あなたのご希望の条件は

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 94
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396635923

感想・レビュー・書評

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  • ピタキャリアという転職支援会社でアドバイザーとして働いている香澄が主人公だ。
    香澄の前に現れる、一〜十の名前の転職者たち、それぞれの物語がある。

    香澄の元夫とのことについてはモヤモヤしたけど(夫ではなく、はっきりしない香澄にモヤモヤした)、おおむね楽しく読めた。
    転職エージェントという仕事。こう言う仕組みで成り立っているのね。
    転職って、よほどのコネクションがない限り、自分ひとりで動くのは難しいんだろうな。こんなに二人三脚で転職活動を支援してくれるなら、私もこう言うサービス使って転職してみたいと思ってしまったよ。

    この本のラストのその先、香澄はどちらの道を選ぶのだろう。
    一ノ瀬の前向きな姿勢に元気付けられて、エージェントの仕事を続ける道を選ぶような感じだったけど、本当にそれで良いの〜??と、老婆心ながら思ってしまった。
    香澄は、とにかく「現状維持」したい人に思えた。元夫のことといい、知らないでいたいからSNSやらないとか、波風のない人生を望んでるんだろうな〜って思う。
    その気持ちはすごくよく分かる。
    でも、だからこそ、香澄には現状を打破して新たな道なら進む選択をしてほしかったなぁ、と思ってしまいました。

    友人の栄子が香澄に言った言葉「1人でいたいから1人でいるのではなく、しょうがなく1人でいる」という言葉、つらいなぁ。
    「1人でいること」って、そんなふうに毅然と「選択」しなきゃいけないことなの?
    ダラダラと1人でいるっていうのも、別に良いじゃないの。
    香澄も栄子も、仕事柄、すごく面倒見が良くて、悪く言えばおせっかい焼き。
    私の周りにはこういうタイプの人っていないなぁ。
    40にもなると、友達同士であってもお互いのセンシティブなところには触れないのが暗黙のルール…みたいになっていく。
    栄子、きっと友人思いの良い人なんだろうけど、私的には「ないわぁ」って感じで、「この人に会った後はドッと疲れるタイプの人」だなと思った。

  • 瀧羽さんは初読み。
    タイトルに惹かれて読みました。

    とくに3年ぶりに会ったとこ
    共感しかなくてつらかったけど
    読後感はすごくよかった。

  • 私もお願いしてみたい。

  • 瀧羽さんの作品はファンタジックなものしか読んでなかったので、リアルな小説に驚きました。エピソードの構築もうまくて、一気に読まされてしまいました。

    それぞれ事情を抱えた人たちが、様々な理由で転職しようとする。エージェントの香澄は、本人の希望ばかりではなく、適性を見抜いて新しい職場を斡旋する。
    店のマスターや、十和田さん、宮崎くん?など、恋の相手になりそうな人が出てくるのだけど、恋愛事が絡まず、お仕事小説に徹してるのもよかったです。転職した人たちの、その後がわかるのもよかった。
    月ごとに話が進み、時系列にもかかわらず、この構成。続きが気になる。(すぐに明かされるけど)連続テレビドラマ見てるみたい。いや、ドラマ向きだと思う。
    40代、バツイチで、キャリアウーマンの香澄。栄子さん、関西弁の上司、十和田さん、宮崎くん・・・頭の中で妄想キャスティングが始まってしまう。

  • 転職エージェントのお仕事小説。
    こんな素敵な転職ができるなら、私もしたいと思ってしまう。羨ましい。

    主人公香澄の心の傷が少しずつ明らかになり、何?どういうこと?と、野次馬根性で読み進めてしまった。たしかに、12年も引きずるかなぁという気もするけれど。

    数字が名字につく会員と、都道府県名の名字を持つエージェント。何かの意味があるのかな?

    森へ連れてってくれるような友人も、羨ましいなぁ。香澄さんの人生、私はけっこう好きだな。

  • 転職エージェンシーが舞台のお話です。私も転職は経験があるので相談者に共感しながら読みました。何か大きな事を決める時はやっぱり縁とタイミングですよね。

  • 転職エージェントの仕組みがわかって、面白かった。先日IT婚活の話を読んで、その時にIT転職ならいいけど…というくだりがあったので、興味深く読んだ。ソフィアの受け答えが面白く、私も相談してみたいと思った。

    香澄の離婚に至る流れが可哀想だった。早くなっただけで、いずれ優しい旦那さんが浮気をしているのが、バレていたのかな…。
    香澄の幸せを願わずにはいられない。

  • いろんな転職例が出てきて面白かった。
    転職してみよっかな〜♪と気軽に考えてる人にお薦めしたい。

    私自身、転職を何度か経験し、エージェントを利用していたので理解しやすかった。
    主人公の過去が一気に書かれておらず、読み進めると途中途中で何度か出てくるので、気になって先がどんどん読めた。

    作者の他の作品も読んでみたい。

  • ◯読もうと思った理由
    自分のキャリアもそうだが、人のキャリアをサポートすることに興味があったため、何か得るものがあるのではと思ったため

    ◯ 引っかかった言葉
    p205 ちっとも変わらない、と九鬼に言われた。(中略)ちっとも変わっていないというのはつまり、ちっとも前に進めていないということでもある。
    →主人公であるキャリアアドバイザーの香澄が、どんどん人生を前に進めている(ライフステージを登っていく)会員の様子を見て、自分の人生と比べている場面

    ⇒今の自分の重なる部分がありひっかかった。
    また、アドバイザーが自分の人生において揺れているという、キャリアサポートだけでなく女性の人生におけるライフステージでの葛藤も描かれており、奥行きのある人物描写が良かった。

    ◯感想
    ・華やかなキャリアをもつ人が多く登場人物として描かれているため、すこし突き放された感覚
    ・人の適性だけでなく、転職動機やライフステージによる環境の変化、夫の転勤など様々なことを考慮しながら進める転職の奥深さを知った

  • 最近退職した身としては、なんだかブーメランのように刺さりました。
    内容は転職紹介会社のキャリアアドバイザーの話なのですが、まあ悩んでる転職希望者の気持ちがわからなくもなさすぎて、、、、
    会社の中ででてくるソフィアというAIシステム使ってみたい。

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著者プロフィール

1981年、兵庫県生まれ。京都大学卒業。2007年、『うさぎパン』で第2回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞し、デビュー。
著書に『ふたり姉妹』(祥伝社文庫)のほか、『ありえないほどうるさいオルゴール店』『女神のサラダ』『もどかしいほど静かなオルゴール店』『博士の長靴』『ひこぼしをみあげて』など多数。

「2023年 『あなたのご希望の条件は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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