- Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396636296
作品紹介・あらすじ
男は、生きるのがどこまでも下手だ。
二人の藩主を擁する橋倉藩。
割れて当たり前の藩を割れさせぬ――
重すぎる命を課された近習目付たちの命運は。
名もなき武家と人々の生を鮮やかな筆致で映し出す。
橋倉藩の近習目付を勤める長沢圭史と団藤匠はともに齡六十七歳。本来一人の役職に二人いるのは、本家と分家から交代で藩主を出す――藩主が二人いる橋倉藩特有の事情によるものだった。だが、次期藩主の急逝を機に、百十八年に亘りつづいた藩主交代が終わりを迎えることに。これを機に、長らく二つの派閥に割れていた藩がひとつになり、橋倉藩にもようやく平和が訪れようとしていた。加齢による身体の衰えを感じていた圭史は「今なら、近習目付は一人でもなんとかなる」と、致仕願を出す。その矢先、藩の重鎮が暗殺される。いったいなぜ――隠居した身でありながらも、圭史は独自に探索をはじめるが……。
感想・レビュー・書評
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小説NON2022年2月号〜5月号掲載のものに加筆修正し、2022年7月祥伝社刊。二つの家から交互に藩主を出すという橋倉藩。そのことわりを形づくったと言われる鉢花衆を継ぐ同い年六七歳の長沢圭史と団藤匠の二人の近習目付の活躍が楽しい。特殊な設定の中で、藩主暗殺事件がおこり、二人が謎を追うというストーリーは、緊迫感たっぷりで面白い。犯人の動機に納得できないところもあるが、狂気じみた意表を突く展開と出来事が興味深かった。
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題名が爽やかな感じがして借りたが、内容はかなり凄まじい話だった。くるみみそのうどんが出てきて食べてみたくなった。
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もやもやとしながらどんどん読み進む。桜の春は、哀しい。
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藩主が二人いる橋倉藩。
当然、そこには二人の近習目付を置くことになる。
だが、藩主相続を望まないという申し出と共に
藩はひとつにまとまった。
春が訪れようとしていた。
が、そこで起きた暗殺事件。
P220
〈時々の代をつなげていく者たち〉の
命(めい)に縛られた過酷で悲しすぎる生き方に胸が塞がる。
青山文平さんらしい、重厚で情に溢れた作品。
読み終えてほーっとため息が出た。 -
前半の説明が長く、我慢の読書が続きました。かと言って後半もなんだそんなかよと。タイトルもなんだかなあ。
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老境を迎えた二人の重臣。
その老後を淡々と描くと思いきや、二人が仕えた元藩主が突然殺害される。
背景に二人の祖父たちが関わった班の重大事件が浮かび上がる。
藩主の交代制や、考えにくいが屍体を斬る稽古は、何度も縫って使い回すことも含め、実際に例があったという。
間者が同様の訓練を永年にわたってできたかは何とも言えないが、間者故に可能だったとも言えるか。
2つの殺人と藩の過去とのつながりが明らかになるに従い、犯人の深い絶望にも思いが至る。 -
読みやすいが、犯人にも展開にも納得行かず。急に呼び捨てるし。