六花落々 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396343613

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  • 古河藩郡奉行配下で物書見習いの小松尚七は「何故なに尚七」と異名を持つほど、好奇心の強い青年であった。
    ある日、声をかけられた相手は「土井の鷹見か鷹見の土井か」と言われる程の逸材・鷹見忠常であった。
    藩主の若君の御学問相手となるよう請われる。

    雪の結晶に魅入られた主従は、大黒屋光太夫・シーボルト・間宮林蔵・渡辺崋山・大塩平八郎などとの関わりを持ち、やがて、時代は、幕末へと向かっていく。

    尚七を見出し「お前はそのままでよい」と側に置いた、忠常や藩主・利位は、余程人を見る目があったのだろう。

  • 武士の話だったけど、重々しい語り部に武家社会の様を堂々と書いてあった。善人長屋とは違う語り部に、どんな風にでも出来るのだなあと、ファンタジーでもよく出来てるし、もう全て読み切れて満足しかない。直木賞だけじゃない既にたくさんの賞がある。底が見えない、まだまだ楽しい作品に出会えるのだろう自分

  • 江戸時代を舞台に、知ることへの欲求に生きる男の物語。
    「何故なに尚七」というニックネームをもつ彼がこの時代にヨーロッパから持ち込まれる先端知識に対して興奮する様子が純粋で良い。
    後半は政治的にきな臭い部分が多くなってきて、この時代には仕方がないこととはいえ、もともとのトーンで終わっても良かったかも。

  • 202107/とても美しいタイトル。面白かったけど、シーボルトや大塩平八郎のあたりできつい展開になって史実的に仕方ないとはいえ、読後感がちょっと…。

  • ゆっくり、どこかほのぼのとした前半から一転、シーボルトがやってくると一気にキナ臭くなってくる。
    凶作を発端に、忠常に対する尚七の思いが変わりはじめ、暗雲がたれこめる・・・ようやく出来上がった雪華の書物が評判を得たこととの落差もあり、理想と現実の差、外国との差、といったことにイメージが繋がっていく。雪華の記録が冬の厳しさを表し、それが凶作と関わることの非情さと、政治の非情な面も絡まり合う。

    主君にも重臣にも苦労があり、ヒラの尚七がそれを受け止めているのは特殊な環境にも思えるが、忠常が後々言うように「国許の民百姓に、もっとも近いところにいた」からこそ側においていたのだと知ると、忠常にも情がわいてくるな。と、いうか、歴史的には忠常が主人公なんだな。

    シーボルト事件で思い出す読了本は「先生のお庭番」(朝井まかて)。

  • 実在した人物で構成され、シーボルトや大塩平八郎など有名人も登場。読みやすくて面白かった。

  • 普通に時代小説として読めばいいのだけれど。入れ込んでいる分をうまく差し引けない。

  • 第一話 六花邂逅 第二話 おらんだ正月
    第三話 だるま大黒 第四話 はぐれかすがい
    第五話 びいどろの青 第六話 雪の華 最終話 白炎

    藩主と重臣と共に雪の様々な結晶を記録していく尚七。時は幕末、否応なく世界へ開かれていく日本にも育っている学ぶ心は、身分や役職に縛られて純粋に楽しめるものではないかもしれない。それでも彼はそれぞれの時とそれぞれの立ち位置をそれなりに楽しんでいる気がする。おごるでもなく恨むでもなく飄々と。

  • 古河藩の下級武士、小松尚七は雪の形をどうしても確かめたかった。その学問への情熱を買われて、藩主の若君の御学問相手に抜擢される
    様々な蘭学者、シーボルトや間宮林蔵などと交流して、学識を深め、雪華図説を記す

    維新前の江戸、ただひたすら学問に打ち込んだ尚七が残した書物が今も人の心を動かすことにも感動した

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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