同じ意味で、大王をしのんでこうよぶのである。
    ●ヤルカンド(45頁)
    ヤルカンドは五日行程だけつづく地方である。木綿を多く産する。イスラム教徒もいるが、ネストリウス派やヤコブ派のキリスト教徒もいる。いずれも工匠だが、大部分は足がはれている。飲料水によるものらしい。
    ●オンギラート族(79頁)
    タタール人の中にオンギラート族という、美人で有名な種族がある。毎年この種族から百人の美しい娘が大ハーンのもとに送られ、彼はその選択を宮廷の貴婦人たちにまかせる。貴婦人たちは娘たちといっしょに寝て、呼吸が臭くないか、いびきをかかないか、四肢が健全かどうかを調べる。すべて満点だと保証されたものは、順番に皇帝に侍ることになる。
    ●イスラム教(97頁)
    イスラム教の教えでは、教徒以外のものに対してはどんなことをしても、人を殺しても、罪にはならない。
    ●駅伝制度(101頁)
    駅の中間には五キロごとに約四十戸の小さな村が設けられ、そこに大ハーンの飛脚をつとめる人がすんでいる。飛脚は幅のひろい帯をしめ、これに鈴をさげるから、彼らが村から村へ五キロ走るときには鈴の音が遠くからきこえる。次の村につくと、すでに代わりのものが同じ仕度で駆け出す用意をしていて、もってきた書状を受け取り、駅舎の書記から一枚の紙をもらって走り出し、次の駅に行く。
    ●並樹(103頁)
    大ハーンは使節や人民の通る公道には二、三十メートルおきに大木をうえるように命じた。こうすれば、はるか先まで樹木が見え、道に迷わない。無人の地を行く道路にも並木があって、旅行者のよい慰めになる。
    ●十二支(106頁)
    タタール人は十二年を一期として年を計算する。この十二年には、第一年は、ライオン、第二年は牛、第三年は竜、第四年は犬、というように、それぞれ名がつけられている。
    ●チパング島(166頁)
    チパング島の支配者の豪華な宮殿について述べよう。ヨーロッパの教会堂の屋根が鉛でふかれているように、宮殿の屋根はすべて黄金でふかれており、その価格はとても評価できない。宮殿内の道路や部屋の床は、板石のように、四センチの厚さの純金の板を敷き詰めている。窓さえ黄金でできているのだから、この宮殿の豪華さは、全く想像の範囲を超えているのだ。

    ☆関連図書(既読)
    「東方見聞録」マルコ・ポーロ述・長澤和俊訳、小学館、1996.01.20
    「ジンギスカン」小林高四郎著、岩波新書、1960.02.17
    「小説 マルコポー口」陳舜臣著、文春文庫、1983.04.25
    「蒼き狼」井上靖著、新潮文庫、1954.06.
    「敦煌」井上靖著、新潮文庫、1965.06.30
    「蒙古襲来(上)」山田智彦著、角川文庫、1991.06.10
    「蒙古襲来(中)」山田智彦著、角川文庫、1991.07.10
    「蒙古襲来(下)」山田智彦著、角川文庫、1991.08.10
    「蒙古襲来(上)」網野善彦著、小学館ライブラリー、1992.06.20
    「蒙古襲来(下)」網野善彦著、小学館ライブラリー、1992.06.20
    「蒙古来たる(上)」海音寺潮五郎著、文春文庫、2000.09.01
    「蒙古来たる(下)」海音寺潮五郎著、文春文庫、2000.09.01
    「「蒙古襲来絵詞」を読む」大倉隆二著、海鳥社、2007.01.15
    「青嵐の譜」天野純希著、集英社、2009.08.10
    (2016年5月24日・記)
    (表紙から)
    日本を「チパング」の名でヨーロッパにはじめて紹介したのはマルコ・ポーロであった。極東についてほとんど何も知らなかった中世のヨーロッパ人にアジアのいろいろな知識を豊富に与え、アジアへの眼をひらかしめた。
    その旅行記『東方見聞録』は珍しい記録と奇想天外な話題に満ちあふれ、今なお読者を飽かせない。

  • 言わずと知れたベストセラー。日本を初めてヨーロッパに紹介した本とされているが、日本に関する記述はごくわずか。
    ポーロが旅したアジアは、タタール人すなわちモンゴル帝国により統治されていた世界。現在の中国やインドの諸都市について、商人としての視点から、産出物、社会制度、産業構造などを書いている。彼自身が見聞した内容と伝聞が区別されずに書かれているために、どこまでが本当で、どこからがホラ話なのがは区別がつかないが、12世紀のアジア各地が非常に栄えていたことはよくわかる。モンゴル人たちの馬ののり方や、遠くまで移動するときに馬の血を食料にする話は非常に面白かった。

    祖父が昭和55年2月29日が期限の通勤定期券をしおりがわりに読んでいたものを発掘して読んだ。

  • 8/14 読了。

  • おまけ扱いで記述された「チパング」。マルコ・ポーロがいなければ、日本の歴史が変わった点は間違いないでしょう。

  • 0125-10656-3033 263p 1986・4・30 初版46刷

  •  
    ── マルコ・ポーロ/青木 富太郎・訳《東方見聞録 19690430-19880110 教養文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4390106562
     |W072 “黄金の国”紹介
    ── 中沢 公平《マルコ・ポーロ旅行記 19510625 筑摩書房》中学生全集 44 #063-064
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/**********
     
     Polo, Marco     12540915 Venice 13240109 59 /東方見聞録
     da Pisa, Rustichello 12...... Pisa  13...... ? /作家
    ── 《東方見聞録 "Il Milione" or "La Description du Monde" 1298》
     
     1298年捕虜になったマルコ・ポーロと獄中で知り合った。
    …… マルコ・ポーロがアジア諸国で見聞した内容口述を、ルスティケロ
    ・ダ・ピサが採録編纂した旅行記である。マルコもルスティケロも
    イタリア人であるが、本書は古フランス語で採録された。
     
    …… 遺言状は、日付が1324年1月9日になっていた。規則により遺言状
    に触れる者は遺言者だけと決められていたため[18]、マルコの没日は9日
    ではないかとの疑問も生じたが、当時の1日は日没で日付が変わってい
    たため、現在で言う8日深夜であった可能性もある(Wikipedia)。
     
    …… 当時の地理学者は地球を少し小さく考えており、マルコ・ポーロ
    の距離記載には若干誇張があって、アジアの東端にあるジパングは、い
    まのカリフォルニアの沖合あたりにあると考えられた(長澤 和俊)。
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/B000J8IFIW
    ── 《世界をつくった人々の伝記・自叙伝の名著総解説 19780301 自由国民社》P258
     
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/19591126
     ガイジン ~ 滞日外国人名録 ~
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%C5%EC%CA%FD%B8%AB%CA%B9%CF%BF
     
    (20091203)(20160525)
     

  • 歴史に名高いあの東方見聞録。当時、これを書いたマルコポーロは嘘つき呼ばわりされたわけだが、実際に読んでみたら…当時の人々の意見は正しかったわけで。有名なジパングのくだりは非常に短い。その上実際は日本には来ていないと言うオチがあるのだが、その知識ありきで読んでもどうかと思った。ただの想像を、さもこの目で見た真実であるかの様に書いてあり、実際に観た事柄も冗長して書いてある。さらっとしか読んでないけど、なんでこんなチラシの裏に書くような事を読まされにゃならんのかと思った。なんで歴史に残っているほど有名なのか分からん。

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著者プロフィール

ヴェニスの商人で旅行家。宝石商だった父親に従い1271年東方に旅立ち、小アジア・中近東・パミール高原を経て1275年に北京に到着。フビライ・ハーンに徴用され官吏として使え、1295年に帰還。

「2022年 『東方見聞録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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