- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396336271
感想・レビュー・書評
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落語にどんどんはまっていく主人公に共感できる。
落語を聞いて見たいと思った詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
落語は人生そのものなんだよ、とは亡き立川談志が良く言っていた。人生で遭遇する災難も悲しみも喜びも、「あぁ、落語で言ったらあの話ね」ってみんなわかるんだよ、って。
本作品の主人公江利も落語教室に通いはじめて自分の人生で起きる事が落語で語られているそのものだと感じ始める。
そして落語を演じる事によって自分自身と身の回りの事を俯瞰してみる事が出来るようになる。
著者は私と同じ昭和28年生まれ。後書きで触れているようにその頃は寄席番組もテレビでたくさん流れていて私達は生活の中で普通に落語と落語の語る世界が身に付いていたように思う。
生の寄席に通う事は出来なかったが、古今亭志ん朝や談志、さらには円生、文楽、古今亭志ん生と同じ時代に生きていたという事はとても貴重な世代。
私達は落語の世界で言えば与太郎なのだ。
賢い隠居さんもいれば、力のある熊さんや、熱血漢の棟梁がいる。
何も出来ないと悩んでいても、与太郎の素直な気持ちを持ってさえいればそういった周囲の人達が力を貸してくれる。
失敗しても、悩んでも、悲しんでも、あんたはそれで良いんだよと励ましてくれる。
彼らの中に素直に飛び込んでさえ行けば。 -
落語を中心にした小説なんだけど、そっちよりも友美にばかり目がいってしまった。
正直、物語半ばの彼女は苦手で何度も読むのを止めようかと思った。自身の恋愛の八つ当たりほど、怒りを向けられた方はたまった物じゃない。
とはいえ主人公の江利の言葉や行動もも自分本位に感じられやはり苦手だたたけれど、これは最後まで読む価値はあった。
落語なんて笑点くらいしか知らないからよけいに落語のおもしろさを、私みたいに縁のない人間に教えてくれる。 -
最高に面白かった。久しぶりに全く知らない作家を買っての当たりだった。落語は元々少しは聞いてたけど、この小説を読んで一気に落語に引き込まれた。落語と人生観をここまで絡ませることができるのだろうか。みんなに勧めたい一冊。
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落語というと今まで理解できないように思い込んでいたけど、ずいぶんと読みやすくて、わかりやすかった。気に食わん、から始まって、ああでも、と良い面を見つけて終わる構成がしっくりきた。
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タイトルが目に入って、落語の話とあらすじに書いてあって、気が付いたらレジでお会計してたんダ。
で、読んでるうちにドンドン吸い込まれてく。落語、生で見たくなってきてます(笑)!!
落語を通じて今の自分の生活力を見直したとき、周りとの接し方や新しい自分の発見が。 -
落語を、じっくり聞き直してみたい気になった。
同じ噺でも、演者によりまるで違う面が見える…。 -
現実味あふれる一冊
落語を通じてキャラクター達が成長していく過程が良く出来ていて、具体的な行動ではなく、気の持ち方や見方で世界は変わると自分の中で解決するところが現実とリンクする。
しかし、作中に何種も出てくる落語話に比べて表現がイマイチ。
動きが少ないので、主人公の気持ちに共感出来ないと読み進めるのが辛い。
最初から最後までの話がパズルのように繋がってスッキリさせるのでは無く、あえて中途半端に終わらして現実の人生に似せるところに、作品の一貫性を感じた。
好みの別れる話だが、一冊の本としては良くできていた。