- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408536705
作品紹介・あらすじ
為吉は幼いころ呉服屋「摂津屋」の跡取り息子だったが、両親を押し込み強盗に殺されていた。その後、北町奉行所付きの中間となっていたが、ある日、両親を殺した盗賊集団・青蜥蝪の首領が捕まったとの知らせが届く。その首領の発したひと言は為吉の心に大きな波紋を広げ…。与力、見習い同心、岡っ引きなど、江戸の治安を守る"狼"達が集う庭の、悲喜交々の人間模様。そして、為吉の人生にも大きな転機が訪れる…。
感想・レビュー・書評
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北町奉行所に勤める中間、同心、岡っ引きなど様々な人々のドラマを描く連作短編集。
押し込み強盗からの生き残り、中間の為吉の成長もはさみながら進んでいく。
複雑な心境を丁寧に細やかに描くところは宇江佐さんらしくそれでいて読みやすい。
これからも彼らを見ていきたいと思ったが、宇江佐さんが亡くなられたという衝撃的なニュースが舞い込んだ。
新刊はもう読めないが、今ある作品を大事に読んでいきたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
月刊ジョイ・ノベル2013年2月号、5月号、2014年11月、2015年1月号、3月号、5月号発表の6編を2015年8月に刊行。奉行所付の中間、下手人、見習同心、与力の妻、岡っ引き、下っ引きの6つの視点で奉行所仕事を味わい深く語るところが良かったです。もう宇江佐さんの新作が読めないと思うと、とても残念です。
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2023年5月21日
与力の妻あさ
が良かった。 -
北町奉行所の中間をしている為吉は,本来なら呉服屋の摂津屋の跡取り息子。だが押し込み強盗で両親もろとも殺され,戸袋に隠れた為吉だけが助かっていた。
事件の時に親身になってくれた同心の計らいで奉行所の中間となったのであった。
それまでは,母親の妹,叔母のうちで厄介になっていた。叔母の夫は岡っ引きで,強欲でいじめられて育った。
自分の働きで,食い扶持をもらうようになってから一生懸命働いた。あるとき、未解決だった多くの強盗を働いた大泥棒がお縄になった。。。
奉行所の牢屋敷の中と外。同心や与力、お奉行,はたまたその妻たちの人間関係。
犯人と被害者、日々起こる事件のうち外を知る為吉だった。
宇江佐真理さんの心優しい物語は,それぞれの物語にも温かい眼差しが注がれる。。。 -
もうこれも続きは読めないのねー
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与力、同心、中間、岡っ引きとその家族たちの連作短編集でした。苦しい環境で育ってきた人間のうち、苦労しても幸せをつかむ者と罪を犯して落ちていく者と。 冤罪、汚職、ブラック職場、いじめ、裏切りなど、江戸の世に現代をみごとに投影していて時にはどきどきして読んだ。いつの世も、まともな人間を作るには、やはり思いやりと正義が必要なのだと思った。地味な作品だけどとても味わい深くてよかった。
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奉行所に働くものとその家族を描いた短編集で、
当時の仕事ぶりがうかがえる。
駄作が1つもない。
やや急ぎ足なところもあったので、
為吉がらみの話をもう少し読みたかった。