家康、江戸を建てる

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 203
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396634865

感想・レビュー・書評

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  • タイトル:家康、江戸を建てる
    作者:門井慶喜
    出版社名:祥伝社
    読了日:2022年11月6日
    所感
    利根川東遷、慶長小判、神田上水、江戸城石垣と天守。今日の東京のライフラインの礎を築いた技術者たちの苦労と思いが伝わってきて非常に面白かった。武士をはじめとした歴史の有名人の物語は国取りや合戦や政治的駆け引きなどで、それはそれで面白いがこのような生活に直結した偉人たちをもっと取り上げて広く知ってほしいと思ったし、自分でもっと調べていきたいと思った。

  • 江戸幕府初期のインフラ公共事業と技術者の話。めちゃくちゃ面白かった。

  • 2021年7月16日
    鳴かぬなら鳴くまで待とうほととぎす
    この言葉が実感できる5篇だった。
    江戸を領地とするマイナスをどうプラスに転じるのか。不可能と思うことを根気強くやり遂げる粘着気質。
    そして人を見る目。
    壮大な都市つくりをやってのける手腕にわくわくした。
    身分の低い者達が話す言葉もぞんざいだが、仕事は着実で、矜持を持っているところもどっしりした太い基盤に違いない。
    たぬきオヤジのイメージだった家康が、こんなにも有能だったと目からウロコで楽しい読書になった。

  • 江戸の町ができる様子が目に浮かんできました。
    まちづくりを5話に分け、エピソードとともに語られています。
    その一つに、江戸を水浸しにしている原因は利根川だと結論づけたら、その流れを変える工事に着手するなど、応急処置ではなく恒久的な対応をして現代に至ります。
    真因を突き止めることの大事さを学びました。

  • 徳川家康の天下取りの戦いではなく、江戸という町づくりの話。
    治水工事、小判作り、江戸城工事など、それぞれ家康に仕事を任されたその道のプロが主人公の短編集のようになっている。
    これが今の〇〇にあたる、など、東京の身近な地名の謂れが分かってとても面白かった。

  • 壮大な計画が進みます

    家康、江戸を建てる
    2017.05発行。字の大きさは…大活字。

    流れを変える、金貨を延べる、飲み水を引く、石垣を積む、天守を起こすの5話。

    豊臣秀吉の命により関東へ国替させられた徳川家康が低湿地を拓き徳川260年の礎を築く姿を、治水工事、貨幣鋳造、飲料水の確保、江戸城の石積み、天守の建設の5つの側面から描く物語です。

    【流れを変える】
    天正18年(1590年)夏、豊臣秀吉は小田原攻めの最中に徳川家康に東海三国、信州、甲州から関東へ国替えを命じる。家康は、江戸の高台と泥湿地の境に城を築くことを決めます。
    伊奈忠次は、江戸を水浸しにしている元凶である利根川を、江戸へ流れ込むのでなく栗橋の辺りで大きく曲げて鹿島灘に向ける巨大な土木工事を計画します。

    【金貨を延べる】
    文禄4年(1595年)、江戸へ入国して3年、京より連れてきた後藤庄三郎に命じて江戸で1両小判の製造を始めます。大きな貨幣は、豊臣秀吉が製造している10両大判です。これは使い勝手が悪く、より小さい通貨をと考えてです。

    【飲み水を引く】
    天正18年(1590年)夏、家康は、大久保藤五郎に命じて江戸の飲み水の確保を命じます。江戸の水は、泥湿地だらけで良質な地下水が得難く、海が近いこともあり井戸水は塩辛くて飲めません。家康は、三鷹の七井の池(現在の井の頭公園)から江戸へ水を引きます。

    【石垣を積む】
    江戸城建設のため良質な石を探していた家康は、伊豆国堀河(現在の静岡県賀茂郡東伊豆町北川)の地から石を切り出します。慶長5年(1600年)からは、諸大名に命じ天下普請(金は、工事を受けた大名が全て負担)で江戸城の建設が始められます。

    【天守を起こす】
    江戸城の天下普請は、豊臣家恩顧の外様大名の財力を減らし、2度と戦う体力を無くすことを目的に行っています。徳川が天下を統一し、戦の無くなった今不要な天守閣の建設をあえて作っています。

    【読後】
    東海5ヶ国から関東への国替えに始まり、如何に江戸の地を住みやすいものにするかが伺える物語になっています。ただ、なぜ家康が、江戸の地を選んだかについて、掘り下げた話が無いのが少し物足りません。

    【直木賞、テレビ】
    第155回直木三十五賞候補作。
    2019年1月にNHK「正月時代劇」にてテレビドラマ化。

    【音読】
    4月6日から4月27日まで音読で読みました。底本が、祥伝社のため登録は、祥伝社「家康、江戸を建てる」で行います。
    2021.04.27読了

  • 歴史小説なのかエンタメ小説なのかよく分からないが、面白かったから何でもいいや。ドラマ見たかったなー

    小学校の社会科で、神田上水や玉川上水をやったのを思い出したり。あれは東京限定だったんだろうなあ。

  • 武官ではなく、裏方の文官に焦点をあてた歴史小説。いやー、徳川家康、組織をつくる能力高いわー。
    利根川水系の治水、貨幣制度の統一、上水の整備、江戸城の普請。その仕事の天才といってもよい人たちが登場し、長い年月をかけて江戸をつくりあげていく様子にわくわくした。人物像なんかはほぼ創作だろうと思うが、会話で物語がてんぽよくすすんでいく。文中にでてくる地名の由来を見ると、江戸が東京のはじまりであることを実感する。

    ついついお城の石垣について、調べてしまった。本書にもでてくる、石を割るための矢穴が各地の城の石垣に現在も残っていると知り、城マニアの人の気持ちがちょっとわかった。
    石垣メモ:江戸城、大阪城、金沢城、丸亀城

  • 太平の江戸時代、その屋台骨となるインフラ整備について、史実を基にした連作になっている。
    それぞれ職人たちが主人公で、職人魂をみせている。
    小説を読みつつ、昔の地図を紐解く。
    逆引きブラタモリとでもいえるかもしれない。

  • これはすごい‼️

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著者プロフィール

1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒業。2003年、第42回オール讀物推理小説新人賞を「キッドナッパーズ」で受賞しデビュー。15年に『東京帝大叡古教授』が第153回直木賞候補、16年に『家康、江戸を建てる』が第155回直木賞候補となる。16年に『マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代』で第69回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)、同年に咲くやこの花賞(文芸その他部門)を受賞。18年に『銀河鉄道の父』で第158回直木賞を受賞。近著に『ロミオとジュリエットと三人の魔女』『信長、鉄砲で君臨する』『江戸一新』などがある。

「2023年 『どうした、家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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