- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408535166
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
「私の胸に生まれて初めて芽生えた殺意という感情」という帯を見て気になり手に取った。
ぞっとするような、殺意を持ったり持たれたりの
6個の短編。
ぞっとする話の中で「おさななじみ」はちょっと他の話とは違う感じ。よかったねーという終わり方でほっとした。 -
単身赴任の夫をよそに、男と遊んだりパチンコに入り浸ったりと自堕落な生活を送る類子。趣味は充実したスピーカー付きのホームシアターセットでロッキーを見ること。ある日、類子の隣の部屋に新しい住人が越してくる。先日殺人事件が起きてから誰も借りようとしなかった隣の部屋を選んだのはなぜなのか……(ホームシックシアター)
-
図書館にて。
たまたま、手にとってぱらっと読んだ一つ目の短編が興味深かったので借りてみた。
痛い物語が多い。敵はすぐ近くにいる、ということか。表題作や「セルフィッシュ」など、自己中心的な女性が主人公というのも面白かった。
最後の「おさななじみ」良かった。女同志、友達っていいね。親との関係も考えさせられる。 -
全て女性が主人公の6話からなる短編集。
この作者の本は4冊目ですが、今まで読んだ中でこれが一番面白いと思いました。
「蝉しぐれの夜に」
子供が出来なくて悩む主人公の女性とそんな彼女に無神経な言動を繰り返す親友の女性。
その言動の裏にあるものを主人公はある時偶然に知る事となる。
夫を愛していて、その夫の子供が出来ない事に苦しみ涙する女性の姿がとてもいじらしく感じられました。
ただの無神経で何も考えてないと思われた親友の女性にも彼女なりの悩みがあって-。
人はつらい事や心にわだかまりがあるとどうしても他人に優しくなれない・・・そんな心情もよく分かりました。
「ホームシックシアター」
夫は単身赴任のため、自分の好きな事をして一人暮らしを満喫している主婦。
彼女の楽しみは夜中にホームシアターを見ること。
そんな彼女の隣の部屋に一人の女性が引っ越してきた。
実はその部屋は以前人殺しがあった部屋で、事件の後、住人が次々と出て行ったという経緯があった。
主人公自身も誰か分からない相手から入居後まもなく嫌がらせをされていて-。
これは結末に驚いた。
「ああ、そうか・・・、そうだったのか・・・。なるほどね~」って感じ。
これを読んでパッと浮かんだのは「楽あれば苦あり」って言葉。
普段からよくその言葉を感じながら生活しているせいかも・・・。
徹底して自分の嫌な事はしない。好きな事ばかりする。
そういう生活っていつかツケがくるのかも・・・。
表題作でもあり、これが一番面白いと思いました。
「オーバーフロー」
デパートの靴売り場で働く女性が主人公。
彼女は婚約者と同棲していたが、彼の以前つきあっていた女性が部屋に押しかけて来て彼は一時家を出る事にした。
彼の身を心配する主人公は婚約者の姉から彼がいなくなった本当の理由を聞かされて-。
「セルフィッシュ」
主人公はお金持ちのお嬢様。
彼女は臓器提供意思表示カードにサインをした後、一人の男に声をかけられる。
彼の妹はレシピエント-臓器提供を待っている患者で、彼は臓器提供に同意した彼女にお礼をしたいと言う。
これは大体思っていた通りの結末。
でもその思っていた通りの結末があまりに衝撃的で・・・こうくるか、という感じだった。
「小指の代償」
親友が事故で小指をなくし、その場にいた事で罪悪感を感じる主人公とその婚約者は婚約を解消した。
これはドロドロした話?と思ったら意外にも・・・という話。
「おさななじみ」
おさななじみと再会した事で甦る過去のあれこれ、母親との確執。
これもイイ話系で、この話が最後にある事で読後感は良かった。
この本は人によって、この話がいい、好きというのは分かれそう。
それによってその人の普段の好みとか分かりそうで・・・。
シェアしてみたい本だと思いました。 -
不妊に悩む女性と友人たちの話や、騒音トラブルによる殺人など、人間ってつくづく主観的な生き物だなぁと感じる短編集。どの話も少しづつ「あぁ、わかる」と思えてしまう狂気が怖い。個人的には、無神経よりは悪意がある人のほうがまだ許せる。
一話目の『蝉しぐれの夜に』を読んで、自分が不妊治療をしていたころのことを思いだした。本当に欲しいかどうかも分からないままに不妊治療を続けていたあの頃、「あとで後悔したくないから」だと思い込んでいたけれど、本当はそうじゃなくて、「かわいそうな女だと思われたくない」からだったんだなぁとすごく納得。
・蝉しぐれの夜に
・ホームシックシアター
・オーバーフロー
・セルフィッシュ
・小指の代償
・おさななじみ -
ぞっとした。
ミステリーというか復讐の怖さ。 -
初めての作家さん。
6話の短編集。
表題作の「ホームシックシアター」はぞくっとした。いちばん好き。
胸がぎゅっとなった「小指の代償」、
心の変化が心地よかった「おさななじみ」など。
次は、「火群の館」を読んでみよう。